デザインQ+A: 老朽化した建物を救う

所要時間 9分

カリフォルニア州サンノゼにある建築設計事務所であるLPA Architectsが、新しい自社スペースの背後にあるインスピレーション溢れるデザイン思考について語ったインタビューの一部を紹介しよう


Steelcaseのグローバル調査では、職場での社員 のウェルビーングを身体的、認知的、情緒的側面からサポートすることで、職場環境そのものが社員の自発的貢献意欲を高めるための重要なツールとして活用できることが明らかになった。今、オフィスデザインにおいては文化的ムーブメントに似た動きが起きている。それはスペースをデザイン、素材、パフォーマンスに重きを置いた人間主体のスペース設計である。

Steelcaseでは ワークプレイスの進化について、建築家やデザイナーへのインタビューを定期的に実施している。今回、インタビューに協力いただいたのはLPAアーキテクトのプリンシパル/インテリアデザイン部長のパトリック・マクリントック(Patrick McClintock)氏である。LPAはイノベーション経済に必死に追いつこうとしている建物にビジネスの可能性を見出していた。この改装計画にあたっては、デザインをリードしたのはウィンストン・Q・バオ(Winston Q.Bao)とプロジェクトマネジャーのウェンディ・クレンショー(Wendy Crenshaw)の両氏がプロジェクトをリードした。パトリックはLPAと自社のオフィスデザインについて、こう語っている。

Steelcase 360: 編集部:あなたのオフィスの設計デザインは自社の企業文化にどう影響を与えていますか?

パトリック:パトリック:空間を変革するにあたっての私たちの基本的アプローチは、会社が抱える優秀な才能を中心とした設計デザインプロセスを総合的に管理することでした。私たちが考えた多彩なセッティングは、1対1であっても、高度にインタラクティブな環境であっても、スペシャリストからなる多様なグループがどうやったら上手く恊働できるかのソリューション提案でした。目的は創造的かつ革新的な方法でクライアントの課題を解決するために、真に人々を統合する文化を築き上げることでした。

Steelcase 360 編集部: スペース内で採用したソリューション例をいくつか紹介してもらえますか?

パトリック: 従来型とは全く異なる方法で空間を構築するために、今までにない吊り天井、家具内蔵型LED照明、換気扇の取り替え、高天井シーリングファンやその他のインテリア要素を多数採用しています。

また、多様なワークモードをサポートすることも考えました。そのためには、coLABのようなテクノロジーをスペースに統合し、人々が作業に基づいてどこで働くかを選択できるような多種多様なスペースを配置しました。

また、私たちにとって重要視したのがサンノゼの地域社会とのつながりです。私たちは自然光やダウンタウンの景色を室内に多く取り入れることで、持続可能なサステナブルな空間の中で働く人々の生活を豊かにし、会社の使命を継承できるように努めました。

Design Q+A

Steelcase 360編集部: スペースに会社としての使命を反映させるのはなぜ大事なのですか?

パトリック: 私たちは、このオフィスが企業の価値を定義するコアバリューを表現した非言語コミュニケーションであると感じています。その使命を共有するために、巨大なガラスウォールにプロジェクトの概要や肯定をプロジェクターで表示するギャラリーをつくりました。これらの画像や動画は、世界中のあらゆる都市環境で通用する重要な視覚言語です。私たちはこの表示から刺激を受けたクライアントからの多くのコメントを頂きました。

Steelcase 360編集部: あなたはサステナビリティをビジネスの 中核に置いて持続可能な10の設計原則を設定しています。サステナビリティがLPAにとって不可欠な理由を教えてください。

パトリック: サステナビリティという概念は私たち全員が直面する課題に対応できる環境を構築する際の最も優秀なデザインパートナーであると考えています。省エネから人間中心の健全な環境づくりまで、私たちがつくりだした原則はその骨組みを提供するものです。この骨組みは有形で測定可能という利点を持つ長期にわたるソリューションを提供します。私たちは多面的な視点から、サステナビリティをデザインプロセスやソリューションの本質的な一要素として位置づけています。

Design Q+A

Steelcase 360編集部: 私が考えるにLPAは小さな組織のように機能する大企業と考えていますが。どのようにそれを達成し、大きな組織が直面する弊害をどう克服することができるのでしょうか?

パトリック: コラボレーションプロセスが私たちの成功の鍵です。スペースに統合されたインタラクティブなプロセスはお客様にとっても最大の価値をもたらします。 都市デザインと教育という2つの柱に力を入れながら、社内の専門知識を積極的に活用することで、特定の市場ニーズを理解し、市場間のシナジー効果を利用し、優秀な人材を採用することができました。それはまさに小さく立ち上がったばかりベンチャーのような柔軟なシステムと、大きな組織の膨大な知識とサポート力の両方を最大限に引き出すようなものです。

社内的にはより専門に特化した能力開発と生涯学習という活動が優秀な人材を引きつけ続けています。イノベーションとコラボレーションを加速させることで部署間の障壁はなくなり、集団組織として知識を集積、共有することを可能にしました。これは小規模なグループ用セッティングの設置や企業全体の教育プログラムの実践などで達成されるはずです。テクノロジーはもちろんプロセスの統合に補完的には役立ちますが、対面しながらリアルタイムで対話ができるサイズが設計事務所としてはちょうどよいサイズだと感じています。

Design Q+A

Steelcase 360編集部: 新オフィスを構えるのにこの建物と場所を選んだ理由な何ですか?

パトリック: まずは場所としてサンノゼ市内を選択しました。なぜなら、そこには私たちの多くのクライアントがオフィスを構え、ベイエリアのイノベーションの拠点であるからです。このような活気に満ちた場所から受けるインスピレーションは、絶えず私たちを取り組みがいのあるクリエイティブな世界へと向かわせるのです。現在の建物を選択した理由は、かつては老朽化で見放されていたスペースや場所を持続可能でユニークな「場」へと変換できるということを証明する絶好の機会だと思えたのです。

Steelcase 360編集部: デザインのインスピレーションはどこからくるのですか?

パトリック: 私たちのデザインのインスピレーションは、シンプルで素朴で機能的なアイテムから生まれ、動くパーツはほとんどなくても効率的に問題なく成り立つものばかりです。他の人がそれを見て、研究してもほぼ改善される余地はないくらいです。

Steelcase 360編集部: すべてのワークスペースに必要なものは何だと思いますか?

Design Q+A
パトリック・マクリントック(Patrick McClintock) : カリフォルニア州サンノゼにあるLPA Architectsのアソシエイトプリンシパル/インテリアデザイン部長。詳細については、lpainc.comをご覧ください。

パトリック: それは人間を中心にしたデザイン手法です。ワークスペースは「人」が働く空間なので、人々が必要とするものを適切に提供するものでなければなりません。自然光へのアクセス、個々に調整できる快適さ、人々が集い、創造し、交流としての場所を提供するということです。

Steelcase 360編集部: オフィスは将来どうなると思われますか?

パトリック: 私たちは共通意識を持つ集団としての影響やインスパイアされたチームが個人にどう成長させるかを理解しているつもりです。このムーブメントはオフィスデザインに対してのより柔軟性のあるアプローチの採用を後押しするはずです。つまり、自席を少なくし、モバイル化を加速させることで人々がオフィスで自由に働く場所を選べるようになり、それはオープンスペースとプライベートゾーンを慎重に計画することで実現できます。そして、これらのスペースはそこで働く人々や組織の成果を高め、企業の成長へとつながっていくのです。

クレジット:Costea Photography, Inc.


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