オープンレイアウトにプライバシーをつくる

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あなたはオープンレイアウトの中で仕事をしていますか? 気に入っていますか? この質問をオンライン上で投げかけるとその答えは明らかに「NO」であった。

米国の就労者の70%以上はオープンレイアウトのオフィスで働いているにも関わらず、気に入っている人は少なく、不満も多い。その理由は騒がしい、邪魔が多い、落ち着かないなどである。今日の就労者の74%はプライバシーを気にしている。この現象は10年前では考えられないことである。

つまり、オープンレイアウトは良くないということだろうか? それも「NO」である。私たちの研究調査によると、今日のオープンレイアウトの問題はワーカーが動き回る自由度やプライバシーが必要な際に使用できるスペースがないということである。ネットコミュニティからの声は仕事中ずっと他の人に見られたり、聞かれたり、さまざまな外的刺激が押し寄せることからくる精神的苦悩を訴えている。

有効な5つのプライバシー戦略

まず、プライバシーがある「場」とは必ずしも壁やドアに囲まれた空間を指すわけではない。私たちの研究によると、人間は無意識レベルでプライバシーを調節している。私たちはワーカーが欲求不満を感じることなく、生産的に仕事をこなすために有効な5つのプライバシー戦略を下記のように定義している。

  1. 戦略的に自分をださない:名前を伏せる/見えなくする

    もちろん、誰も知っている人がいない場所で仕事をすれば、誰にも邪魔されずに仕事に専念できる。しかし、オフィスではなかなか難しいものがある。あなたの会社では自席の近くに邪魔をされずにひとりになれる場所がありますか?

  2. チョイスしながら自分を表現する:他者から見えるものを選ぶ

    ワーカーが働く場をチョイス&コントロールできれば、プライバシーをコントロールしやすくなる。特にモバイルワーカーは自席がないため、会社に帰属しているという意識や他者とつながる機会が少ない。モバイルワーカーには、オフィスで場所を選びながら仕事をする際にその場をパーソナル化できたり、ビデオ会議より電話会議を選択できる自由度は与えられているだろうか?

  3. 信頼して他者に託す:極秘事項の共有

    オフィスの中に1-2人で集うことができる「場」があるだろうか? 査定やプライベートの会話など、人に聞かれたくない会話をする場所も必要なのである。

  4. 意図的に保護する:自己保護

    ワークプレイスには邪魔が入らないように間仕切りで空間を仕切ったり、家具を動かしたりできる柔軟性をもたせることができる。壁ぎわの席を選ぶ人をよく見かける。それは人が背後から来ないという心理的な安心感を与えるからである。

  5. 意識的に孤独に身を置く:距離を置く

    誰でも時々は他者から離れてひとりになれる「場」が必要である。仕事に深く没頭したり、コーヒーを片手に熟考したり、内省したりという時間だ。外向的な人でさえ、そういう時間が重要になる。それはただ、あることから他のことへとシンプルに精神的ギアを移行するだけのことでも効果がある。

オープンレイアウトのオフィスにおいては、大々的な改革をしなくてもこれらの5つのプライバシー戦略でスペースを簡単に進化させることができる。しかし、これを実施する際の最初のステップは、企業がまずはオフィスでのプライバシーとコラボレーションのバランスを図ることの重要性を認識することである。社員に情報や外的刺激を調整できる「場」を与えることで、オフィスは働くのに最適な「場」に生まれ変わる。

5つのプライバシー戦略とグローバルに実施したSteelcaseの研究調査についての詳細はSteelcaseの360マガジンの「職場でのプライバシー危機」をご覧ください。