前進し、俊敏に対応する: 有能な人材を獲得する3つの方法

Read 10分

今日、世界人口の84%は新興国市場に住み、そこには莫大な人口と可能性が広がっている。新興国の夢のような成長率はイノベーションと新たなビジネス機会を切り開くことには間違いはない。しかし、この巨大な潜在性の裏には恐れを知らない偉大な指導者たちでさえも考えも及ばない多くの問題があり、その道のりは困難であることも確かである。特に、中国やインドなどの急成長市場での人材競争は激化している。

インドの人材市場は急成長しており、25〜30年後には、米国の人口と同じぐらいの労働人口が加わることが予測されている。技術的スキルと英語が堪能な大卒者は依然として多くの需要がある。一方、中国市場はインドとはまた異なる様相だ。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートMcKinsey Global Institute. によると、中国では高齢化によって2020年に2300万人ほどの高技能労働者の不足に直面することを示唆している。Steelcaseの独自の調査は両国において、熟練労働者を引きつけて保持することが企業にとっていかに重要な懸念事項であるかが報告されている。

技能取得者の不足

アジアで大規模なコールセンター業務を行っているユナイテッド・ヘルス・グループの不動産担当ディレクターであるBruce Bundgaardは「日々の悩みは優秀な人材をいかに引きつけ、確保しつづけるかということです。」と語っている。

「中国の製造業とサービス業の多くの企業にとって、社員の離職率の高さとスキル不足は大きな問題になっている。」とマッキンゼーは報告している。国際的研究所の最新調査の1つによると、中国の労働者の28%が過去6ヶ月で転職をし、この数字は米国をはるかに上回るものだ。

マッキンゼーのレポートによると、「中国でのサービス業はまだ未熟で、主な理由のひとつはスキル不足です。 人材開発はまさに優先事項なのです。」とも報告している。

多くの企業リーダーたちはこの変化を実感している。デロイトの2016 年度版グローバル人的資本動向レポートによると、世界中の上級幹部および人事リーダーの86%が、来年度の優先事項のひとつとして企業文化を、また、85%が従業員エンゲージメントを重要な優先事項として挙げている。

報酬がすべてではない

それでも、急成長を遂げている市場の多くの企業は、報酬や福利厚生だけでは優れたスキルを持つ人材を確保しつづけることはできないと感じている。経費は出来るだけ抑えなければならない。代わりに、企業は、最高の人材を引き付けて維持する革新的で創造的な方法を模索する必要がある。

「全体のデザイン、納品サービスの質やアメニティは、従業員が自分の職場環境をどう認識するかにおいて重要な役割を果たしています。私たちの目標は、リース期間中、お客様の企業をサポートできる柔軟性と適応性の高い職場環境を提供することです。」とBundgaard氏は述べている。

多くの企業リーダーたちは、企業の価値観を表現し、従業員の意識を向上させる企業カルチャーを構築する責任があるが、それをどう達成すべきかを模索しているのが現状です。 デロイトの調査によると、ミレニアム世代や他の世代の職場環境で「非常に良い」と回答しているのは回答者のわずか4%に過ぎない。

Steelcaseのグローバルレポートは、世界中の企業リーダーにとって、従業員エンゲージメントがどれだけ大きな好機につながるか、また、世界のワーカーの中で高い従業員エンゲージメントを持つのはたったの3人に1人だけだと報告している。

中国では、仕事への前向きな気持ちがあるにも関わらず、エンゲージメントレベルは問題となっている。調査での最大グループは、仕事での意欲も中間に位置する人々である。これは調査対象国の17カ国のうち2番目に高い数字である。

非常に競争が激しく流動的な人材市場では、毎日出社したいと思える職場環境を提供することが有能な人材を引きつけ、つなぎとめる強力な方法にもなりうるのだ。このことを念頭に置くと、グローバルに事業を展開する企業はこの職場環境を従業員の意識や感情、行動を形作るためのツールとして活用することもできる。調査でも中間に属するワーカーの存在はイノベーションと競争力を強化したいという企業にとっては大きなリスクともなりうるのである。この問題に対処するには、ワーカー自らが働き方をコントロールできる環境を与えることも一つの方法かもしれない。

インドでのSteelcaseの行動観察調査では、人々は自席近くでの1-2人でのミーティングや大人数でのインフォーマルなミーティングやコラボレーションができる高いプライバシーと柔軟性を持つスペースを求めている。そして、中国でもインドでも1日を通してオフィス中を容易に動きながら仕事ができるスペースを望んでいることがわかった。

おいで!

同じようなデスクが所狭しと並ぶ混み合った空間にいつでも置き換え可能なワーカーがいるオフィスを想像してみてほしい。この職場は転職率が高く、ワーカーの士気が低いオフィスである。そして、それとは全く違う、人々が尊重され、働きがいがあるオフィス。自席ではユーザーの個性を表現でき、プライバシーもあり、必要であれば上司や同僚と容易にコラボレーションができる空間だ。それはまさに仕事に対しても意欲的で高いレベルで仕事をこなせる人が集まるオフィスであることは間違いない。

国際保険仲介業者ウィリスグループの一部門であるインドのウィリス・プロセシング・サービス(Willis Processing Services)の最高情報責任者であるMahendra Bangalore氏によると、同社が募集した最近の大卒は明るくカラフルな自席スペースを求めていて、彼らに毎日オフィスに出社したいと思える職場環境を提供したいと思っていると語った。実際、この企業はオフィス空間を再考し、フォーマルとインフォーマルの両方のコラボレーションが可能なスペースを提供している。

変化のペースに追いつくために、企業は異なる様々なタイプのスペースを融合し、そこで働く人々を適切にサポートする必要がある。 「これらの成長市場が成熟するにつれて、オフィススペースも進化しなければなりません。」とSteelcaseのアジア太平洋地域マーケティング担当副社長Jason Heredia氏は語る。

また、新興国は西欧諸国とは異なり、どこで働くかの自由を選択する余裕があるとは限らない。地域によってはこれらの場所が存在しないか、休憩も長くないという現実の中で、カフェで仕事をしたり、人に会ったりすることは難しいこともある。その中で、ウイルスグループの新オフィスのカフェテリアはまるで社内のスターバックスのように仕事やインフォーマルなミーティングが自由にできるように設計されている。

あなたの職場環境を活性化する3つの方法

Steelcaseの研究員たちは、企業リーダーたちが「場」を通して従業員エンゲージメントを改善できる方法を3つ提案している。

#1狭い職場環境の中で従業員ウェルビーングを向上させる

Navi TeamIsland

プライバシー要素をスペースに組み込むことで、人々は尊重されていると感じるものである。Steelcaseのデザイナーは、新製品、 Navi TeamIslandデスクシステムを設計するにあたり、プライバシー要素を組み込むために、薄い間仕切りやポディウムと呼ばれる止まり木のような便利アイテムを開発している。

個人用収納スペースや携帯デバイスを常に充電でき、自分仕様と感じられるデスク環境を可能にしたのがNavi TeamIslandである。

「友人や家族の写真を貼るピンボードや自席でどう座るかのチョイスなど、自席まわり少しでもカスタマイズできるようになることで、狭く混雑したスペースにも人間味を持たせることができます。」と語るのはSteelcaseアジアパシフィック地域のデザインディレクターであるMichael Held氏である。

#2 限られたスペース内の選択肢を増やす

Navi TeamIsland

Navi TeamIslandは高く座るという「高座位」を提案している。それによって人々は仕事の仕方や座る、立つといったチョイスを自席で持てることになると同時に、立位高のワークエリアを戦略的に職場環境の中に配置することで、より自然に容易に対話ができるきっかけを創出する。さらに、ワーカーに一日を通して姿勢を変えるチョイスを提供することは、身体的、認知的ウェルビーングにつながり、より意欲を持って仕事に集中しつづけられる環境をつくることにもなる。

#3 限られた人材で急激に変化する環境に柔軟に適応する

急速に変化するビジネス環境の中で、コラボレーションを促進し、人と人、人と情報をシームレスにつなぎ、ローカル、グローバル両チームが容易に恊働できる環境をつくることが求められている。まさにそれを可能にするために設計されたのがNavi TeamIslandのトラポイドシェイプの天板である。自席に置かれる止まり木のような小さなポディウムは同僚との素早い会話をサポートし、目の高さでコミュニケーションできることでチーム内の平等と信頼の雰囲気を築くのに役立っている。ベンチにエンドテーブルを組み合わせることで、自席近くでの即座のコラボレーションもスムーズで、テクノロジーを装備することで効率的で素早いコンテンツ共有も可能になります。

Navi TeamIsland

これらの急成長市場における課題に対応するために生まれたのがこのNavi TeamIslandである。Steelcaseのデザイナーは「場」をツールとして戦略的に活用することでどう企業の成功を導けるかの広範囲にわたるリサーチを実施している。