「プライバシー」 への渇望

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かつてないほど、人々は仕事場にプライバシーがないことに対する不満をブログやチャットルームで独り言のように公開し始めています。オープンレイアウトのワークプレイスがどんなものか、中断される要素が多く、環境的にストレスフルで1人での作業がまったくできないなど、多くが思考に集中できないと語っています。そして、この状況を好機と捉えた企業があります。ハイエンドなヘッドフォンを開発するメーカーです。そのメーカーは「大好きな音楽を聞いたり、同僚の声の代わりに静寂な時間を。」と訴求する広告を展開しました。しかし、その広告に足りなかったメッセージはヘッドフォンを使用することで、仕事に必要な会話も遮断することになり、せっかくのオープンレイアウトの利点さえも生かすことができないということです。音による邪魔は大きな問題のほんの一部でしかないのです。

サイバースペース上でのチャットや広告が盛んになっている一方、他からもワーカーのプライバシーにまつわる問題が浮上しました。そして、C-スウィートと呼ばれる企業のCがつく役職たち(CEO、CFO、COOとか)に緊急課題として警鐘を鳴らしました。

グローバルワークプレイスに関するGallupの最新調査によると、世界中の就業者のたった11%が労働意欲を持って、仕事に充実を感じていると答え、63%は意欲が持てずに企業の目標や成果に対して努力する気がないと回答しています。しかし、データを部分的に見ると、米国では少なくとも時間の20%までを遠隔から仕事をしている人々が最も労働意欲があることが分かりました。ここから明らかになることは労働意欲がある人は基本的に同僚とのコラボレーションや相互交流、そして、遠隔からの1人での時間の両方をバランスよく取り入れていることでした。しかし、多くの企業リーダーたちはプライバシーが必要な時に社員を家に戻すのは決して効率的ではなく、イノベーションを加速するというよりはむしろ人々を刺激し、つなげてきた絆を弱め、失速させてしまうのではないかと感じているのです。

さらに、グローバル市場調査会社であるIPSOSが実施したヨーロッパ、米国、アメリカの10,500人以上のワーカーを対象としたSteelcaseの調査でも、職場でのプライバシー空間の欠如は問題提起されました。調査結果ではワーカーは集中でき、中断されずにチームで作業を遂行でき、作業内容に応じて働く「場」を選びたいと望んでいるにも関わらず、企業サイドはまだそのニーズに対応できていないことが明らかになっています。

しかしながら、プライバシーが確保され、ワークプレイスにも満足しているワーカーの11%の人は仕事に対して意欲を持っているということです。その反対に、ワークプレイスに満足しない人の多くが意欲を持てないと答えています。この研究によってSteelcaseの研究員が結論づけたこと、それはワークプレイスが社員の労働意欲に非常に大きく影響を及ぼすということでした。

ワークプレイスへの満足度が社員の労働意欲を強める

グローバル市場調査会社であるIPSOSによって実施されたSteelcase調査ではワークプレイスの満足度と労働意欲が強い相関関係にあることが明らかになりました。

回答者のたった11%がワーク環境にかなり満足し、その多くが仕事に意欲を感じていました。これらの回答者がワークプレイスに望むものは:

98% 容易に集中できる
97% 自由に表現し、アイディアを共有できる
95% 中断されずにチーム作業ができる
88% 作業内容にあわせてオフィス内で働く場所を選択できる
95% リラックスし、落ち着ける
97% 会社や企業文化への帰属意識を感じられる

労働意欲の欠如からくる損失

USA 4,500-5,500億ドル
ドイツ 1,120-1,380億ユーロ
オーストラリア 548億ドル
イギリス 520-700億ポンド

Gallupによるグローバルワークプレイス報告書(2013年度)