Citrix Q&A:職場におけるIoT活用

働く「人」が欲しているモノを把握し、それに応える「スマートオフィス」

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Citrixは、あらゆるネットワークのあらゆるデバイスに向けたアプリやデータを安全に配信することを目的に世界中の企業と協働している。その結果として、同社は何十年もの間、数多くの企業のオフィ スで起こっている変革とオフィスでのテクノロジーの活用方法を観察 、調査し続けてきた。今回、360は、Citrix Cloud IoTのプロダクト統括副社長であるSteve Wilson氏をインタビューした。彼が率いるチームの視点から、テクノロジーの進展、モノのインターネット(IoT)、クラウドといった要素がいかに今後の働く「人」や働く「場」に影響を与えていくかを尋ねた。

360: 御社は、IoTやテクノロジーが企業の仕事プロセスを変化させている状況をどう見ていますか?

Steve: IoTは、ワクワクするような社会を実現します。なぜなら、それは人とモノを結びつけていくからです。ビジネスにおいても、仕事での体験をより良いものにするために働くスペースがテクノロジーと融合していけば生産性は改善していく可能性が十分あります。

私たちは、複数の顧客と IoT での協業を進めています。また、自社の職場環境においてもIoTテクノロジーを積極的に活用しています。例えば、「スマート会議室」というものを展開しています。これは通常の会議室をユーザーが欲していることを把握して自動的に実行する機能がついた「スマート会議室」に変換するというものです。扱いは楽でテクノロジーは非常に高度なものです。

「スマート会議室」は、室内のスクリーンや照明、スピーカーなどの物理的なデバイスと従来のITインフラ(Cirtix XenAppやMicrosoft Active Directory、Microsoft Exchangeなど)をシームレスに繋ぐことで、エラーが起こりやすい会議のセットアップを省略でき、複数の場所をつなぐ会議やプレゼンなどをこれまでよりずっと迅速に開始できます。このテクノロジーを付帯した会議ではその生産性低下を約50ドルから100ドルぐらいの範囲で節約できると見積もっています。

360: Citrixは、「テクノロジー」と職場環境である「スペース」をどう統合するのですか?

Steve: 当社では、IoT関連の製品デザインはユーザー体験が全てです。テクノロジーであることはもちろんですが、結局のところ、生活や仕事をより良いものにするためにシーンに相応しい体験をユーザーに提供することなのです。それは決して隔離されたものでも一過性のトレンドでもありません。IoTのコンセプトは、全てのCitrix製品に組み込まれています。デザインという観点から言えば、目の前にある製品だけがデザインではなく、携帯機器であれノートパソコンであれ、人間が触れる全てのスクリーンの集大成でもあります。そして、ユーザーが動くどこにでも一緒に移動するものでなければなりません。大人数のチームミーティングでコンセプトを検討して、その後、少人数でそれを試し、プロトタイプを作成するとしたら、その情報やツールはシームレスに引き継がれるのが理想です。仕事において常にワークフローは乱れずにスムーズに遂行されることが前提です。

360: IoTは、オフィスでの働き方をどのように変えていくとお考えですか?

Steve: IoTはすでに今日の私たちの働き方を変えていますが、第四世代ユーザーインターフェースと呼ばれる段階を経てさらに劇的な変化がもたらされるでしょう。私たちは多くのアプリを保存し、携帯機器やノートパソコンのスクリーン上でアプリを利用しています。今後は、IoTの進化、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)のような最先端テクノロジーによって、これらのアプリは新たな方法で物理的環境と作用し合うようになります。テクノロジーのさらなる進展がオフィスでの働き方やオフィスという環境そのものを変化させていくことは間違いありません。

実際にオフィスはどう活用され、最善の仕事をこなすためにはどのようなツールを必要としているのかの調査やすでに始まっています。オフィスに組み込まれたIoTによって、オフィスのどの部屋が利用され、どの部屋がいつも空室のままなのかのリアルタイムデータが入手できるのです。ビデオ会議か、業務に必要なある特定のデバイスなのか。 実際そこで働く人のニーズを把握して初めて、私たちは最善の仕事ができる最上のオフィスとツールを創造することができるのです。

360: 個人の業務プロセスを変革するテクノロジーについてはどうお考えですか?

Steve: 働く人の生産性を向上させるために、環境そのものがユーザーやユーザーの行動にまつわる情報を収集できるようになります。ユーザーのIDと場所、アプリなどの情報をシステムがインプットすることでユーザーに要求される前に必要なツールや選択肢を与えるというものです。また、IoTセンサーのデータ、ネットワークの遠隔測定、機械学習などを活用すると物理的なオフィス環境そのものががユーザーのニーズを予測出来るようになります。

360: 職場環境のテクノロジーによってコラボレーションはどう向上するとお考えですか?

Steve: 専門的知識はオフィス内だけに留まらず、オフィス外との仕事は増加傾向にあります。ある統計によると、企業はネットで人をつなぐために途方もない量のテクノロジーを使用しています。例えば、ビデオ会議を通して世界とのシームレスな仕事の遂行が可能になっています。

また、フレックス勤務が増える現状の中、必ずしもそれによって社員の孤立化が起こるわけではありません。ビデオ会議、クラウドへの移行サービス、ファイル共有技術やクラウド経由でのデータやファイルの送信といったことが、よりコラボレーションしやすい環境へと促しています。そして、更に物理的空間そのものをも変化をさせています。防音スペースやWIFI完備のオフィスIoTを利用したよりオープンな執務空間も増えています。臨場感あるコラボレーションに向けて、社員と仮想技術を結ぶテクノロジー主導の人間同士の相互交流は必須です。

360: 職場における テクノロジーの未来をど うお考えですか?

Steve: 仕事空間はデスクとパソコン、プリンターを備えた単純なものではなくなりました。21世紀型オフィスには、「人」、「テクノロジー」、「スペース」という進化し続ける相互作用がなければ成り立たないものへと変化しています。ビジネスにおいては、より柔軟に仕事の変化に適応し続けるアジャイルなスペースを必要としています。今日の社員は、生産性向上のために必要なアプリやデスクトップの使用、ファイルやネットワークへのシンプルなアクセスを求めています。IT環境は、設計、展開、利用制御管理の全てのレベルでシンプルさを要求されます。そして、企業は、データを保護し、悪意ある人間をいかに仮想上でも遮断していくかを対処しなければならない時代になっていきます。

ITの役割がどのように変化し、職場環境に影響を与えているかの詳細は360マガジンの 「デジタル化への競争」 をご覧ください。


360Steve Wilson氏は、製品ラインと顧客をクラウドへ移行させるための戦略、ビジョン、製品マネジメント全般をCitrixにて担当。率いるチームは、高度分析、人工知能(AI)、IoT性能をクラウド製品へと組み込み、高度にデジタル化されたオフィス創造を目指して最先端なクラウド環境を開発し、企業に提案している。