テクノロジー

スペースオデッセイー「新たな文化」への旅

Space Odyssey – 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear

Steelcaseでは2年前に自社スペースを刷新しました。その際の自らの経験と発見、そして学びをここに紹介します。

「景気減速の影響を受け始めたのが2009年頃でした。昨年1年間はSteelcaseにとって最良の年となりました。それは単に世界的な景気後退を乗り切っただけでなく、より健全にかつ強い企業として、来る未来への準備が出来たからです。

私たちは不況期だからこそ、立ち止まるのではなく、自社を刷新し、変化を加速させ、未来に投資することを選びました。例えば、自社ブランドに投資し、製品プラットホームをグローバル化し、グローバルに統合されたひとつの組織になることもそのひとつでした

Jim Keane、社長 兼 CEO、Steelcase Inc.

同時に、創業100周年を迎えていた時期でもあり、他の多くの歴史ある企業と同様に、企業としてのジレンマにも直面していました。つまり、不動産という余剰資産の存在です。この問題に関して、世界のある地域の大企業はこう自問しています。「いまや、人はどこでも働くことができるようになっているのに、これ以上のオフィススペースは実際に必要なのだろうか?」

私たちはオフィスというものが変化することはあってもオフィスがなくなることはないと感じています。私たちは自社スペースにおいても、この問題を探り、余分なスペースを削減する方向で、スペースを今までとは異なるまったく新しい視点で再考しました。人々は人が集い、自由につながり、共通した強い目的意識を構築できる「場」を強く求めていました。

私たちは不動産戦略を改め、ただ単に不動産削減でコスト削減を図る以上のことに挑戦しようとしたのです。米ミシガン州グランドラピッツにあるグローバル本社ビルの使用率の低いスペースやデッドスペースを活性化させ、オフィス文化の進化を促すようなワークプレイス戦略を採用することで保有不動産を最大限に活用しようと試みたのです。

この時は会社の転換期でもありました。経営陣は不動産戦略を見直し、財務面から多くの議論を重ねました。これらの問題を数字面だけから見れば、解決法は極めてシンプルで、不動産コストは半分に削減できるはずでした。

しかし、結局、経営陣はそのことが企業文化の形成につながらなければ、その決定には賛成できないと結論づけたのです。何故なら、それがこのプロジェクトを遂行する最も重要な理由だからということでした。今では、社員はオフィスに集い、そこで同僚や、仕事、会社と容易につながることができます。これは2、3年前には見られなかった現象です。

私たちの新たなワーク環境は企業としての私たちを完全に変革しました。このことは社内だけでなく、オフィスを訪れる人々から見ても明らかでした。スペースは人を惹きつけるパワーに満ちており、スペースに入るやいなや、企業の文化やブランドを体感できるスペースがそこにありました。

これが私たち、Steelcaseが目指したものでした。」

新設されたイノベーションセンターはプロジェクトチームが新たなアイディアを生み出す「場」であり、空間がいかにイノベーションに向けて分散型チームをひとつにするかを示している良い例です。

私たちのストーリー

経済危機に直面した際に、企業の経営者たちがまず考えるのが、オフィスの変革であることはまずありません。しかし、コスト削減項目には間違いなく記載されるはずです。2009年にはかつての成功企業も続々と崩壊していきましたが、その多くの企業がまず実行したことがコスト削減でした。不確実性が蔓延する中で、Fortune 500企業の多くをクライアントに持つSteelcaseではその最前線にいました。

こういう状況の中で、私たちは単なる生き残り戦術として余剰資産を切り捨てるだけでなく、未来を見据えた決断を迫られたのです。「組織全体の劇的な変革、つまりパラダイムシフトを目指したのです。それはスペースだけでなく、テクノロジーやワークスタイル、企業文化のすべてにおける変革でした。」とJohn Hughes氏は語ります。彼はSteelcaseでワークプレイスコンサルティングを業務とするアプライドリサーチ&コンサルティングの代表です。企業戦略、ブランド、企業文化を調和させたいという挑戦は、世界中の企業の経営者たちからよく耳にする関心事です。これらの企業と同様、私たちは不景気の終焉をただ待つのではなく、未来のビジョンに向けて、資産や人材に投資することを選択したのです。

社内ではこれをConnect 12と名付け、刷新プロジェクトを動かす原動力としました。自社キャンパスを一新して、社員がリアル、バーチャルに、グローバルにつながることを目的とした一大社内プロジェクトです。そして、2012年という創業100周年の年を変革の出発点と位置づけました。このプロジェクトには既存の建物はもちろん、かつての製造施設やあまり活用されていない不動産なども含み、全体を相互に連結したグローバルなスペースとして構築することを目指したのです。

「この目的を果たすためのワークプレイス戦略の立案にあたり、ユーザー主体のリサーチとデザインプロセスを実践しました。社内のあらゆるレベルの人々を調査し、ワークショップを開催し、エスノグラフィーやセンサー技術を使ってインサイトやデータを集積しました。また、人々を「観察する」ことに多くの時間を費やすことで、何が機能し、機能しないのかを見極めることができたのです。」

これらの活動から導かれたインサイトは、新たなワーク環境を検証し、そこでの人の行動を観察するプロトタイプ(試作)スペースを創る際に活用されました。このスペースによって、社員はその変化と影響を十分に理解することができたのです。いくつかのグループは実際にこのプロトタイプスペースで働き、機能を検証するように依頼されました。

media:scapeテクノロジーを組み込んだ空間ではグローバルに分散した社員がリアル、バーチャルにつながることを可能にします。

綿密に練られた戦略から、本質を衝いたシンプルなキャッチフレーズ、「Best Place (最高の場)」が生まれました。その空間はワーカーのさまざまな活動やワークスタイルの多様性を包括するスペースの創造でした。モバイルで働く社員をサポートするだけでなく、彼らを惹きつける魅力を備えていることが重要でした。「Best Placeとは仕事をしたいと思える場所であり、いつ、どこで、どのように仕事をするのかを社員自らが選べる場所でなければなりません。」とSteelcaseのグローバルデザイン担当ディレクターCherie Johnson氏は強調します。「私たちの目標は誰でもどこでも働くことができるようにスペースの民主化を図ることにありました。」

「Best Place」のコンセプトは、社員の情緒的、認知的、身体的なニーズを考慮した上で、組織のウェルビーングをサポートすることと大きく関係しています。集中ワーク、コラボレーション、学習、交流、組織の活性化など様々なワーカーの活動をサポートするためには、広範囲にわたるスペースの提供は欠かせません。例えば、社員の根気と集中力が必要とされる集中ワークの場合、スペースがその認知的要素を適切にサポートしていなければなりません。ルーチン的な反復作業であれば、それほどの認知力も必要としませんし、多少の外的刺激や交流の多い場所でもその業務をこなしていくことが可能です。また、ワーカーは自分の気分や心理状態に応じて、仕事をするスペースを自由に選択できることも望んでいました。

「Best Place」戦略は集中ワーク、コラボレーション、学習、交流、組織の活性化などをサポートするシステムとしての環境実現を目指しました。

スペースのグローバルなネットワークというものには、個人ワークとグループワークの両エリアが含まれ、その一部は必要に応じて、個人またはチームが「所有」し、「共有」されるもので構成されます。「オープン」、「閉じられた」、「仕切られた・囲まれた」という様々なスペースの融合で、ワーカーは自分が望む相互交流の度合いに応じて、「場」をチョイスすることができます。Connect 12プロジェクトチームはその程度の差こそあれ、社員は1日を通じてプライバシーと相互交流の両方を必要としていると結論づけました。

どこから始めるか?

「Best Place」戦略を礎石として、最初に導入されたスペースでは、その使用目的さえも再定義されました。そこは以前にはモーニングコーヒーやランチ、午後の休憩にだけ利用されていたカフェテリアでした。このカフェテリアは新しく「WorkCaféワークカフェ」と名付けられ、社会学者のレイ・オールデンバーグが提唱した企業内の「第3の場所」として位置づけられました。ここは今や、多くの人によって、カジュアルに利用されています。企業キャンパスでの「ハブ」となったWorkCaféはいくつかの新コンセプトやレイアウト開発のラボ的役割も果たしています。

WorkCaféは、大小のグループのための「オープン」、「閉じられた」スペース、個人スペース、カフェテリア、コーヒーバーで構成され、オフィススペース機能と近隣のハブとしての賑やかさを両方備えています。ここで人は集い、仕事をし、ネットワーキングやソーシャルに交流し、心身共にエネルギーを充電するためにも利用しています。「このスペースは、私たちが目指したスペースの民主化を実現し、実証しました。」とJohnson氏は語っています。「そこは人が常に定位置としている「場」ではなく、人が行き交い、人がもてなされる「場」、快適に仕事に集中でき、人と会う「場」、仕事と休憩、コラボレーションとプライベートな時間を相互に切り換えることができる「場」でもあるのです。」

WorkCaféではフードやドリンクは1日中提供されています。このスペースの一番の人気理由は集中ワークやコラボレーションワークのさまざまなスペースが選べるからでなく、社交的な交流や休息なども適切にサポートしている点です。また、24インチ x 5インチのメディアウォールには会社情報や世界中のオフィスの最新ニュースが常に表示され、情報の共有化が図られています。

個人のワークスペースに焦点を当てる従来型アプローチとはまったく異なる手法が要求されるWorkCaféのような新しいワークプレイス戦略が明らかに機能したことが実証されました。

「WorkCaféはすべてのワーカーに利用されるスペースとして生まれ変わりました。ここは人を魅了する賑やかさと、人を温かく迎え入れる雰囲気を持った、多目的使用の「ハブ」として、社員はもちろん、経営陣、海外の社員、業者、クライアントなどすべての人を受け入れる「場」を提供しています。そこでは電話やメールでなく、対面で人々が出会い、親密感や信頼関係が組織全体に浸透していきます。社員が誇れるスペースは社員の会社に対する信頼度と忠誠心をも育てます。」とJohnson氏は語ります。

「私たちは企業文化を変えたいと考えている企業には、まずはこのWorkCaféの創造を推奨しています。まずはカフェの創造を通して、スペースの民主化とは何かを社員自らが体験出来、オフィスが変革していることを実感できることが重要なのです。スペースが企業の目指す文化や人の行動をつくるのです。」

WorkCaféはオフィススペース機能と近隣のハブとしての賑やかさを両方備えています。
屋外スペースは仕事したり、心身共にリフレッシュしたり、社会的な交流も促す場所としても最適です。

毎日が新しいオフィス

企業キャンパスが一新される前は、グローバル本社に在籍するワーカーの95%には自席がありました。しかし、今日、急速にモバイル化が進む中ですべての社員に自席がある必要もなく、社員もそれを望んでいるわけでもありません。自席があっても離席も多く、不動産の最適な活用にはつながらず、社員にも良い影響を与えません。誰もいない空間に座っていると、隔絶されたような気持ちになり、知らず知らずのうちにエネルギーは低下していきます。しかし、業務内容によっては大部分の時間を自席で過ごすワーカーもいます。私たちはモバイルワーカーを特定し、ヒアリングも実施しました。「社員は自分たちもその決定プロセスに参加できること、そして自分たちの声が反映されることに驚いていました。」とJohnson氏は語ります。当然ながら、社員の半数が自席を手放すことを選びました。その代わりに、より大きな柔軟性が手に入ることを知っていたからです。

以前、自席に割り当てられていたスペースは、今では集中ワークとコラボレーションワークの両方や社会的な交流をサポートする多彩なスペースに変化しました。このことで社員をより狭いスペースで働かせながらも、どこでどうやって働くのかを自由にチョイス、コントロールできる権限を社員に与えました。例えば、元々は1つの部署だけが占有していた本社ビルの2万4,000平方フィート(2,230平方メートル) のウイング部分を解体し、財務、調達、品質の3つの部署で占有されるスペースとして再建されました。もう一方のウイング部分も、営業サポートのスペースとして使用され、以前は連携することがなかった各チームが恊働できる「場」として生まれ変わりました。また、ビデオ会議スペースも設置され、遠隔にいるチームメンバー同士がカジュアルにコミュニケーションできるようにも工夫されました。結果、両フロアは以前よりも多くのワーカーを収容し、社員にはキャンパスのどこでも自由に仕事ができる環境が提供されました。

新たなワーク環境は、社員がどこでどのように働くかの多くのチョイスとコントロールを提供しています。
Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear
以前、自席に割り当てられていたスペースは、今では集中ワークとコラボレーションワークの両方や社会的な交流をサポートする多彩なスペースに変化しました。

ここでは今までとは全く異なる働き方が要求されるため、社員はそれが何を意味するのかをしっかりと把握することが重要でした。「かつて、管理職は部下の数を数えて、デスクに座っている時間を管理したものです。しかし、それは昔の話です。ここでは、部下の仕事内容と目的を明確に設定し、そのパフォーマンスを測定することを管理職は学ばなければなりません。そのために、様々なトレーニングやオンライン上での情報提供を整備しました。」と人事担当部長のSteve Wolfe氏は語っています。

まずは、パイロットプログラムの実施です。このプログラムに任命された社員は80人。新たなモバイルな働き方を実践するために、ノートパソコンとスマホが与えられ、事前トレーニングを受けました。後々、このグループが他の社員をモバイル環境へと容易にシフトできるように誘導する役目を担います。「どのようにすれば良いかを社員に伝えるのは決して経営陣でも、人事部でもありません。それは隣にいる同僚なのです。これには社員もポジティブに反応しました。」とWolfe氏は強調します。

新しいワーク環境はさまざまな姿勢の変化もサポートしています。身体を動かすことで、エネルギーが湧き、精神的刺激を受けます。Steelcaseでは社員のウェルビーングを高めるための手段として、スペースにはさまざまな姿勢を促す仕掛けや、より多くの採光、屋外のパティオの設置など出来るだけ自然とつながる工夫を凝らしています。

栄養バーとその周りのワークエリアでは、人々が心身共に充電でき、さまざまなワークモードの間を容易にシフトできるように考慮されています。

グローバルにつながる

本社キャンパスで、もう1つ刷新された場所が「イノベーションセンター」でした。ここは他のスペースと同様、新たな働き方を検証するためのプロトタイプとして位置づけられました。競争が激化するグローバル経済において、企業は成功するためのニーズにスピーディに対応することが求められます。「私たちは多種多様な文化や専門性、地域性が共生し、共創すればするほど、多彩なアイディアが生まれると信じています。異文化に触れることがそのイノベーションプロセスを加速させ、目の前の問題に対してより深い洞察をもたらします。」とJohnson氏は語っています。

イノベーションセンターは約300人の現地社員と世界中に分散した社員によって利用されています。私たちの製品はその3分の1がグローバルを念頭にして、開発され、グローバルに拠点を置く3つのデザインスタジオで産声を上げています。イノベーションセンターはまさに企業がスペースを通して、どのようにグローバルに統合できるかの先端的な実践例といえます。

「イノベーションとは身体的活動でもあります。それは人の相互交流、探求や実験によってその成否が決まります。」と、Steelcaseのグローバルデザイン担当副社長James Ludwig氏は強調しています。プロジェクトチームのメンバーはどこにいようと、「自分たちが同じ部屋にいるように感じることが重要です。人の相互作用がスムーズだと創造プロセスでの摩擦もなく、チーム一丸となって問題を解決しようと協力し合う可能性が高くなります。これだ!というイノベーションは滅多に起きるものではありません。それは情報やアイディア共有を土台にした反復的プロセスといってもいいのです。」 (分散型チームについては「距離的制約をなくす」記事をご参照ください。)

Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear
イノベーションセンターのプロジェクトスタジオは、世界中に分散したチームメンバーと常につながっています。
Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear
イノベーションセンターは新しい働き方を検証するためのプロトタイプとして位置づけられ、グローバルに分散する製品開発チームをつなぐことを目的としました。

Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear

ここのスペースを多く占有しているのが様々なタイプのグループスペースです。プロジェクトルームが全体の面積の40%を占め、「フロントポーチ」や「バックアレイ」と呼ばれる多彩なスペースが少人数での仕事を適切にサポートしています。

デザイナー、研究者、製品マーケティング、エンジニアなど様々なチームメンバーが、テレプレゼンス (臨場感のある高精細ビデオ会議システム) 経由で毎日連絡を取り合っています。ビデオ会議は多くの場合、フォーマルで居心地のよくないセッティングが多い中、それを避けるため、社員は議論内容や気分に合わせて、自分でレイアウトをチョイスすることができます。その選択肢も豊富で、カフェテ―ブルやラウンジチェアなど、参加者は「立つ」、「座る」、「腰掛ける」、「歩き回る」という様々な姿勢で身体を動かしながら会議に参加することができます。クローズアップや1対1のやりとりの際には、顔の表情やしぐさをより鮮明にすることで、お互いの理解を深めるようにも工夫されています。また、それぞれのプロジェクトルームには活発なコラボレーションから離れて、ひとりになれるスペースも備わっています。但し、そのスペースはコラボレーションスペースと隣接していることが不可欠で、行ったり来たりできる距離感が鍵になります。こうした関連要素のすべてが一体となって、インフォーマルで効果的なコラボレーション型ビデオ会議環境が創出されています。

さらに、イノベーションセンターには研究開発室、プロトタイプスタジオ、ソーシャルエリア、モバイルエリア、アンクレイブ(隠れ家)、カフェなどがあります。「ワーカーが必要とする多彩なスペースとツールを提供することが目的です。フロアは多彩なスペースが融合し、「進化」に向けてシンプルに統一され、スペースを通してユーザーが「学習」できるように工夫されています。このことによって、より回復力のある不動産を実現しています。」とJohnson氏は語っています。

フィードバックループの確立

ワークスペースとはそこで働く人々が適切にサポートされた時に初めて、企業文化の変化を「学び」、それに適応し、サポートするように機能しはじめます。この変革プロジェクトが始動した時点で企業文化をベンチマークとして位置づけたことで、自社の文化がどれだけ進化し、スペースがどう柔軟に対応したかを測定できました。

私たちに協力した文化人類学者のArna Banack氏は、ワークスペースは文化の多くの側面に影響を与えると強調しています。「スペースは社員のコミュニケーション、コラボレーションはもちろん、企業ミッションや戦略、ブランドへの社員の理解のすべてに直接的に影響を及ぼす重要な要素です。」

プラスの変化は既に実証されています。企業ビジョンが社員にどの程度理解されたかの測定値は劇的に向上し、ワークスペースは企業ミッションと企業の存在目的を強く反映したものに仕上がりました。「私たちの一部の不動産は長年改築されていませんでした。時代の進化に適応できないスペースのために、社員が十分に能力を発揮できる土台が整備されていなかったのです。社員が会社のブランド価値を認識していなければ、どうそれを社外に伝えることが出来るでしょうか。私たちの現スペースは新たな企業ビジョンである、ユーザー主体の革新的で、デザイン思考を具現化した製品づくり」を見事に表現しています。」とJohnson氏は述べています。

さらに、社員がどれだけ共通した目的意識を持っているかの測定値も向上してきています。「2010年以降、これが私たちの企業の強みとなり、現在、ひとつの組織として結束出来ている要因となっています。」とBanack氏は語っています。

Steelcaseの経営陣たちも目に見える業績成果に満足しています。「営業グループは人員増員なしに、2桁の成長を2営業年続けて達成しました。これは仕事時間を増やしたせいではありません。以前に比べて、格段に仕事がしやすくなり、他者とつながり、コラボレーションしながら、迅速にすべてのビジネス決定を下すことが容易になったからです。」と上級副社長のEddy Schmidt氏は語っています。

Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear
私たちのフィードバックループでは、最初の変化を実行した後に、人々はさらに集中できる「場」を必要としていることが明らかになりました。そこでコラボレーションスペースに隣接して、より多くのプライベートスペースを設置しました(上の写真)。

Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear

最高財務責任者のDave Sylvester氏はチームからのフィードバックが「非常に中身の濃いものであった。」と語っています。彼のスタッフの半数がモバイルで仕事をし、彼自身はホームベースとして共有ベンチを選択しています。そして、62%の社員が新スペースは人材の登用と定着に大きく貢献していると報告しました。

そして最終的な細かな調整も重要でした。それはスペースのレイアウトのし易さなども含まれます。また、人々がプライベートな会話や仕事への集中を促す多くのスペースを必要としていることにも適切に対応しました。一方で、プロジェクトチームはプロジェクトの継続中ずっと「所有」できるスペースを望んでいたため、新たに「私たち/所有」できるスペースを追加しました。将来、創造的な頭脳労働というものがどのように変化していくかは誰にも分かりません。ですから、私たちのワークスペースはそのための検証例となることを目的に、変化や必要に応じて継続的に進化できるように設計、デザインされています。

変化を可能にする

企業文化を変えるのは決して容易いことではありません。それは物理的環境を変えるだけでは十分ではないからです。Steelcaseの経営陣はその実現に向けて、他の施策も準備していました。

「建物やスペース、テクノロジーを変えるだけでは決して十分ではありませんし、インスピレーションが沸くスペースづくりが変化を引き起こすわけでもありません。」とLudwig氏は主張します。「しかし、そうした要素が変化を可能にする上で大きく役立つことは確かです。そこでは迅速な情報共有や共同での創造的ワークが容易になります。そして、スペースは社員が企業ブランドや文化、そして、人とつながる土台を提供します。」

新企業キャンパスの初期計画が立案されて5年が経過しましたが、その結果に驚いている人は誰もいません。「このスペースは私たちが組織の中で生活し働くことの考え方を根本から変えました。それは実にシンプルでありながらも、奥が深いものなのです。」とLudwig氏は述べています。

Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear
新スペースは社員が企業ブランドや文化、そして、人とつながる土台を提供します。

Space Odyssey - 360 Magazine Issue 69: Making Distance Disappear

変化を推進する

Steelcaseでは不動産戦略を再考することで、本社キャンパスにある実際の面積であるフットプリントを48%減らすことに成功しました。また、それと同時に環境フットプリントも削減されました。しかし、それよりも重要なことはプロジェクト前と後のワークプレイス満足度調査によると、ワークプロセスや企業文化に与えた変化は非常に価値があると感じている社員が多いことでした。

ワークスペースは新たなアイディアの創出を加速させる

プロジェクト前 プロジェクト後
63% 71%

アイディアの共有と交換が容易なスペースが利用可能である

プロジェクト前 プロジェクト後
80% 89%

ワークスペースは同僚やリーダーたちから学べる環境を提供している

プロジェクト前 プロジェクト後
66% 75%

デスクに向かって集中できる*

プロジェクト前 プロジェクト後
69% 63%

一番頻繁に仕事をするスペースからの景観に満足している

プロジェクト前 プロジェクト後
61% 80%

一番頻繁に仕事をしているスペースでは自然光が取り入れられ、快適である

プロジェクト前 プロジェクト後
72% 89%

毎日の多くの異なる活動のニーズに対応できるさまざまなスペースが利用可能である

プロジェクト前 プロジェクト後
75% 86%

エネルギーを充電できるカジュアルなスペースが利用可能である

プロジェクト前 プロジェクト後
56% 83%

ワークスペースは社員を惹きつけ、定着させる上で役立っている

プロジェクト前 プロジェクト後
42% 70%

ワークスペースは社員同士のコミュニケーションを容易にする

プロジェクト前 プロジェクト後
80% 89%

グループ/チームに適切なテクノロジーやツールが利用可能である

プロジェクト前 プロジェクト後
81% 87%

静かで、隔離された「場」を利用して、集中ワークやプライベートな会話をすることができる*

プロジェクト前 プロジェクト後
81% 80%

*この調査はプライベートなスペースとコラボレーションスペースをバランスよく配置させるニーズを示唆していました。その結果を得て、Steelcaseはアンクレイブと呼ばれる隠れ家やその他の様々なプライベートスペースを社内中に増やしています。

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