テクノロジー

距離的制約をなくす

現 在、企業にとって、このような難題を解決するために最適 な人材を登用することが緊急課題となっています。

360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear

チームでの恊働は昔に比べてはるかに難しく複雑になっています。ついこの間までは、チームメンバーが会議を招集して会議室で問題を解決、あるいは、少なくとも問題を解決しようと試みる、そのプロセスは完璧とはいえないまでも、今よりはるかに簡単なプロセスであったことは間違いありません。

今日、企業が直面している課題は複雑で、解決に困難を伴うものばかりです。時に優秀な人材が同じ場所にいながら全力で問題の解決にあたっても、解決にいたることは稀です。今日のワーカーに求められる新たなスキルセットはさまざまな場所、タイムゾーンや国境を超えて仕事をこなす能力です。ワーカーは部門、組織、文化を超えて横断的に機能する分散型チームにうまく適応できるかが鍵になります。

分散型チームにいる誰もがその難しさを身にしみて感じているはずです。同じ場所にいたとしても、チームへの期待は以前よりはるかに高くなっているからです。今日のチームにはよりスピーディで、より賢く、より革新的で先進的でなければならないという高いハードルが課せられています。例え、毎日、顔を合わせ、肩を並べて仕事をし、良好な人間関係が築かれている仲間でさえ、決してうまくいくわけではないのです。それが、今まで顔を合わせたこともない遠隔にいる人々と仕事をすることを強いられるのです。中には文化や慣習が異なり、自分の理解をはるかに超える人々、反対のタイムゾーンに位置し、現地は夜でこちらが早朝という状況で眠い目をこすりながらのミーティングも頻繁にこなさなければならないのです。

分散型ワークは克服すべき単なるハードルのひとつではなく、企業の変革を推進する強力な触媒的要素にもなりうるのです。

今日の経済活動において、分散型チームが新たなスタンダードとして定着しつつある中、距離が障害となって成果が上がるチームが出来ないというわけにはいきません。現在、企業にとって、このような難題を解決するために最適な人材を登用することが緊急課題となっています。しかし、同じ「場」だけで働いていることは、逆に企業が成果を上げるためのスキルや経験を狭めることにもなりかねません。

分散型ワークは克服すべき単なるハードルのひとつではなく、企業の変革を推進する強力な触媒的要素にもなりうるのです。チームを分散型にすることによって、余剰人員が滞留している問題も解決できます。才能に溢れた人材がいる拠点を本拠地と離れたところに設けることによって、企業はその競争力を劇的に高めることもできます。地球規模に拡大する海外拠点との時差を利用して、24時間ノンストップでの仕事を遂行させることを目指している企業も多くあります。しかし、それには距離的制約を排除する方法を見つける必要があります。

「存在の格差」がもたらす問題

分散型チームが普及するに連れ、それがもたらす問題も徐々に明らかになってきています。最近、このような記事がMITスローンマネジメントレビュー誌に掲載されました。それはダートマスビジネススクールとメリーランド大学の研究者が世界中の70チームを対象に実施した調査で、グローバルに分散するチームで高い成果を上げているのはわずかしかなかったと報告しています。ブランドマン大学によって行われた調査でも参加した135の大企業やFortune 500の多くがバーチャルなチームづくりは付加価値に対する必要悪とさえ位置づけています。IBMの「国境を超えて働く (Working Beyond Borders)」の報告書においては「チームは日常的にネットや動画などを介してコラボレーションをする中、ほとんどの企業の経営層はネットを介してのコミュニケーションには苦労している。」と報告されています。

Steelcaseの研究員たちは分散型チームを調査し、チームが直面している問題の1つが、「存在の格差」であることを公表しました。これは耳慣れない用語ですが、実は多くの人が日々の生活で経験していることなのです。誰もがリアルな「場」でミーティングに出席することには慣れていますが、遠隔メンバーはリアルな「場」のチームメンバーと同等の環境にいるというわけにはいきません。そこには体験そのものが違うだけでなく、公平性に欠けるという意味で遠隔にいること自体が良くないことであるかのような状況を生み出しています。

「存在の格差」は単にやっかいな問題ということだけではありません。それは多様性のある分散型チームの利点を生かしきれず、むしろその生産性を損なう要因にもなります。「存在の格差」がもたらす現実的な問題が対処されない限りはコラボレーションそのものが不愉快で苦痛を伴うものになり、参加者全員が身体的、認知的、情緒的にストレスを感じるようになります。その一方で、仕事のペースが速くなると、人は自分が「混在した存在」であることにしばしば気づきます。つまり、リアルではある会話の中にいるのですが、テキスト、チャット、投稿、メールなどの一連のテクノロジーを使うことで、いくつかの自分が同時にバーチャルに存在しているということです。そして、気を逸らすものがたくさんあるため、仕事が中断され、そのために生まれる誤解や誤訳、軋轢が徐々に拡大しているのも事実です。この混乱とフラストレーションが続くと仕事がはかどらない状態か、最悪、仕事での失敗を招きます。


遠隔メンバーが感じる「存在の格差」とは:

  • あなたは電話だけで存在する人であり、あなたがそこにいることさえも忘れてしまう。
  • リアルな「場」のメンバーはホワイトボードで自由にブレストをしたりと、あなたの視覚に入らない内容について話をする。
  • リアルな「場」のメンバーはお互いに表情や素振りを使って早口で話をするため、会話の内容が分からないことがある。
  • 電話や動画によるコミュニケーションは当てにならず、頻繁に途切れて会話が中断する。
  • 会議を主催するメンバーは自分たちの便利な時間帯にミーティングを設定するため、時差がある遠隔メンバーは常に遅いか早い時間帯に働かなければならない。
  • 遠隔メンバーがコメントすると、相手方の誰もが一斉に静かになることがある。しかし、それがどういう意味なのかわからないことがある。
  • 遠隔メンバーは会議を終了した後に「本当」のミーティングが始まったのではないか、という疑念をぬぐい去ることができない。

リアルな「場」のメンバーが感じる「存在の格差」とは:

  • 遠隔メンバーが向こうで何かモノを食べていたり、どこかを歩いていたりなど見えないことで、全員が気を遣って会議に集中できない。しかし、本人はそのことに気づいていない。
  • あなたが画面に映ると、突然カメラが鼻先に向けられているのに気づく。不適切な照明のせいで顔が10歳老けて見える。
  • 動画の大画面に映る姿は巨大でまるでビッグ・ブラザー (ジョージ・オーウェルのSF小説『1984』に登場する支配者) がいるように見える。
  • 帯デバイスの動画を使うとカメラに全員が映るようにするため、メンバー同士の身体が近く、人によっては不快に感じることがある。
  • オフィスのビデオ会議用の部屋はフォーマルすぎて緊張し、画面に自分がどう映るかも気になる。
  • ホワイトボードを使用しても、カメラはまだテーブルを映したままで、人の動きに追従しないため、話の内容についていけない。

“「携帯端末とは違って、大規模なテクノロジー導入の場合、それをどこに、どのように設置されているかということが鍵になります。」”

David WoolfSTEELCASE INTEGRATED TECHNOLOGIES担当ゼネラルマネージャー

動画は救世主になりうるか?

「存在の格差」を排除するための方法を模索する中で、企業は分散型チームが抱える多くの問題へのソリューションとして動画に可能性を見いだし、そのことから動画が劇的に普及しました。Cisco社は動画が2018年までにすべてのインターネットプロトコル (IP) のトラフィックの約80パーセントを占めるようになると予測しています (2013年の66パーセントからの増加)。企業が継続的に動画を採用していることが、この劇的な普及への大きな原動力になっています。

今や、人々は職場でもスマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど元々は個人を対象に開発されたコミュニケーションツールを駆使して仕事をこなしています。もちろん、これらのツールには多くの利点もありますが、それ自体が持つ性質により、仕事では不便でストレスの原因となる場合も多々あります。動画と音声会議の世界的リーディングカンパニーであるPolycom社によると、遠隔コラボレーションの最大の問題はその粗悪で不安定な音質と画質にあるといいます。その次に来る問題はコンテンツ共有の難しさです。特に小型の携帯デバイスを使用する場合にはこの両方が大きな課題になっています。

ワーカー同士をつなぐために、動画とコンテンツ共有が可能なソフトも開発されていますが、ある特定のニーズには対応できても、人数制限がある場合があります。数人以上(最大6人までとか)での接続は不可能であり、コンテンツ共有はホストコンピュータ上にいる人間だけに制限されています。また、ホワイトボード上のコンテンツや部屋の何かをキャプチャすることにはまだ対応できず、現実的なオプションではありません。

ニーズが拡大するに連れ、企業はこれまで以上にビデオ会議やテレプレゼンス機能を使用する機会が増えています。Infonetics Research社は企業レベルでの動画需要が2013年後半には空前の規模にまで達したと指摘しています。しかし、実際の成長率が5%とそれほど大きくない理由としては企業が自社スペースで大規模なITソリューションを採用し始めていることと、ビデオ会議システムのサイズを決めかねていることです。いずれにしても、今後、大型ビデオ会議システムの需要は徐々に拡大すると予想されています。

大型ビデオ会議システムをスペースに導入する際にまず考えなければならないのはスペースでいかにテクノロジーを最適化するかということです。最適化できない場合にはフラストレーションを生み、高い出費につながる可能性があり、期待通りの成果を上げることはできないでしょう。

“「ビデオ会議システムはスペースの片隅でも設置できますし、技術的には機能します。しかし、それは決して最善の策とは言えません。携帯デバイスとは異なり、大型テクノロジー導入の鍵となるのは、それがスペースのどこに、どのように設置されるかということなのです。」と語るのはSteelcaseの統合テクノロジー担当ゼネラルマネージャーのDavid Woolf氏です。”


何故、ビデオ会議なのか?

80% ボディーランゲージという非言語コミュニケーションから
メッセージを受け取る比率
57% 電話中にメールチェックなど複数の作業をしているワーカー比率
04% ビデオ会議の間中、メールチェックなど複数の作業をしているワーカー比率

2014年度FuzeBox調査

ビデオ会議がもたらす主な利点

88% 議論が加速
87% 出張費が削減
94% 効率性と生産性が向上
87% 意志決定が迅速化

Wainhouse Research and Polycom調査

互いを見ることで生まれるパワー

他のメディアと比べて、動画は豊富なコンテンツを提供します。コミュニケーションツールのひとつとして、アイコンタクト、つまり互いを見ることから生み出されるパワーは他のメディアにはありません。ロンドン大学の脳認知開発センターのような研究機関の研究者たちは共通の理解として、互いの目をみることを人間のコミュニケーションの基本としています。社会性に関わる心理と脳を結びつける神経認知メカニズムの研究でも、他者を見ると脳の前頭前野にあるミラーニューロンが活性化されることが示唆されています。この部分は対面式のコンタクトで最も強く反応をし、動画を介してのコンタクトではその反応は少し弱まります。ミラーニューロンとは人間の意志伝達を可能にし、相互理解や感情移入を促す共感細胞です。これを立証したのがノースウェスタン大学での研究で、医師と患者とのアイコンタクトが、より良い治療結果を生み出すことを実証しました。コーネル大学で行われた別の研究では、目と目がからみあった写真を見ただけでも効果があることが証明されています。

ビデオ会議が日々の仕事の中に定着するに連れ、それをサポートするためのスペースづくりが不可欠になります。TeamStudio™(チームスタジオ)は、活動的な分散型チームのための統合ソリューションで、あたかもメンバー全員が一緒の「場」にいるかのような体験を提供します。

分散型チームが多種多様な人種や文化を持つメンバーで構成される場合には、視覚的につながることが特に重要です。「アジア文化圏の人々は西洋文化圏の人々に比べて、アイコンタクトの時間も短いですが、人間の本能としてアイコンタクトをしながらのコミュニケーションを強く欲しています。その結果、より豊かなコミュニケーション体験につながり、信頼関係を構築するのに役立ちます。」とSteelcase WorkSpace Futuresの研究員で、環境心理学専門のBeatriz Arantes氏は述べています。「人間は顕在意識で認識されないようなかすかな合図でも、相手の考えていることを感じとります。中国や日本など一部の文化圏では相手の表情や態度から言葉に表れていない言外から意図を読み取るということもよくあります。これは極めて直接的で明確なコミュニケーションを重視する米国などとは大きく異なる点です。」

また、視覚的な手がかりは特にグローバルなチームでの言語の壁を乗り越えるのに役立ちます。英語圏でない人の特殊なアクセントや方言、異なる解釈は時に単語や語句への理解を難しくさせる場合があります。それがもし、相手の表情を通して読み取ることができたとしたら、その視覚的手がかりを元に判断し、言い直して相手の理解を求めることができるのです。その結果、より上手くコミュニケーションができるようになり、文化の違いをも乗り越えることができるようになるでしょう。

しかし、ビデオ会議はまだこれらの問題のすべてを解決しているわけではありません。例えば、Management Decision誌に発表された最近の研究によると、雇用面接にビデオ会議を使用する企業が増えているといいます。しかし、雇い主と求職者の双方にとっての利便性は未だ実証されていないということです。インタビューされた求職者はとかく低い評価を受けがちで、雇用機会にもあまり恵まれません。また、求職者も動画を介しての面接には魅力や信頼性、有効性があまりないと評価しています。

「分散型チームスペースのデザイン上の課題はメンバーが同じ「場」にいないことによる格差を排除することです。」

また、自分が画面上にどう映るかが気になることも普及率が拡大しない要因にもなっています。照明やカメラアングルがよくないので画面に写ることを不快に思う人もいます。Steelcaseの調査では従業員の58%が画面上の顔が疲れているように見えるので会議に集中できないと答えています。72%は画面に映った自分の姿を意識してしまうと答えています。このことで会議中も注意散漫になり、動作や会話もぎこちなく、集中度や意欲が薄れる大きな原因にもなっています。

動画を頻繁に活用する分散型チームを調査したSteelcaseの研究員、Ritu Bajaj氏は、動画を介しての人の振る舞いはその環境が適切にデザインされていないと不自然になると述べています。「テレプレゼンスを介しての会議では皆、強制的でどこかフォーマルな雰囲気に居心地の悪さを感じています。彼らはまるでテレビのニュース番組の司会者のようにきちんと座り、動いてはいけないような圧迫感を持ちます。」と説明しています。その中でも皆が一様にアイコンタクトをしようと努力しているのです。これは本能的に画面の中の相手を見ようとするからです。この意味でもカメラアングルが非常に重要で、適切に作動しないとコミュニケーションを阻害することにもなりえます。ビデオ会議システムを設置した多くのスペースは着席した状態を前提に設計され、人がスペースを動き回ったり、ホワイトボードにコンテンツを書いて見せることは全く考慮されていないのが現状です。

ビデオ会議: 事例

相互コミュニケーションにビデオ会議システムを活用することの賛否はさておき、ビデオ会議の普及を後押しするような状況も訪れています。当初、多くの企業が出張削減の方法としてビデオ会議に注目しました。しかし、その後、それ以外にもさまざまな利点があることが判明したのです。Polycom社の調査では、多くの人が効率と生産性の向上(94%) を筆頭に、議論の活性化 (88%)、意思決定の迅速化 (87%) 、出張費の削減 (87%) などを挙げています。回答者の半数以上が動画は2016年までに電子メールや音声電話会議に取って代わり、理想とするコラボレーションツールになるだろうと予測しています。

「真のビジネスニーズはビデオ会議を通して企業の成長を促すことです。」とPolycom社の産業ソリューション部長であるJohn Paul Williams氏は語っています。彼はビデオ会議の活用が特に商品開発の分野で劇的に増えていると感じています。開発工程での複雑な設計デザインやモデル、構造的な分析などのリアルタイムでの情報、コンテンツ共有や討論にビデオ会議が威力を発揮しています。しかし、これには細部まで映す高精細な画面が不可欠になります。こうしたスピーディさやエラーの防止が必須なビジネス環境においては携帯デバイスなどを介しての動画やチャットは決して有効ではありません。

「ビデオ会議が登場した初期の頃は画面上の相手の顔と声だけによるコミュニケーションでした。しかし、現在は「コンテンツ」がその重要な情報要素になっています。」

多くの企業は成長のために、これからはビデオ会議が電話に代わるダイナミックなコミュニケーション手段として、必須ツールになることを認識しはじめています。

「ビデオ会議が登場した初期の頃は画面上の相手の顔と声だけによるコミュニケーションでした。しかし、現在は「コンテンツ」がその重要な情報要素になっています。」

John Paul WilliamsDirector of Industry Solutions at Polycom

リアルタイムでコンテンツを共有する

新たに登場するテクノロジーはそれぞれに異なる性質や強みを持っています。スペースや人の行動に及ぼす影響を考慮せずに、それらのテクノロジーを導入することは間違いなく失敗の原因になります。

Steelcaseでは最近の調査結果をうけて、分散型チームの革新性の向上と遠隔地メンバーとの距離の縮小のためにどのようにスペースを設計すべきかの画期的なインサイトを導きだしました。まず、研究員とデザイナーは共同でチームの行動を観察、研究し、製品とスペースの設計コンセプトを立案しました。次に、実際のスペースでの検証のためにパイロット版スペースを作り上げました。行動プロトタイプと呼ばれるこれらのスペースは最終的にデザインソリューションとして決定されるもので、Steelcaseの本拠地に開設したイノベーションセンターでは、実際にこのソリューションが採用されました

動画への需要は最初の頃よりはるかに高まっています。ビデオ会議が登場した初期の頃は画面上の相手の顔と声だけによるコミュニケーションでした。しかし、現在は「コンテンツ」がその重要な情報要素になっています。分散型チームはさまざまなデジタル、アナログの両コンテンツを共有しながら、恊働することが求められています。実際、分散型コラボレーション環境ではビデオ会議を介してのコンテンツ共有が少なくとも50%を占めますとPolycom社のWilliams氏は述べています。

Steelcaseも同様な意見を持ち、「私たちが追求しているものはもはや顔や声を認識できる以上のことです。分散型コラボレーションにおいて、リアルタイムで最適なコンテンツ共有をするにはどうしたらよいか? まるで同じ「場」にいるようなリアルタイムな体験をできないか? 格差のない公平な体験を参加者全員に提供するにはどうすればいいか?」とWoolfs氏は語っています。

“「リアルにスペースを共有するチームは基本的に、創造力に富んだ問題解決、業務調整、評価、学習などの項目で顕著な向上を達成できます。」とグローバルチームの調査を担当するSteelcase研究員Patricia Kammer氏は語ります。「同じ場所で働くチームはすぐに仲間となり、積極的にコミュニケーションし、コンテンツ共有も容易です。しかし、分散型チームは同じ場所にいないことから起こるギャップを排除することがデザイン上の目標になります。これは「存在の格差」が最小限にくいとめられ、リアルとバーチャルな体験がバランス良く融合されることを意味します。このことによって、人は例え、同じ場所にいなくても同等の高いレベルの成果を発揮できるようになります。」”

ビデオ会議システムを導入するにあたって欠落している点は、同じ場所にいないことのギャップを最小限にするようなスペースづくりと、動画体験を適切にデザインするという意識が企業にないことです。Polycom社によると、会議室はビデオ会議で最も頻繁に使用されている環境です (79%)。しかし、長テーブルだけが中央に置かれただけの典型的な会議室は相互交流にも不適切な環境です。人々はテーブルに着席した状態で動くこともままなりません。通常、画面はひとつでこの画面のみでデジタルコンテンツを共有するのは非常に困難です。また、場所によっては音声も不安定で、カメラアングルやスペースも制限されているため、人が席を立ったり、歩き回ったりすることで会議は頻繁に中断されてしまいます。

オレゴン州ポートランドにあるSteelcaseの新たな イノベーションスタジオではmedia:scape®のコラ ボレーションセッティングを導入し、世界中の同僚 と瞬時に簡単につながる環境を創出しています。

Steelcaseの調査をベースに設計された分散型スペースで はコラボレーションの最中やその前後まで、適切にチーム メンバーをサポートすることが要求されます。こうしたスペ ースは人を惹き付け、情報交換をし易い環境を創出しま す。また、姿勢を自在に変えるように促す仕掛けがあるた め、ミーティングが長時間に及んでも快適に作業に集中で きます。また、プロトタイプスペースで試行錯誤したことで 照明、カメラ、マイクロフォンの位置も適切に改善されまし た。media:scape® ソリューションはあらゆるサイズのチー ムに柔軟に対応し、それぞれのニーズに見合った効果的な レイアウトを実行できます。media:scapeは特にコンテンツ 共有を重視するビデオ会議を容易に行えるように開発され ました。リアルなコネクターかバーチャルなアプリを使用し て、個人のデバイスを簡単に画面に接続することを可能にし ました。一番の強みは肩を並べて座っているメンバーも遠 隔地メンバーも全く同じ環境のもとにデジタルコンテンツ を共有できる点です。

例えば、TeamStudio® は創造型コラボレーションに重きを 置く分散型チームのために設計されたソリューションで、部 屋全体に使用できます。それは典型的な会議室と同サイズ のスペースに、1台の長テーブルの代わりに、2台のテーブル を隣接して使用するというものです。この配置は特にビデオ 会議を念頭においた配置で、スペースでの人の動きを促す ために2台のテーブルの間に「中央ステージ」を創り出し、参 加メンバーの誰もが容易にアクセスできるレイアウトを生み 出しています。そこでは複数のカメラがさまざまな視線を最 適に捉えるように配置され、遠隔にいるメンバーが部屋のす べてのメンバーやホワイトボードを見ることができるように 設定されています。デジタルコンテンツはmedia:scapeを介 して両方のテーブルから簡単に共有することができます。

分散型チームでは両方の場所のユーザー体験が慎 重に考慮されることが重要で、それぞれの環境はデ ジタル、アナログの両コンテンツがスムーズに共有 できるように設計されるべきです。

最適なサイズの複数の画面でまるでテーブル越しに話してい るかのような雰囲気を醸し出すスペースではV.I.A.® ウォール を採用しています。ウォールにはLED照明も組み込むことが 可能で角度をつけ、光線を反射させることで柔らかい光をつ くりだしています。V.I.A.の優れた遮音性はプライバシーを確 保し、雑音を外に出して注意散漫になるのを防いでいます。

もう1つのソリューションがmedia:scapeとFrameOne® ベ ンチの組み合わせで、省スペースに最大8人まで収容でき るコラボレーション環境を創出できます。ワーカーがツール や同僚に簡単につながり、個人作業からグループ作業に即 座に切り替われる環境では、社員同士の素早い情報精査や 意思決定が可能になります。遠隔にいるチームメンバーと の頻繁で自発的なコミュニケーションが欠かせないワーカ ーにとって、理想的なセッティングが「wormhole=ワーム ホール」と呼ばれるもので、時空のある一点から別の離れ た一点へと直結するトンネルのような空間領域のことを指 します。ここでは常にビデオが接続された状態で相手がい ればいつでもコミュニケーションが取れる環境を創出でき ます。画面にいるチームメンバーが例え地球の裏側にいて も、1日中つながった状態で素早い問題解決へのソリュー ションを提供します。

実際はチームメンバー全員が、絶えずコラボレーションし ているわけではありません。実際は一緒に集まったり、一 人での熟考のために分散したりと、「コラボレーション」と 「熟考」を交互に繰り返しながら一定のリズムで仕事をこ なしています。ですから、チームが分散している際にはコ ラボレーション、1対1のビデオ会議、2対2の少人数でのミ ーティングなどを繰り返し行うことが不可欠な体験になり ます。media:scape kiosk™は最適の画面サイズとカメラと の距離、そして、座る、立つの両チョイスを提供しながら、 これらのニーズを完全に満たしているセッティングです。

“今日の厳しいビジネス環 境下で、革 新 性を促し、競争力を高めたいと願 う企 業にとっては 、このような 環 境 を構築できれば物理的な距離は決 して障 害にはなりません 。”

David WoolfGeneral Manager of Steelcase Integrated Technologies

Steelcaseの商品開発において今後重要な役割を果たす のが「テクノロジーとの融合」でありそのテクノロジー強化 の一貫として米オレゴン州ポートランドに最先端の分散型 チームスペースを実現しました。

そのスペースでは14人が働き、面積は狭いが、そのチョイス は広範囲にわたり、密接なコラボレーションも含む、分散型 チームの幅広い活動をサポートしています。2台のビデオ会 議システムは1日の大半を通して接続されており、ドイツ、ミ シガン州やジョージア州のチームメンバーと頻繁にコラボ レーションが行われています。彼らはまさに分散型チーム の典型として、コンテンツ主導型ワークを実践しており、ブ レーンストーミングから予算管理まで、距離を超えて全員 が密接につながっています。

「今日の厳しいビジネス環境下で、革新性を促し、競争力 を高めたいと願う企業にとっては、このような環境を構築 できれば物理的な距離は決して障害にはなりません。」と 語るのはポートランドオフィスでチームをリードするWoolf 氏です。「このスペースは見事に成功しました。恊働する上 で最適であるだけでなく、国境を超えてグローバルにつな がり、コラボレーションできる環境を実現しています。距離 を縮めたことで、地域ならではの専門的知識を利用するこ とができているのです。これはまさに距離の効率化と専門 的知識の結合といえます。そして、また、距離を超えて、個人 的レベルでの連帯感と信頼関係を構築し、チーム力をさら に強固なものにします。このように非常に積極的な方法を通 してテクノロジーとスペースを融合し、社員の労働意欲や士 気を高めることに成功しました。」

リアルを融合する

分散型チームで働くことは決して容易なことではありません。言語、タイムゾーン、文化や慣習などの違いが時には大きな妨げになる場合もあります。それに加えて、テクノロジーが人々をつなぐに連れ、新たな問題を引き起こしています。特に「存在の格差」の問題は「私たちと彼ら」対「私たち」という対立を表面化させ、例え、確固とした目的を持った分散型チームでさえも減速してしまうことはよくあります。

しかし、それを避ける方法で高いパフォーマンスを誇る分散型チームの構築は決して不可能ではありません。但し、物理的環境を考慮にいれないで、距離的問題を解決することはできません。例え、チームが常にネットを介してバーチャルで働いているとしても、リアルな物理的環境がどうデザインされているかは避けて通れない問題なのです。

「今日の分散型チームを成功に導くには知識とアイディアがスムーズにフローするシステムを構築する必要があると私たちは考えます」とKammer氏は言います。「物理学でいう流動性とはある一定のストレスの中でモノが絶え間なく流れ動く様子を指します。この概念と同様、チームも回復力や適応力を発揮出来るスペースを必要とし、それによってマーケットの急激な変化にも迅速に対応しながら働き方を変化させていかなければなりません。」

media:scape kioskはグループセッションの間の1対1のビデオ会議など、創造型コラボレーションチームの強力なツールとして活躍します。

テクノロジーだけでは分散型チーム力を発揮させることができないのと同様に、物理的なスペースだけでも、その実現は不可能です。2つが共に機能すること、つまり、人々が必要とし、望んでいるものを深く理解した上で、テクノロジーがスペースに融合された時に始めて、弊害となっていた距離のギャップを埋めることができます。

今日、対面式コミュニケーションに取って代わる体験はないともいえます。しかしながら、適切なテクノロジーを適切な方法でオフィススペースに組み入れることで、少なくとも分散型チームを成功に導くためのステージを築くことはできます。そこでは信頼の構築、知識の伝達、アイディアの創出など、今日多くの企業に不可欠な活動を実現することが可能になります。


分散型チームスペースをデザインする際に考える6つの要素

まずは、分散型チームが抱える課題を深く理解すること。分散型チームに関するSteelcaseの調査から導きだされたインサイトをベースに私たちは下記の定義づけをしました。

1. カメラとマイクの配置を考慮する。すべての参加メンバーが画面に映り、音声がはっきりと聞きとれるレイアウトを考える。参加メンバーは全員とコンテンツを見ることができるように複数の画面を設置し、人が動いてもカメラが追従し、コミュニケーションのフローがスムーズに流れるように配慮する。

2. グループ作業とプライバシーの間を流動的に移行できるゾーンを配置する。コラボレーション型チームが、1日を通してこれらのワークモードの間を迅速にシフトできるようにすること。壁にガラス素材を多く使用し、視覚的アクセスを確保しながらも音を遮断できる環境をつくる。チームスペースに隣接してアンクレイブ(隠れ家)を設置し、チームメンバーがその場を離れることなく、一人になれる環境を創出する。

3. 参加メンバーがエネルギッシュに、積極的に会議に参加できるように、スペースを動き回ったり、さまざまな姿勢を簡単にとれる環境づくりを心がける。スツール高のテーブルの場合、立ち上がってもカメラに映ったままの状態をキープでき、動くことが容易になる。ビデオ会議にラウンジを設置することで、会議中に身体を動かしたり、リラックスさせたりすることが可能になる。

4. 両方の側が同じ体験ができるように設計する。すべての場所に同じ環境を創出し、同じツールとテクノロジーを装備する。出来るだけ多くのアナログ、デジタル表示を組みいれ、分散型チームの共有意識を促す。

5. 「場」が信頼関係を構築する上でどのように役立つかを理解する。例えば、チームスペースの外側に「ワームホール」と呼ばれる常につながっているリアルタイムのビデオ会議のセッティングを設けるとしよう。これは2つの「場」をつなぐ窓のような機能を果たし、必要に応じて、人が入れ替わりコミュニケーションできるツールとして威力を発揮する。

6. チームサイズとビデオ会議の内容スケジュールを立てる。1対1の相互交流、ペアでの仕事、コラボレーションはチーム全体でのセッションと同様に重要である。チームスペースに隣接したビデオ会議用キオスク、その中に設置された静かなコーナーエリア、そしてモバイルソリューションなど、できるだけ多くの「場」のチョイスを提供することで、不動産であるスペースを最大限に生かし、テクノロジーの活用も促すことができる。

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