イノベーション

イノベーションを起こす「場=ワークプレイス」の創造

イノベーションが組織を活性化し、企業を成長させる原動力であることはほとんどの人の一致する意見です。「場」であるワークプレイスはまさにそれを実現できる環境を創りだすことができるのです。

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イノベーションが組織を活性化し、企業を成長させる原動力であることはほとんどの人の一致する意見です。「場」であるワークプレイスはまさにそれを実現できる環境を創りだすことができるのです。

グローバルマネジメント誌のハーバードビジネスレビュー(1)は、イノベーションは事業の成功のための「秘密のソース」であると論じています。経営コンサルティングの大手McKinsey社は企業の革新的能力は「成長と成果、そして評価の主要な原動力」になりつつあると述べています。2

今日、イノベーションが組織を活性化し、企業を成長させる原動力であることはほとんどの人の一致する意見です。その目的を達成するためにすべてを好機と捉え、保有する資源を最大限に活用できる企業が優位な立場になることはいうまでもなく、それは大企業にも創立したばかりの企業にも同様にいえることです。

しかし、特に経営のスリム化や少ない労力で大きな成果をあげることへのプレッシャーの中で、多くの企業はどうやってそれを達成していいかがわからないというのが実情です。企業の首脳陣は行き詰まりを避けるためにあらゆる努力をしていますが、当然ながらイノベーションを起こすことは決して容易いことではありません。問題解決の方法論として、社会科学の進化やデザイン思考への影響力が増すにつれ、これまで以上にどうやってイノベーションを生み出し、企業が繁栄するかについてのさまざまな情報や知識が入手しやすくなりました。(3)

イノベーションとは複雑で、そのプロセスは決して単純なものではありませんでしたが、最近は徹底的な調査によって成功への道が見え始めてきました。もちろん、企業イノベーションは人間がもつ創造性から生み出せることは確かです。密室での発明が次々と起こる孤独な天才の神話は今やマンガのような時代遅れの決まり文句のようなものです。真の突破口は人々が懸命になって恊働すること、そして発見や伝線のように沸き起こる思考が詰まったブイヤベースの中にさまざまな考えが混ざることから実現していくのです。人は人を必要とし、そのことで可能性の幅が広がり、困難を乗り越え、より多面的で明快な解決策を見いだすことができるのです。「恊働する」という行為はまさにY世代の若者が好む働き方で、知識労働における彼らの影響や変化はすべての世代によって受け入れられ、競争力をつけて市場を先導したいすべての企業に対して新たな必要条件を突きつけることになりました。(4)

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密室での発明が次々と起こる孤独な天才の神話は今やマンガのような時代遅れの決まり文句のようなものです。

当然のことながら、成功している企業はクリエイティブで恊働志向のワーカーを可能な限りの方法で彼らが最大限の能力を発揮できるようサポートしています。ビジネスリーダーは人材などの資源に投資し、企業のイノベーション能力を高めるよう努力し始めています。

次世代の高性能なワークスペースはしばしば見過ごされがちですがそれは見果てぬ夢を達成するための重要な要素になりつつあります。最適なワークスペースでは人々が恊働し、知識を共有し、共に学び、信頼に基づいた人間関係を構築することができ、そのすべてが企業の課題を解決するために不可欠な要素になっています。今、注目される作家であり、イノベーションの専門家でもあるJohn Seely Brown氏によると、イノベーションを生み出しつづける企業文化には大抵は先見の明をもったカリスマ的なリーダーが存在し、画期的なアイディアを推進する雰囲気とイノベーションを助長させる「場」がそこにはあると言います。(5)

さまざまな企業で実践されているイノベーションを綿密に観察することで、Steelcaseの調査員は新たに浮かび上がったイノベーションという科学においていくつかの重要な要素があることを発見しました。スペースはいわば「体験する」のためのステージであらゆる側面を考慮してデザインされている必要があります。例えば、ビジネスプロセスをサポートし、ボジティブな企業文化を育み、適切なIT環境やツールが装備されていることなどがあげられます。これらの要素すべてがシームレスに統合されて始めて、多方向から立体的に聞こえるサラウンドシステムのような効果を得られ、次から次へとイノベーションを生み出せる環境を提供することができます。

これらの要素が共生することでワークプレイスはそこで働く人々を刺激し、イノベーションを助長するという環境が創られるのです。このことはこれまで以上にますます重要視されることになります。2009年にSteelcaseが9ヶ月間に渡って実施した米国企業に関する調査でY世代の若者の行動やワークスタイルが知識労働とワークプレイスに劇的な変化をもたらしていることが明らかになりました。そして、これらの変化はすべての世代によって急速に受け入れられつつあるということです。(6) 社員が仕事で創造性が求められる昨今、それにうまくのるのがリーダーの使命です。そしてイノベーションを語る際に「より多くのことを、より速く」という2つの単語に集約されています。このレポートはSteelcaseによって実施されたイノベーションに関する1次、2次両資料調査の結果をもとに作成されたもので、それには2010年の7月にCoreNet Globalとの協賛で実施された200人以上もの不動産専門家の調査と実際の仕事場でのイノベーションを生む行動やプロセスを明確にするための観察研究も含まれています。Steelcase Applied ResearchのコンサルタントやWorkSpace Futuresチームは人類学や社会科学などの方法論を採用し、建築家やデザイナー、そして民間企業とグロバールレベルで恊働しながら、新たな発見を導きだし、それらを実際のスペースで具現化し、仕事場において人々が有意義に相互交流し、コラボレーションを促進し、イノベーションを助長させるさまざまなタイプのスペースを創りだしました。

この現在進行中の研究によって企業イノベーションに影響を与えるであろう要因がより明確になりました。これらの属性の異なる組み合わせから、Steelcaseは企業内のイノベーションにおいて8つの異なる構造モデルを定義しました。議論を重ね、図式化されたそれぞれのモデルはスペースにおいて独自の意味を持っています。Steelcaseはその結果を2012年に開設予定の自社の新たなイノベーションセンターにおいて実際に取り入れる予定で、ワークセッティングのデザインや使用方法でいかに企業イノベーションが強固なものになるかを今後も引き続き調査していく予定です。

イノベーションへの道を開く

SteelcaseとCoreNet Globalとの共同グローバル調査の結果はほとんどの企業 の中でイノベーションにおけるプロセスが確立されていることを示唆しています。回答者のわずか9%は企業にとってイノベーションは重要ではない、またはやや重要であると答えています。ほとんど(82%)の回答者が事業戦略の中でイノベーションが密接に位置づけられていると答えています。

半数以上(55%)の回答者はイノベーションに関わるプロジェクトにおいては経歴や文化が異なる多彩な人材を起用していると答えています。企業の大半(85%)は外部のコンサルタントや専門家と提携して、一部またはすべてのプロジェクトを遂行しています。また、3分の2の企業は外部の機関や専門家と長期的な関係を構築しています。

How To Place Fosters Innovation 2

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しかしながら、調査結果はワークプレイス戦略が企業イノベーションへのプロセスとその意欲と歩調が揃っていないことを指摘しています。特に75%もの企業が企業イノベーションはただ単にある一部のチームや部署の問題ではなく、全社レベルに広げることが重要であると認識しており、60%は企業のワークプロセスは個人主導というより、コラボレーション主導であるべきであると答えています。職場にイノベーションを推進し、その活動に従事する人々をサポートするスペースがあるかどうかという質問に対しては69%が「はい」と答えています。しかし、65%がほとんどのスペースはコラボレーション用というより個人ワークのスペースをサポートしていると答えています。つまり、理想と現実の間には明らかに差があること、もしくはどのようなスペースがイノベーションをサポートするのかについての間違った認識があることは明らかです。個人のワークスペースでイノベーションを起こすことは容易ではなく、それは従来の会議室においても同様です。

イノベーションは企業の事業戦略や成功に重要な要素であり、それをサポートする適切なスペースを提供することで、働く人々の可能性を切り開き、人とワークプロセスがイノベーションをより速く、より強力に生み出す環境を創りだします。

小さなステップが大きな跳躍につながる

昨今、イノベーションプロセスをカテゴリー化し、細かく描写しているものも市場に溢れ、近年出版されている書籍の数は過剰な状態ともいえます。そこに研究者や読者がいかにイノベーションについての深い関心をよせているかがよくわかります。多くの専門家はイノベーションを大きく2つのカテゴリーに区分しています;持続的イノベーションと破壊的イノベーション。これはハーバードビジネススクール教授のClayton M. Christensenがその著書、Innovator’s Dilemma、「イノベーションのジレンマ」で定義したものです。この著書は顧客の未来のニーズではなく現在のニーズを満たすことにあまりにも重点を置くことの危険性を示唆しています。(7)

持続化イノベーションとはすでにある何かを改良することです。例えば、今日の携帯のイノベーションはテクノロジーの小型化、高性能化、高速化、そして多目的化に成功したことです。破壊的イノベーションとは新たな製品、サービス、カテゴリー、ひいて言えばいままでにない市場を創るという真の躍進を意味します。医療クリニックの小売化はまさに既存の医療サービスが崩壊したということでこの代表例のひとつです。企業にはこの持続的、破壊的イノベーションが求められ、それらに成功した企業こそが市場でのリーダーとしての地位を築き、持続させることができるのです。

持続化イノベーションは顧客のニーズを満たし、高い利益率で販売し、競争力がある製品やサービスを提供することになるかもしれません。破壊的イノベーションはまさに競争上の優位性を確保し、組織内と市場において、多くの場合長期間に渡ってその勢いを持続することになります。

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SteelcaseとCoreNetグローバル調査によると、33%の企業は彼らのイノベーションの40-60%は維持され、半分がイノベーションの20%が躍進に繫がっていると答えています。もし企業が歴史的に成功をもたらすといわれたものが永久に続くと思われている持続化イノベーションのみを達成しようとするなら、競合他社によって市場は奪われ、時代遅れになる道を無意識的に選び、破壊的イノベーションへの扉を開くことになります。例えば、AppleのiPodは音楽業界の安易で日常的なものを破壊したイノベーションでした。また、明確な目標に向かって職業としての技能やスキルに重点を置くコミュニティカレッジが4年制の大学の快適な学生生活より人気がでてきている状況と似ています。

異なるストローク

ある企業のイノベーションに対するアプローチの仕方が他社と異なるのは何故でしょうか? イノベーション構造ということになると、一連の項目においての主なる特質や変動する要素が企業を特色づけ、区別させています(上図を参照)。どの特質も長所短所がありますが、それらを組み合わせることでイノベーションへの異なるアプローチ方法を明確にすることができます。

イノベーションモデル

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異なる企業の異なる特質の組み合わせ具合を分析することでSteelcaseは持続的、破壊的イノベーションをサポートする8つのイノベーションモデルを識別しました。この8つを連続の分布の中で見てみるとどのイノベーションが集中しているか、分散しているかの程度が分かります。ある企業は新しいアイディアや新たな問題解決方法を探す際に企業内部に向ける企業と外部に目を向ける企業とがあります。

ある企業はひとつのモデル、ある企業は数種のモデルを使用することがあり、それはプロジェクトの内容や目指す目標によっても異なります。

新しいアイディアを孵化させ、増殖させ、伸ばす企業努力を最大にサポートするスペースに対してのアプローチ方法も、それぞれのモデルタイプは他とは異なっています。

社内マーケットプレイスモデル

徹底的に中央集権化したこのモデルではイノベーションとコンセプト開発という文化が組織のあらゆるレベルに浸透しています。ここではアイディアが相互に交流される活発な環境が生まれ、個々人がイノベーションを起こす責任を持たされています。モバイル通信関連企業であるQualcomm社はこのモデルの代表例で、社訓がそれをよく表現しています。「どんな仕事であろうと、イノベーションを起こすのは自分である」と。

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p>適切なスペースとは:自席の近くにそれぞれのチームがコラボレーションし、アイディアを共有できるスペースを創ることが重要です。中央にあるプロジェクトエリアでは壁やパネルなどに情報を視覚化し、プライベートエリアは誰にも邪魔をされることなく徹底的に討論やブレストができるように配慮されています。カフェではおしゃべりをするのはもちろん、チームと他の部署の人々が集い、アイディアを交わしあうスポットとしての役割も担っています。

 

社内共有モデル

情報や知識を共有するこのモデルではマルチに渡るスペシャリスト集団のメンバーが必要なときにすぐに集まって活動ができることが必須です。チームメンバーの自席は隣接し、各メンバーと即座にコミュニケーションできること、またグループ同士が短期、長期に渡るプロジェクトで自由に交流し、共有できる文化を適切にサポートできるスペース配置であることなどが必要になります。

これはSteelcaseの中でWorkSpace Futuresチームと製品開発、サービスチームが恊働するために採用されたモデルです。

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適切なスペースとは:情報共有をコアとするこのスペースでは、それぞれのチームスペースがフロントポーチ(正面玄関のようなもの)を持ち、公開されている情報の一部が表示され、スペースの中に入るにつれ、より多くの情報が提供されるように工夫されています。プライベートエリアには部外者の気が散らないように新しいアイディアや試作品などが紹介されています。閉じられたスペースは必要に応じて拡張できる柔軟性も持ち合わせており、個人スペースはお互いに隣接しています。

社内センターモデル

このイノベーションモデルでは社内のある特定の部署にイノベーションを集約させたものです。この特別なチームは業界での経験や知識も豊富で、典型的なワークプロセスの中で作業しながらも、企業文化を担い、組織の資料や情報に簡単にアクセスできることを必要としています。このモデルの最初のプロジェクトが米国ミネソタ州にある世界中から難病を抱えた患者が訪れることで有名な総合病院Mayo Clinicと共同で実施した世界でも初めてのSPARKイノベーションプログラムです。まさにイノベーションへのプロセスとその施設を大きな企業文化の中心に置いた企業モデル例です。

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適切なスペースとは:チームスペースに隣接して「オアシス」と呼ばれるエリアが全体スペースの中央に配置され、そこでは人々がゆっくりとくつろぎながら会話する空間を提供しています。また「オアシス」にリンクしているのがプロジェクトスペースで、チームメンバー同士がアイディアやプロトタイプ(試作品)を共有したりします。プロトタイプエリアは間仕切り的な役目も果たし、部外からはアイディアやサンプルが実際のスペースでテストされている模様を見ることができます。

オフサイトモデル

企業によっては会社を離れたところでイノベーションが生まれると信じている企業もあります。このモデルはまさに遠隔センターでチームが製品の開発をし、試作品をつくり、イノベーションを評価するというものです。このチームには明確な価値観やプロセスを追求するために独特な文化や自由度があり、同時に組織の知識や資料にアクセスできるように考えられています。Boeing社はまさにこのモデルを活用して、非常に需要が高い中型の787型機、ドリームライナーの開発に成功しました。

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適切なスペースとは:離れて仕事をしているチームにとっては「母船」に常につながっていることが鍵になります。よってビデオ会議システムは欠かす事ができません。自己充足型のオフサイトとして、ゲストを迎える「フロントポーチ(正面玄関)」ゾーンでチームはゲストを迎え、さまざまなミーティング用として閉じられたアンクレーブ(隠れ家)が用意されています。中に深く入るにつれ、ラボ、プロジェクトスペース、プロトタイプゾーンなどのイノベーションを生むためにつくられたエリアやモバイルワーカー用のオルタナティブセッティングが配置されています。

パートナーシップモデル

たまに物事の見方をうまく融合させることで突破口が早く見つかることがあります。長期、短期的な提携を通して、企業は意図的に多彩な人材、能力をテコにして、他とはまったく別な観点から物事を捉え、知識を変換し、リスクの特性とコストを睨みながらあらゆる対応策を考えています。この代表例がスポーツと音楽の融合を可能にしたAppleとNikeのコラボ、ランニングシューズMoireの発表でした。センサーが装着されたランニングシューズとiPodを接続し、音楽を聞きながら走者のスピードや走行距離などの情報がリアルタイムで現れるというものでした。

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適切なスペースとは:「私の」、「あなたの」、「私たちの」スペースというように、このモデルは自席を持ちながら、物理的、バーチャル両方でスペースを共有しています。Alpha collaborationでは人々が共有スペースで恊働し、その後各自自分の領域に戻り、専門知識を蓄えたり、ラボで作業をしたりしながら、また準備ができたら共有スペースに戻って恊働するという特異な働き方を実践しています。このすべての3つのスペースすべてにタッチダウンスペースやプレゼンエリアが配置されています。

コンサルタントモデル

イノベーションのプロがプロジェクトベースで組織にはいることを考えてみてください。彼らは明確な問題解決スキルや現実的な、あるいは目に見えない組織の縛りがない新鮮な視点を企業の中に持ち込んできます。企業は彼らからイノベーションのノウハウを学び、来るプロジェクトに生かすことができます。この代表例としてはデザインコンサルタント集団であるIDEO社と仕事をしたProcter & Gamble社があげられます。

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適切なスペースとは:彼らはまったく異なる企業文化を持つ企業同士かもしれません。両方の建物においてメンバーが集まり、情報を共有できる共有スペースがあることは必須です。よくあるケースはホスト企業のスペースに”ゲストハウス”があることです。そこではプロジェクトゾーン、ソーシャルスペース、リゾースエリアなど中間的なスペースで双方の企業がアイディアを共有し、試作品をテストし、イノベーションを生み出す作業が行われます。同時にそれぞれに企業文化が存在する別の場所を持つという具合です。

ネットワークモデル

「それを造れば、彼らはやってくるだろう」という有名なフレーズがあります。まさにこのネットワークモデルはそれを象徴していて、大学機関や協会、コミュニティメンバーや専門家などの企業ネットワークに参加しながら、人々を招待し、アイディアを共有するというものです。そのプロセスも計画性があるわけでもなく、さまざまな考え方を尊重し、個人的に関心がある個人から思いがけない考えやアイディアがでることもあります。自分でデザインしたLegoをパッケージにして送ることができる「Design by Me」はまさにこの代表例でLego社は新たなキットのために最上のアイディアを獲得することができました。

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適切なスペースとは:さまざまなイベントを実際の場所、またはオンライン上で開催することで人が集まり、情報を共有することができます。その後にチームに持ち帰り、更なる探求と改善に向けての作業が始まることになります。

コミュニティモデル

これは自立したネットワークがアイディアを出し、一緒になって潜在的なニーズを把握しようとする際に「今」のニーズを知りたいという必要性がある場合のモデルです。この利点は自由で知識の変換をオープンにできる組織から離れた視点の広さです。

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適切なスペースとは:テクノロジーに依存しているコミュニティモデルは異業種の人々が集まり、その仕事の仕方を適切にサポートするスペースが望ましいです。今日のコ・ワーキング(オルタナティブワーク戦略の実施や起業家など)のための予約制や会員制のスペースは急速に増加しています。初期の調査結果で分かったことはソーシャルな交流を促進するラウンジエリアは個人ワークや会議室のスペースの予測可能な料金の他に歓迎されるスペースのひとつであるということです。またプレゼンテーションスペースなどをアートギャラリーのようにすることでスペースをより刺激的にしかも恊働する雰囲気を醸し出すことができます。

イノベーションのためのデザイン

イノベーションに向けて企業がどのモデルを採用しようと、スペースのデザインがイノベーションへの取り組みへのスピードを加速させ、成果につながる重要な要素であることはまちがいありません。企業が依存している有能な人材を生かし、成功に導くために彼らの働き方をサポートすることがイノベーションへの成果を改善することになります。簡単に言うと適切なスペースがイノベーションを加速させるのです。

下記はイノベーションへの取り組みのためにいかにスペースをデザインしたらよいかの定義をご紹介します。

柔軟性の高いスペースにする

イノベーションのためのスペースは自然発生的に起こるようにレイアウトが自由に変更しやすいものであること重要です。例えば異なるワークモードの間を容易にシフトできること、情報がダイナミックに流れること、ツールの間を行き来できることなどがあります。さらにスペースを多目的なプロジェクトチームによって同時にまたは連続して使用できることでスペースの柔軟性が増します。

  • 固定された要素に流動的な建築要素を混在させること。例えば、半固定式な壁や移動式間仕切りなど。
  • 大人数、少人数の活動のためのフレキシブルハブを創る
  • ユーザ−が自由にスペースを構成できるように可動式家具を提供する
  • ビデオ会議用に閉じられたスペースを提供することでプライバシーが確保される

刺激的なスペースにする

何か新しいものを創造することが知識労働の基本と言われる中で、特にインスピレーションは製品やサービス開発など企業のイノベーションを創造する人々にとっては不可欠な要素です。刺激的で仕事がはかどるスペースは創造的な思考に活を入れ、持続させる力があります。

  • 溢れる自然光と景色を提供する
  • スペース中に自然の要素や素材を使用する
  • 人の気持を和らげたり、高めたりする作用として色彩をうまく活用する
  • カジュアル、インフォーマル、そして快適なスペースなどさまざまなセッティングを提供する
  • スペース中にアートや意味のあるオブジェなどを飾り、個人や企業文化をサポートする

コラボレーション可能なスペースにする

イノベーションチームには「共有する」というマインドが要求されます。個人の発見や記憶は最終的にはグループのものとして所有されます。それは早ければ早いほうがよく、無駄なプロジェクトの遅れやエラーの発生を削減するためにも過去のプロジェクトはすぐに識別できることも必要です。

  • グループスペースのまわりに個人ワークスペースを配置させ、視界を広くする
  • インフォーマルなブレストや情報交換のためのグループ用エリアを提供する
  • デジタル情報を駆使した濃密なコラボレーションを伴う徹底した対話体制を提供することで分散した遠隔にいるメンバーとのコラボレーションも容易になる
  • ホワイトボード、プロジェクションスクリーン、プレゼンボードなどを活用して垂直面に情報や内容を表示することで情報主体の積極的なコラボレーションが可能になる

ツールとして活用できるスペースにする

仕事がはかどるスペースはチームがイノベーションを生み出すために活用するツールとして活躍します。「集中する」、「コラボレートする」、「学習する」、「ソーシャライズする」という4つのワークモードのすべてを適切にサポートすることで、イノベーションスペースは新しいアイディアを生み出す効率的で積極的な「場」に変身します。

  • 壁部分をうまく活用し、グループスペースとリンクさせるかたちで情報を整理しながら表示する
  • 頻繁に使用する仕事ツールは効率的に収納され、容易にアクセスできるように配慮する
  • あらゆる所にある垂直の表面を情報表示に活用する
  • 収納を重ねることでまず資料をより便利に配置する、そしてスペースを区切るという2役の機能をもたせる
  • テクノロジーをサポートするインフラを提供する

企業文化とブランドが反映されたスペースにする

企業のアイデンティティと文化は組織を活性化し、イノベーターを育成します。そしてスペースはその重要な価値観やプロセスを着実に伝達する方法のひとつでもあります。スペースに企業文化とブランドを反映させることはそのデザインを通して企業が積極的にイノベーションをサポートする方法を提示していることにもなるのです。

  • ある企業のデザインが必ずしも他の企業でもうまくいくとは限らないことを認識しながら、スペースデザインを通して企業文化やメッセージを強調する
  • 空間の中に製品や企業の栄えある功績を表示することで従業員のプライドを刺激し、冒険する心を養う
  • 自分たちのチームや部署のアイデンティティを表現し、個性豊かな空間を創造する

ソーシャルなスペースにする

コ・クリエーション(協創)から生まれるソーシャルキャピタル(社会そのものの資質)は信頼関係や結びつきを構築するという観点からイノベーションにとっては不可欠な要素です。特にチームが集中しながら仕事をする場合のインフォーマルな会話を促進するオープンでリラックスしたスペースはイノベーションスペースを成功させる不可欠な項目です。

  • フードや飲み物に容易にアクセスできる
  • 人が集って語り合う快適なラウンジチェア、カフェテーブルなどの什器を提供する
  • ワークエリアの近くにカジュアルにコラボレーションできるエリアを設置することで個人ワークから離れて休憩をとったり、人と情報を交換してしたりすることが容易である
  • ゲストを迎え入れるウェルカムエリアはスペースや作業中の仕事風景が垣間見える空間であるように工夫されている

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イノベーションのために革新的なワークスペースを創造する

イノベーションを欲していない企業はありません。しかし、企業はまだイノベーションをビジネスプロセス、企業文化やテクノロジー、そして仕事ツールの範囲の中でそれを定義しています。実はこれらのすべての要素をサポートし、連動させることでイノベーションのあらゆるパターンの範囲内で起こる予想外の方法でイノベーションを助長させることができるのです。

スペース内で企業内外からの人を一同に集める「場」を提供することがあります。そしてそこから日常的かつ極めて難しい課題をも解決する新たなソリューションを発見することがあります。つまり、仕事がはかどるスペースがいかに企業を強くし、他の重要項目と結びつけることで新たなソリューションを生み出す力となることを示し続けたことで、いまやスペースデザインはイノベーションにとっては不可欠な要素をして注目されています。

企業として価値を生み出し、存在意義のある事業体になる、またはあり続ける中で、ワークプレイスを再考することは人々を刺激し、イノベーションを可能にすることにつながります。そうすることで、企業の現状を改善し、将来の成功への可能性に向けて多大なる貢献をしていくことはまちがいありません。

一歩づつですが、より多くのイノベーションを速い速度で生み出し続けることは企業にとっては決して不可能なことではないのです。

謝辞

Steelcaseは長年に渡り「働くこと」や「ワークプレイス」に関してさまざまな研究調査を実施しております。この研究調査はワークプレイスにおけるイノベーションについての私どもの見解の土台を形成するものです。本レポート作成にあたり、多くの知識や示唆をいただいた不動産、デザイン業界の方々に厚く感謝を申し上げます。また表題に対して有意義な見解を提供し、私どもの洞察を形づくるのにご協力をいただいた下記の個人の方々に対しても深くお礼を申し上げます。

文献

1 Harvard Business Review, March 2010

2 McKinsey Quarterly, Article 2008-12-12

3 Noteworthy books on innovation include:

The Sticking Point Solution: 9 Ways to Move Your Business from Stagnation to Stunning Growth In Tough Economic Times by Jay Abraham

Change by Design by Tim Brown The Innovator’s Dilemma by Clayton M. Christensen

The Power of Pull: How Small Moves, Smartly Made, Can Set Big Things in Motion by John Hagel III, John Seely Brown, and Lang Davison

The Design of Business by Roger Martin

The Leader’s Guide to Lateral Thinking Skills: Unlocking the Creativity in You and Your Team by Paul Sloane

4 Steelcase 360 Magazine, August, 2009

5 Seeing Differently: Insights on Innovation, John Seely Brown, Harvard Business Review book series, 1997

6 Steelcase 360 Magazine, August, 2009

7 The Innovator’s Dilemma, Clayton M. Christensen, Harvard Business School Press, 1997

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