「イノベーション」に関する考察

マインドセットを変える

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LINCは社内のインキュベーター的役割を果たし、より強固な人的ネットワークを構築し、世界中に広がるメンバーとのより効果的なコラボレーションを可能にします。かつてはヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEAと総称)に分散していた部門の垣根を超えたチームを集め、経営幹部リーダーたちはLINC内の社員の近くのゾーンに席を構え、より創造的な問題解決に共に参加し、組織レベルでのより密接なコミュニティを築くことを目指している。

組織的変革を促すことを目的に創設されたLINCは、ラピッドラーニングという超スピード学習や創造型ワーク、アジャイルチームといったことがイノベーションを生み出すこと、そして、物理的空間がそれを促進していくという考え方をもとに設計、デザインされている。

「人々の行動が変わるとそのマインドも変化します。そして、それは職場での体験を通して起こるものなのです。」

Laurent BernardSteelcaseのグローバル人材管理担当副社長である

同社が追求していたマインドセットの転換を図るために、「学習」という要素がその根幹に位置づけられた。以下のシンプルかつ深い3つのインサイトが、既存の学習方法の他にインフォーマルな学習もサポートするスペースデザインへの指針として設定された。

360 Magazine, Inside Innovation
組織的変革を促すことを目的に創設されたLINCは、ラピッドラーニングという超スピード学習や創造型ワーク、アジャイルチームといったことがイノベーションを生み出すこと、そして、物理的空間がそれを促進していくという考え方をもとに設計、デザインされている。

1. 「学習」はどこでも起こる
「学習」という行為は教室だけに限られるものではない。今日、仕事がより可視化され、人々がよりつながる環境の中では、従業員は問題解決に参加するだけでなく、どう問題が解決されていくかを見聞きし、その中で全員が学んでいくことになる。

2. 「学習」とは終わりのない旅である
「学習」とは、会議やトレーニングに出席するといったような一時的なものではない。むしろ、それはリスクを冒すことに寛容で、常に新たな何かに挑戦し、失敗から学ぶことを奨励するカルチャーともいえる。

3. 誰もが教師、誰もが生徒である
教えることはそれを仕事としている人、また、幹部や勤続年数が長い従業員だけがすることではない。皆が教えあい、アイデアや経験を共有することが重要なのだ。「知らないことは知らない」と認める謙虚さを奨励する企業風土があって初めて、新たな思考を受容できるようになる。

「学習する組織とは、誰もが意見し、アイデアを出し、能力を活かしながら組織に貢献できるということです。つまり、重要な意思決定や企業のビジョンは、決して経営幹部だけがするものではないということです。すべての従業員が現状を把握する権限を持ち、会社のあるべき姿を語り、従業員自らが熱意を持ってその変化を起こそうと思うことなのです。」とBernard氏は主張する。


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