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新・働き方でオフィスに多彩なカラーが出現

新・働き方でオフィスに多彩なカラーが出現

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今、オフィスは昔のように決して静かではなく、活気がある「場」である。人々は一日中自席に座って同じ作業をしているのではない。そこはイノベーションに向けて創造性を発揮し、様々な作業モードが行き交う「場」になりつつある。どういう作業をするかによって、働く「場」も再考されなければならない。人々は今までのように退屈で画一的なオフィスを拒み始め、自宅ににでもいるような快適な仕事環境を求めているの。今、仕事と生活の境界をより曖昧になる中、オフィスに溢れる色彩という要素が大きな役割を果たし始めている。

「これは設計デザイナーにとってはこの上ない喜びなのです。私自身もこの傾向を大変嬉しく思っています。業界ではありえない仕上げや張り地を開発して、それを導入できるのですから。」と語るのはSteelcaseのグローバルデザインのディレクターであるBruce Smith氏だ。

Smith氏とシニアインダストリアルデザイナーであるJulie Yonehara氏は、色の開発チームと協力し、設計デザイナーがオフィスでの創造性や自己表現を可能にする7つの新色コレクションを開発した。360誌編集部は、どのようにそのカラーコレクションの開発に至ったかをインタビューした。

360: 色はどう人間に影響を与えるのですか?

Bruce: 色が面白いのは誰もがそれについての視点を持っているからです。ですから一般的な判断が難しいのです。私はライムグリーンのTシャツが好きでも、中には嫌いな人もいます。こうやって私たちはデザイン上の問題を解決しています。チェアをデザインする際、チェアの構造やカタチが決定する前に色をつけることはしません。色は人によって好き嫌いがあって、それを見た瞬間に感じるのです。

Julie: 色は人間の感情や記憶を呼び起こします。 70年代、80年代、90年代を振り返ると、その時期の色彩トレンドがすぐに頭に浮かびます。色はブランド(例えば、コカコーラの赤と白)、性別(女子のためのピンク)、職業(消防士の赤)と深く関連しています。人によってその嗜好も大きく異なります。平和やエネルギーを表すこともあります。その人の育った環境や好み、文化にも左右されます。個々に色彩感情を持っていて、色は精神的効果もあるのです。

360: 今のトレンドや動向はありますか?

Bruce: オフィスデザインがより多彩になることで色彩がより複雑になってきています。当社でも既存のカラーパレットを常に見直し、マーケットの動向を探っています。それを見直し、強化し、拡張するのが今だと私たちは考えました。仕上げや張り地がより多彩で豊富になるように (See: 例えば、当社のNew Black、合板、Luxコーティングなど)、色の種類が増え、色味も深くなり、雰囲気があってよりトレンディになってきています。この変化をもたらしているのが、より人間主体で快適なスペースへの人々の欲求です。

360: これらの新色コレクションを開発するには大変なご苦労があったかと思いますが、その開発背景を話してもらえますか?

Julie: これらのカラーパレット開発にあたって考慮したのが、素材や質感、そして、色が空間デザインや人間の感情にどう影響し、そこで働く人々をどうつなぐかということでした。私たちが選んだ色が、インテリア市場の動向に基づいたお客様の選択肢を増やし、オフィスデザインを向上させるシステムとして機能するものと私たちは信じています。

Bruce: これらの色を開発するにあたってJulieが発見した4つの動向、文化的アイデンティティ、バイオフィリア、創造性、地域性などの要素も考慮されました。

 

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色についてのストーリー

新・働き方がオフィスに多彩なカラーを生み出しています。

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色についてのストーリー

新色コレクションが、企業文化の変化を可能にし、職場の雰囲気を活性化します。

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色についてのストーリー

素材に重点を置くことで、オフィスは仕事と生活を橋渡しする人間主体の環境へと変化します。

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色についてのストーリー

今までにない色と素材が今日のナレッジワーカーの感情を刺激し、人々を魅了するスペースを演出します。

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色についてのストーリー

今、仕事は今までにないよりリラックスした環境の中で遂行され、その時代を先取りした素材や色がその変化をもたらしています。

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色についてのストーリー

職場での豊かな多感覚体験が、居心地の良いオフィス環境を創り出します。

360: その4つの動向についてもう少し詳しく話してくれますか?

Julie: では、まず文化的アイデンティティから始めましょう。私たちは、開発する色が「多様性」を持つように世界中のさまざまな国の文化からインスピレーションを得ました。色は住んでいる環境や異なる民族にとってどういう意味を持つかを表現しています。バイオフィリアは、自然と本来は繋がっているという人間の自然への欲求や愛です。人間は自分を生き生きさせる場所を求めていて、自然界にある要素を環境に取り入れることでそれが可能になるのです。例えば、観葉植物から張り地の模様とかです。色という観点から言うと、これらの新色は全て自然界に存在するもので、人間の本来持った豊かな感覚体験を呼び起こすものです。

Bruce: これらの新たな色をオフィスに取り入れることで、選択肢が広がり、そこで働く人々の創造性を加速させ、イノベーションにつながるものと私たちは考えました。色は、人々が仕事に専念できる空間づくりに貢献すると同時に、当社のお客様であるグローバル企業は、世界中どこでも一貫した仕事体験を社員に提供したいと考えています。私たちはまず、キャンバス(壁、天井、床)向けに流行に左右されないタイムレスな色、そして、時代に合った色(アクセントカラー)を補助色として追加することで、それぞれの地域や文化に基づいてスペースをカスタマイズでき、時間の経過と共に変更できるようにしました。

360: テクノロジーによって、色に対する見方が変わりましたか

Bruce: テクノロジーは、急速な進化を進める原動力となる大きな要素です。今はテクノロジーなしでは何もできない社会です。 PCで世界中をツアーしたり、デザイナーがどんな自宅や車を持ち、どういう靴下を履いているのかまで配信される世の中です。その情報量は莫大なものです。

Julie: 同時に、ソーシャルメディアがスナップチャットイエローやミレニアムピンクなどといった色のトレンドを創り出しているのも事実です。 80年代、すべての企業のオフィス環境はどれも同じで一色でした。今、仕事場、家庭、ファッション、テクノロジーが融合する中、その色彩の幅は豊富で見ていても楽しいものです。

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