アクティブラーニングで教室を再生する

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学習意欲には注意力が必要である。広い教室での注意力は特に維持するのが難しい。教員は学生の注意力を持続させるためにあらゆる努力をしているが、教室で携帯デバイスを利用する機会が増えるにつれ、学生はさらなる注意散漫に陥ることが予想される。

学校や大学を訪問した際に目についたこと、それは多くの学生がマルチタスクで学習し、授業中も携帯デバイスに気をとられている姿だった。教員は部屋の中央で講義をしている最中でも、学生たちはメールをチェックしたり、フェースブックを閲覧したら、ビデオに夢中になっている。ある学生はNBAのバスケットボールの試合をノートパソコンで見ていたのには驚いた。

現在、多くの教員たちはこの注意力散漫対策に必死に取り組んでいる。何故なら、この状況は伝染病のように蔓延化していくからだ。ソリューションとして、カメラで監視したり、携帯デバイスの利用を取り締まったり、また、ノートパソコンやタブレットを使用する学生を前列に着席させて行動を見張っている教員もいる。

Steelcaseの調査では、従来の学習体験は、特に注意力という点では人間の脳の機能に適合していないと明らかにしている。今日、学生の注意力を散漫にさせる要因はさまざまで、学習意欲を向上させるのが困難になっていることは確かである。

教室をアクティブにする

携帯デバイスの使用を制限したり、学生が座る場所を指定するのもひとつの方法ではあるが、ある研究(Diane M. Bunce et. Al. 2010年)はアクティブラーニングの採用がひとつの効果的な方法であるとも結論づけている。アクティブラーニングは一方的に講義を聞くのではなく、学生自らが動き、考えることを要求するからである。

Steelcaseではアクティブラーニングを学生がより集中して学習体験ができる物理的環境と定義づけている。前述のBunceの調査では、受動的な講義方法とクイズやデモなどを含むアクティブラーニング手法を比べている。アクティブラーニングの場合は注意力が落ちる回数が少ないこと、また、アクティブラーニングの後に講義することと比べて、講義の後にデモをしたり、質問を投げかけることで注意力を持続できることも指摘している。

Steelcaseの調査の結果でも明らかなように、アクティブラーニングを念頭に意図的にデザインされた教室は、従来の机とイスの列が並んだ教室と比べて、複数の方法で学生の学習意欲を高めていることは事実である。

アクティブラーニングの授業では、学生は携帯デバイスに気を取られる時間もなく、また、グループ作業においては授業中のルールよりも、学生同士がお互いに責任を持ち、刺激しあう環境がより効果を高めていく。他の対策としては脳の本来のリズムを取り入れるとか、休憩をとるということも効果を発揮する。脳がどう機能するかをより深く理解すると、教室環境が学習意欲の注意力にいかに影響を及ぼすかが分かってくる。

学習・教育環境での注意力に関するリサーチについては、「教室での学生の注意力を向上させる」をご参照ください。


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