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バイオフィリアで どうストレスを 軽減し、 職場環境を 再生するか

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今日、世界人口の半数以上が都市部に居住しており、米国環境保護庁(EPA)によると、平均的アメリカ人は時間の90%近くを屋内で過ごしている。しかし、自然とアウトドアが人々のウェルビーングに与えるメリットは極めて大きい。

「場」には人々が引き寄せられたり、リフレッシュできたり、休息できる何かがある。人類は自然豊かで変動する多様な環境の中で進化を遂げてきた。そうだとしたら、屋内でも自然との関わりを持ちながら、多様な環境を作り出すことはできないものだろうか。今日の仕事において、創造性やつながりが重要視される中、設計デザイナーたちはバイオフィリア(生命や自然への愛)に目を向け始めている。人間は生物や自然との結びつきを求める本能を備えていて、それが働く人の幸福や成長に大いに貢献している。そうするとバイオフィリックデザインという概念は、人々の生産性、幸福、ストレスの軽減、学習や癒しを含む、身体的、認知的、情緒的ウェルビーングの向上にもつながっていく。ヨーロッパのワーカーに関する意識調査(Interfaceによるヒューマンスペース・グローバル・レポート)で、自然の要素を含む環境では、ウェルビーングと生産性レベルが13%向上することが明らかになった。スーパーフードや装飾ではなく、「自然」こそがまさに理想的な職場環境を創る上での不可欠な要素なのである。

ウェルビーングを研究するSteelcaseの研究員たちは、職場環境の中に自然を組み入れることでワーカーはより健康に意欲的に仕事ができると報告している。バイオフィリアの先駆者で生物学者であるE.O. WilsonとStephen Kellert両氏の研究をベースに、Steelcaseの研究員やデザイナーたちは、人間が自然とつながる様々な枠組みを開発し、人々を魅了するスペースレイアウトを提案している。

デザインとは、自然を多彩な視点で解釈し、落ち着けて、楽しく、安心できるという人間が本能的に求める「場」として機能させる方法でもある。 自然が表現するものは、明確に言語だけで表現できるものに限らないとArantes氏は語る。「つまり、人間の気分を良くするようにプログラム化された基本パターンを誘発することによって、まるで自然の中にいるように感じるように脳を騙すことです。」

John HamiltonDesign Director, Coalesse

問題は、オフィスは効率性とサイズを重視するため、時間の経過とともに老朽化し、変わり映えのない退屈なものになってくる。個性のないグレーのオフィスは、文字通りそこが何も生み出さない不毛な場所であることを脳の最も深い部分に焼きつけている。ヒューマンスペース・グローバル・レポートによると、オフィスワーカーの42%はオフィスで自然光にあたることがない、55%はグリーンがない、7%は窓がないなど、オフィスで自然を感じることがない、などその数字は驚くべきものだ。「自然と触れることでもたらされる効果を創造的で生産的、健康的に働く「場」の創造にどうつなげるのかを私たちは探っています。」とSteelcaseのシニアデザイン研究員であるBeatriz Arantes氏は語る。

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このドット柄は自然の不規則性を表しながら、ピンボードなど職場内で人間を囲んでいる様々なモノを反映している。

環境心理学者であるStephen Kaplan氏によると、人間は無意識に自然に魅了され、そのことが注意力の向上や集中力の回復に大いに役だつという。その結果、好奇心や創造力が刺激され、ストレスが軽減され、心身共にリフレッシュし、気が楽になるという。 Kaplan氏は、自然の中で時間を過ごした後は、より集中できると考えている。ヒューマンスペース・レポートでも、木々や水、田舎などの自然の要素を多く見ている人は、コンクリートのビルや道路、建設現場などを見ながら生活している都会人に比べて、ウェルビーングのレベルが圧倒的に高いことが報告されている。

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フラクタル図形とは、すべてのスケールで模様が繰り返される曲線的または幾何学的形状のことを指す。自然界にあるこの形状は、視覚的にもかなり複雑であるにも関わらず、人間はその順序やフォルムを無意識に捉えている。 CoalesseとDesigntexがコラボしたファブリックには、水や砂、木目調などの不規則なフォルムが抽象的に表現され、自然なものと認識することもなく、人間の心を穏やかにしていく。

デザインとは、自然を多彩な視点で解釈し、落ち着けて、楽しく、安心できるという人間が本能的に求める「場」として機能させる方法でもある。 自然が表現するものは、明確に言語だけで表現できるものに限らないとArantes氏は語る。「つまり、人間の気分を良くするようにプログラム化された基本パターンを誘発することによって、まるで自然の中にいるように感じるように脳を騙すことです。」

自然へのアクセスがオフィスには少ないのは、今日、多くのワーカーがオフィスにいないこともその理由になっている。バイオフィリックデザインを考慮したスペースは、結果的に非常に説得力のある事例にもなる。自然の要素を複数の感覚体験としてデザインすることで、オフィスはストレス要因を緩和し、従業員の意識を向上させるスペースへと生まれ変わる。そして、それが激化する人材競争の中で、突出した才能を引きつけ、保持することにもつながるのだ。バイオフィリックデザインは、人々が行き着く「場」、模索する「場」、そして、適応し、創造する「場」を創る。これらがもたらすメリットは、信頼ベースの強固な人間関係の構築やコラボレーションにつながるだけでなく、職場での活性化にも大いに貢献していく。

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自然が人間にもたらす4つの側面

シルク印刷された植物やガラストップ上にエッチングされた葉っぱなど、自然を職場環境のデザインに統合しようという取り組みの多くは、未だ未熟で創造力のないものばかりである。

感性の豊かさ
感性重視の環境には、カラーや模様、質感や感覚に訴える多くの要素が層になって組み込まれている。複数の感覚が湧くと、脳の活性化や閃きを生み、感性豊かなデザイン要素によってストレスを軽減していく。例えば、オフィスを設計する際に頻繁に使用される鋭い角度のフォルムやカラーは、自然界にはない。その代わり、自然界には六角形や螺旋、スパイクや球状などの美しい有機的フォルムが多く存在している。ドームやアーチのような丸みのあるフォルムは、心理的な快適さをもたらす。自然風景にある色合いや素材は、深みを与え、爽やかで落ち着いた雰囲気を創出し、生きた観葉植物を置くだけでも、集中作業での疲労を軽減することにもなる。

人間の自然なリズム
人間は気分の良い屋内環境に順応し、景観や日差しの変化、一日の長さ、気温など屋外の要素にもっと触れることで気分や睡眠が大幅に改善されることもある。自然光は人工照明のフラットな明るさや液晶画面などによる過度の刺激に対抗しながら、人間の身体のリズムをサポートしている。窓から自然光が入らず、景観がない場所では、新たなテクノロジーが人間を活発にしたり、楽観的にしたり、気分を高めたりすることに貢献していくかもしれない。

バイオフィリック・デザインは、人々が行き着く「場」、模索する「場」、

自然を組み入れる
景観をうまく見せたり、シェルターのようなものをつくったり、自然を屋内に取り入れることは、社会生態学者Stephen Kellert氏曰く、人間が逆境を克服して回復力を養う方法の一部だという。新たなことに挑戦していくことは、豊かさや共感、チームワークや目的意識を持って創造的に解決することを人々に促していく。職場環境をデザインすることは、空間を使ってそこで働く人々を目的地まで誘導することであり、人間の認知力はもちろんのこと、情緒力をも向上させることになる。例えば、それは階段を通らずして目的地まで行けないように空間を設計することが身体を動かすように促すというようなことだ。

地域色を生かす
地域色を活かしたイベントや人とのつながりが、「場」やコミュニティを構築していく。その地域ならでの色合いや素材は、長い間地域の建築やデザインに多く利用されてきた。ウッドやストーン、粘土等、人間は本能的に人工素材よりも自然素材を好む傾向がある。これらの要素は、個性のない画一的なオフィスやオフィス家具への対抗手段としても積極的に利用できるものである。そして、歴史的な建築物や地域のシンボルとなっている建造物を改装、再利用しながら保護することは、地域への愛着を高めることにつながる。

こういう取り組みを通して、バイオフィリアは職場環境を設計する上で可能性に満ち、建築家やデザイナーの関心の的となっている。最終的には、自然がマインドフルネスや活力を促進し、人々が働くことに意義を感じ、帰属意識を持ち、ウェルビーングが向上する「場」でより人間の創造力が発揮されることになる。

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草に似た色彩やデザインは、バイオフィリックデザインへのアプローチの1つかもしれませんが、脳を迷わせるさらなる手掛かりは自然を知覚することで、それはより平和で落ち着いた雰囲気を作り出すのに役立っている。

バイオフィリック・デザインパートナーシップ

バイオフィリックデザインは、家具だけでなく建築にも採用されている。SteelcaseのブランドであるCoalesseとDesigntexは、北米市場の建築家や設計デザイナー向けに、このバイオフィリアの原則を念頭に一連の模様柄、カラー、テキスタイル、プリント機能などを共同開発している。

「このファブリックの開発プロセスで、私たちは決してバイオフィリアだけを個別に考えたわけではありません。」と語るのはCoalesseのグローバルデザインディレクターであるJohn Hamilton氏だ。「脳は抽象的な表現を見るとそれらを埋めようと機能します。だから、私たちは製品を開発する際にこういう手がかりを大事にしています。人間の感情の深い部分に訴えかけるにはどうしたら良いか? 私たちはDesigntexのファブリックを活用して自然を喚起させる多彩なサーフェスを開発しています。心でつながり、ユーザーの心が満たされる空間を創造できるファブリックや家具作り、それが私たちの目指すところです。」

このコラボはまさに異質なモノが相互に作用しあって生まれたものだ。Designtexは、キルティング、刺繍、織り模様、様々なフィルムやサーフェスへの印刷機能、非天然繊維を使った新技術を活用するなど、豊富な技術と製品を保有していた。そして、 Coalesseは、多色を実現した印刷パターンを製品に展開するなど、インスピレーション溢れる製品づくりで市場をリードしている。

バイオフィリアを念頭に置いた製品を創造するためには、天然素材を巧みに操ることも重要なプロセスの一つである。そして、そのモチーフは自然のフォルムやリズムと共鳴し、シンプルな幾何学的または立体的な質感として表現される。

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「タイルに印刷された模造木目よりも、硬い木製の厚板や単板の方が脳に優しいのです。」

John Hamiltonディレクター、グローバルデザイン Coalesse

ファブリックを開発するにあたっても、継ぎ目が不規則な大柄/小柄な模様に対するユーザーの嗜好傾向などの情報もこのパートナーシップによって明らかになった。これらのサイズ感は視覚的な不均一性が反復されながらも、視覚的に決して邪魔と感じることはない。

「例えば、現在、Designtexのファブリックには模様を織り込んだり、刺繍をしたり、キルトにすることが可能です。今までにないより自然な色合いのファブリックやそれらに織り込まれた多彩な模様柄のファブリックが今後発売される予定です。」とHamilton氏は語る。

ガラスにフィルム印刷したサーフェスには、デジタル処理を駆使し、デザイナーは独自の模様柄を使うこともできる。 Coalesse-Designtexコレクションでは、カスタマイズに対するニーズやチョイスの幅が増加傾向にあるという調査データに応え、標準ラインとしての扱いに踏み切った。「デザイナーにとっては、空白の石板は挑戦でもあるのです。だから、私たちはカラーや模様柄に関する意識調査やその研究に注力してきました。そして、まずはこれを出発点としてさらなるカスタマイズ化を図っていく予定です。テーマやバリエーションを考える工程は、自然界にどのような模様柄があるかを考えることでもあるのです。」と語るのはDesigntexのSurface ImagingのディレクターであるDavid Siegel氏である。

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