プライバシーという枠組み

Hyderabad Showroom

研究員たちが多くの研究を統合した結果、明らかになったことはワークプレイスでのプライバシーのニーズをサポートするには多様な環境が要求されるというものでした。

今までは個室に対して主にプライバシーを考える傾向がありました。今までのこの支配的な考え方はワークプレイスのデザインにも大きな影響を及ぼしてきました。私たちの研究によると、人は様々な理由と様々な時間枠でプライバシーを求めているのです。それは時に1時間座りながら集中できる場所であったり、気の狂うような会議の間の短い20分を使って静かな場所に身を置き、心を静めたり、冷静に考えたりというプライバシーを必要としているということです。私たちはオフィスの中でこのプライバシーのニーズが高まっていることに着目し、必要に応じたパーソナル空間やユーザー自らがパーソナル化できるさまざまなスペースを提供することでオフィス全体の中のパーソナル空間を改革しています。そして、仕事場で社員が自由に自分で働く場を選択し、コントロールできるようにすることは社員のウェルビーングと生産性向上のための鍵となります。」とDona Flynn氏は述べています。

「プライバシー空間とは必ずしも四面を壁で囲んだドアがある部屋ということに限りません。二面の壁でもオープンレイアウトでもプライバシーを確保することは十分に可能です。問題はユーザーがどのような環境を求めているかということです。」とRedman氏は言います。

個室でなくても、ユーザーのニーズに対応したインフォーマルなセッティングは一般的な人間味のない環境よりもよりパーソナルな雰囲気を創出します。例えば、間仕切り機能も併せ持つハイバックのラウンジチェアは半分プライバシーが確保できる空間を創ることができます。

多くのワーカーにとって、プライバシーの必要性はまるで1日の間の潮の満ち引きのように、彼らはプライバシーレベルの低いコラボレーションやメールチェックのようなものから、高度なプライバシーが要求されるデータ分析や創造プロセスのような作業の間を行き来しながら仕事をこなしています。ハンガリー出身の米国の心理学者であるMihaly Csikszentmihalyi(ミハイル チクセントミハイ)博士は同氏が提唱した「フロー理論」の中で人間は我を忘れてものごとに完全に浸りきると日常の決まった作業をしているとは思えないような精神状態、つまり「フロー」の状態になると説明しています。もちろん、個人やチームにとって、プライバシーだけではその「フロー」状態をつくりだすことはできませんが、プライバシーが欠けてもその達成は困難であることは確かなのです。

人は個人の達成目標に向かって1人で仕事に打ち込むと同じぐらい、コラボレーションも同時に欲しています。すべての時間を1人で、またはコラボレーションしながら仕事をすることはタバコが健康に害をもたらすように、その成果にマイナスの影響を与えるのだとDavid Rock氏は主張しています。

「コラボレーションが定着する中で見過ごされてきたもの、それはひとりの時間の大切さです。」

Donna Flynn

「ソーシャルな交流は脳の活性化につながり、人間を正常な状態で維持させるための重要な行動のひとつです。」とRock氏は言います。

何故なら、脳は社会的機能を持ち合わせているからです。例えば、誰かが自分のデスクを通りかかったら、顔を上げるのは無条件に反応する動作です。デスクを通りかかる人やメールを受信したりすることは避けようがありません。ですから、これらの気を散らすものを遮断し、深く集中できる時間とスペースが必要になるのです。私たちが考える真のコラボレーションとはグループとして集まり、思考を視覚化し、一度グループと離れて1人で静かに作業をし、またグループに戻るというものです。熟考し、グループになり、熟考し、グループになるという繰り返し作業が理想的です。

ワーカーをサポートする方法は1人の時間とコラボレーションの間を行き来できる方法を提供すること、つまり、問題を考えるために集い、アイディアを温めるために1人になるという一定のリズムをつくってあげることです。Donna Flynn

何故なら、プライバシーと一体感に対する人間の欲求はまるで陰と陽のように、異なるものが補助的に補いあっている状態で、それにはたったひとつの最適なワークプレイスが存在するというわけにはいきません。

「コラボレーションが定着する中で見過ごされてきたもの、それはコラボレーションをしながらもひとりの時間の大切さです。」とFlynn氏は語っています。

「このことで必ずしもコラボレーションの価値が減少するわけではありません。私たちの調査では問題を解決するのに多彩な人間が集まれば、より質の高いソリューションを見いだすことができることが分かっています。ただ、今のように1日のうちの8〜10時間もコラボレーションに割く方法は無駄に虚脱感につながるだけだということです。ワーカーをサポートする方法は1人の時間とコラボレーションの間を行き来できる方法を提供すること、つまり、問題を考えるために集い、アイディアを温めるために1人になるという一定のリズムをつくってあげることです。それがまさに人間の中に備わった本質的なリズムでもあるのです。」とFlynn氏は続けます。

「この極端な2つの間のバランスを見つけることが極めて重要です。オフィスがたどり着く先はまさにこのバランスです。人はテクノロジーのさらなる進化によってますますモバイルになることは間違いありません。このことによってワーカーが1人で意思決定をするという状況を加速化させることになります。」