人類 + 地球

ESGに特化:ウェルビーイングを最優先するSteelcase Shanghai WorkLife Center

Read 3分

上海に構えるSteelcase WorkLife Centerは、 柔軟かつ持続可能、コラボレーション主体のイノベーション溢れるSteelcaseのライブオフィスである。2019年の創設以来、未来の働き方や働く「場」を先導しながら、その先進性は今も変わりがない。

M Moser Associatesによって設計された8,600平方フィートのその施設は、高度な換気システムから、エネルギー効率の高い照明、多用途なスペース構成、最先端の人間工学、多くの自然要素、柔軟なクリエイティブスペースまで多彩な要素を取り揃えている。その目的は従業員のウェルビーイング改善とコラボレーションの強化である。

環境、社会、企業統治(ESG)をデザインの中核に据え、人と地球を守ることが最優先され、健康とサステナビリティへの投資の証として、2018年と2019年にアジア太平洋地域で初めてLEEDゴールド認証とWELLシルバー認証を取得した。

米国グリーンビルディング評議会の環境性能評価システムであるLEED基準は、建物の持続可能性とエネルギー効率に焦点を当てているが、人の健康、建物や環境の性能評価システムである国際ウェルビルディング協会のWELL基準は、建物の居住者の健康状態や注意力を分析するものである。

上海の西南京路にある有名なHKRIセンター内に構える同施設の入り口は、廃材や端材からアップサイクルされた木材を生かしたハンドメイドの象徴的な壁が印象的である。これを制作するためにM Moserは、かつて上海の住宅の60%を占めていた歴史的な木造の家longtangからの再生材を活用して、都会とSteelcaseのスピリットを抽象的に表現したアートオブジェとして完成させた。

「スペースに入った時の最初の視覚的タッチポイントが外界との間の緩衝材的役割を果たしています。」と語るのはSteelcase APAC EMEAのインテリアデザインチームのノガ・ラッサーである。「レイヤー的に設置されたパーティションは、完成形ではなく、不完全なカタチに敢えてすることで継続的な評価やテストをし、失敗を繰り返しながら改善を重ねていくという革新的なプロセスをとっています。未完成であることが進化を想像させることにつながっています。」

「上海を分断するように流れる黄浦江(コウホコウ)から着想を得た湾曲形状で通り抜けるための入り口を表現しています。」

NOGA LASSERSteelcase APAC EMEA、 インテリアデザインマネジャー

Shanghai WorkLife Center

自然との一体感を重視するコンセプトは、開放的で風通しの良い空間全体に多くの植物と木材を取り入れることにも通じている。建築空間の中での自然とのつながりに重きを置くバイオフィリックデザインは、リフレッシュ効果やストレス軽減、空気の清浄化などに寄与すると言われている。

また、スペース全体は、健康を意識したWorkCaféのまわりに多用途なワークスペース、ミーティングルーム、ラウンジエリアなどを配置し、流動性やつながり、コミュニティとしての一体感をもたらし、従業員は作業内容に応じて最適なスペースを自由に選択できる。

ハイトップカウンターと個人デスクの間を自在に行き来したり、チームでのブレストやプレゼンのための「アイディエーション・ラボ/Ideation Hub」、1対1の対話のための「デュオ・スタジオ/Duo Studios」、ひとりでの集中ワークのための「フォーカス・ルーム/Focus Room」、小休止とリラックスのための「リスパイト・リーム/ Respite Room」を自由にチョイスし利用できるように工夫されている。ヘルシーで低糖質のフードやドリンクが提供される「ワーク・カフェ/WorkCafé」は、カジュアルに人とつながる「場」として活用され、浄水器とリサイクル用ごみ箱で健康と環境保護を意識した消費習慣が促進されている。

SteelcaseとM Moserが毎回、検討を重ねたのが環境への配慮である。例えば、壮大な外景を望む遮るもののない窓からの自然光を多く取り入れる、LED照明器具、「昼光制御」センサーシステムを用いて照明の76%を自動調光にするなどあらゆる場面でエネルギー効率の最大化が考慮された。

また、家具や床材にはVOC(揮発性有機化合物)や接着剤を含まない低排出材料のモノを選ぶなど空気質の改善にも配慮した。さらに、空調システム、個室会議室、空気ろ過システム、PM2.5、TVOC、二酸化炭素、温度、湿度を表示するリアルタイムの空気品質監視システムも完備されている。

こうした試みは従業員にとっても環境にとっても、ひいてはビジネスにとっても好影響を及ぼすことになる。 Steelcaseのウェルビーイングに関する実態調査では、従業員のウェルビーイングと生産性の間には相関関係があることも明らかにされている。働く「場」には、身体と精神両面での健康を改善し、コミュニティとしての一体感を生み出すパワーがある。気分良く仕事ができるとしたら、仕事のパフォーマンスや従業員の士気が上がることは間違いないだろう。

「オフィス設計において、ウェルビーイングやサステナビリティは単なる時代のトレンドではありません」とラッサーは語る。「今日、これらの要素はSteelcaseのレシピには不可欠な材料なのです。」

Related Stories

ルーフトップ太陽光発電を導入

ルーフトップ太陽光発電を導入

スチールケースは、創業以来100 年もの間、人間と社会、地球を守ることを経営の最重要課題のひとつとして位置づけてさまざまな取り組みを推進してきました。

協調に向けた対話とデザイン

協調に向けた対話とデザイン

メルボルンデザインウィークのアート&トークシリーズをSteelcaseが主催。

2021年度インパクトレポート:トップからのメッセージ

2021年度インパクトレポート:トップからのメッセージ

Steelcaseは、脱炭素に向けて第三者機関による検証済みの科学的根拠に基づく目標を設定し、また、DEIへの取り組みを強化し、人権保護のために新たなガバナンス方針を公開しました。