ウェルビーング

Q&A Nic Marksへのインタビュー

Marks 氏によると、ハッピーな社員はより生産的により革新的に仕事をこなす ことがデータで証明されていると言います。

競争上の優位性を持ちたい企業はハッピーな社員を育成することから始めるべきです,こう語るのは英国ロンドンのシンクタンク、ニュ ーエコノミー財団(NEF)のウェルビーングセンター創始者、Nic Marks 氏。 Marks 氏によると、ハッピーな社員はより生産的により革新的に仕事をこなす ことがデータで証明されていると言います。Mark 氏は地球に存在する各国の 人間の幸福度を測る指数(ハッピー・プラネット・インデックス=地球幸福度 指数= HPI)の開発者としても有名です。
現在はイギリスを拠点とする会社、ハッピネスワークスのディレクターとして、ワークプレイスでの幸福度を測定し、向上させるサービスも行い、幸福の統計解析のパイオニアとして、精神療法医、組織の変化におけるコンサルタントとしても活躍しています。

ビジネスマンは幸福度を真剣にとらえていると思いますか?
「幸福」というような言葉を言い始めると、人々は興味をそそられますが言葉自体を軽いものに感じてしまうのも事実です。だから、私たちは測定値を使ってそれをより実用的なものとして話そうとするわけです。職場での幸福が本当に重要である理由を現実的に納得してもらわなければならないのです。ファンやイノベーターたちにつながるのは簡単です、しかし、課題は反対する人たちにどうつながるかということです。

その国の幸福度をどう測るのですか?
それは人間の経験です。国民の生活満足度や平均寿命な どを評価し、その後、その幸福度を維持するために必要と する地球資源の量が測られます。Gallup 社は各国の国民 がどのくらい幸福かという幸福指数についての世界的世論 調査を実施しています。

環境フットプリントに関しては地球資源への負荷を測ることから賛否両論もあり、生活の中で消費者が使用するもの全てを調査し、それがどれだけ地球環境に影響を与えているかを正確に測ることは大変難しいプロセスでもあります。しかし、少なくとも現実的に国家間で大きな差があることは確かなのです。

Nic Marks - 360 Issue 67

HPI 指数によると、コスタリカが地球上で最も幸福な国の一 つだと言います。それは何故だと思いますか?
幸福度だけを見ると、コスタリカ共和国がトップで、中南米やカリブ諸国が上位を占めています。これらの国は経済的な不平等や貧困があるにも関わらず、他の国と比べてなぜ幸福と感じるのでしょうか?それは彼らが社会やコミュニティ、家族の中で人同士が強固な絆を持ちながら生活に満足しているからです。

一般的にこの地域では犯罪の増加や格差もありながら も人々の生活は活気に満ちています。驚くことにコスタ リカの人々はアメリカなどに比べ、平均寿命も長く、西 ヨーロッパや北米地域の3 分の1 か4 分の1しか資源 を消費しておらず、地球に負担をかけずに幸せな人生 を送っているのです。

どのように企業は幸福とウェルビーングを促進できると思いますか?
それを明確に実践している企業があります。その一社がア メリカの靴のネット通販のパイオニア的存在である、 Zappos 社です。創業者のTony Hsieh 氏は社員の幸福 とウェルビーングをビジネス戦略の中心に掲げました。彼 の信念は顧客の心を揺り動かすためには社員がハッピーで なければならないというものです。Zappos 社は長い間に 渡って顧客至上主義を貫いてきた企業として有名になりま した。

創業10 年から15 年未満の企業は最初からこの手法を取 っている企業が多いと言われています。何故なら、途中か ら他の方向に組織を変えることのほうが難しいからです。 もし異なる手法をとったらよくなるとどうやって企業に説得 するのでしょうか?新しい方法を学ぼうと積極的なCEO たちはこの手法を面白いビジネスモデルだといって採用し ているのです。企業組織の中にはまだ活用されていない人 間の潜在能力がつまっているはずなのに、その可能性を開 こうとしていないだけなのです。

企業が活用できる「ハッピーカンパニーインデックス=会社幸福度指数」というものはないのですか?
それが私たちの新たなビジネス、前向きな変化を起こす Happiness Works がやろうとしていることなのです。実 はその前向きな変化を起こす測定ツールを開発している最 中です。個人やチームはもちろん、組織全体にもスコアを つけ、その後、そのスコアを分類し、幸福感を生み出した り、生み出さない要因とは何かを突きとめるというもので す。

幸福を生み出す要因とは何だと思いますか?
個人用には方法が5 つあります。これはイギリス政府 のメンタルキャピタル&ウェルビーングの予想プロジェ クトから収集された結果からニューエコノミー財団が開 発したものです。これらは「つながる」、「積極的に動く」、 「注意を払う」、「学び続ける」、「与える」という行動で、 人が日常生活の中で簡単にできる事柄ばかりです。

システム化された企業においては組織、仕事環境や企 業文化をどうやってうまく管理するのかという問題もあ り、決して簡単なことではありません。そして、職場で は人が働き、そこでは心理的/社会的ニーズへの関心 も高まりつつあります。人々は「自己表現力」、「自己管 理意識」、「向上心」、「人間関係の強さ」をどのくらい 意識しながら仕事をしているでしょうか。それは「自分 らしくあること」、「自立していること」、「得意なことを すること」、「新しいことを学ぶこと」、「人とうまくやる こと」などで説明できます。この4 つの項目が組織の 中で人々を前向きにしたり、後ろ向きにしたりする要因 となっています。

ウェルビーングとイノベーションの間にはどのくらい関係があるのでしょうか?
これについては多くの研究がされています。その多くが 心理学者であるノースカロライナ大学のBarbra Fredrickson 氏のもので、人が良い気分の時と悪い気 分の時で仕事の仕方にどのくらい違いがあるのかを研 究したものです。この研究は20 年以上もの間続いてい て、要約すると、人は良い気分の時には物事を大きく 捉えて前向きに対処できるのに対して、悪い気分の時は 視野が狭くなり、何が間違っているかなど細かいところ だけに目がいくようです。良い気分の時はつながりを持 とうとし、物事をきちんと見て、人間関係にも積極的に なります。よりクリエイティブにもなることで、限られ た時間の中でより多くの仕事をこなすことができます。

創造性は痛みを伴う経験で、偉大なアートは苦悩を伴うという謝った考え方があります。もちろん、偉大なアーティストは苦悩しますが、彼らは実際には気持ちが沈んでいる時には作品をつくってはいないのです。これらの苦しみを乗り越えた後に作品がつくられているのです。平均的な企業では気分がいい社員は気分が悪い社員よりも創造性豊かに仕事をしているのは事実なのです。

企業は創造性に富んでいる社員と、その創造性を役に立つイノベーションへと変換する社内システムを必要としています。しかし、ただ単に社員をハッピーにするだけでは不十分で、従来の確立した仕方を変えるために組織として開放的でなければなりません。それに適した社内システムを築くことで、「個」の創造力を会社の利益になるような何かに転換させることができます。

物理的スペースでどうやって幸福感やウェルビーングを促進させることができますか?
ワークプレイスという物理的スペースがそこで働く人のパフォーマンスやモラルにどう影響を及ぼすかに関しては多くの人がさまざまな見解を述べています。私が思うには、企業は社員の仕事のニーズをサポートすることはもちろんのことながら、彼らが仕事場でハッピーにいられる環境をつくることが大事だと感じています。そこでは「人が偶然に出会う」、「静かに熟考できる」、「アウトドアで運動できる」、「歩きながらのミーティング」、「人が集い、一緒に学ぶ」などさまざまな遊びや仕掛けが考えられます。機能的であることと同時に遊びを取り入れたオフィスデザインがこれからは求められているような気がします。

「創造性は痛みを伴う経験で、偉大なアートは苦悩を伴うという謝った考え方があります。」

Nic Marks

ハッピー・プラネットインデックスとは

ハッピー・プラネット・インデックス(地球幸福度指数= HPI)は地球上の151 カ国の寿命や体験としてのウェルビ ーング、環境フットプリントのデータを活用して、各国の人々 の幸福度と寿命、そして人間活動の環境負荷を測定するも のです。

HPI = 生活満足度 x 推定寿命
環境フットプリント

体験としてのウェルビーングは各国の回答に基づいて0 か ら10 までの数字で示されます。寿命は年数で表現され、 環境フットプリントは一人当たりの消費活動の規模を土地 や海洋の表面積で換算したもので、グローバルスタンダー ドとしてヘクタールが用いられています。

HPI の情報は www.happyplanetindex.orgまで

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