イノベーション

Merckのイノベーションセンターが、未来を築く 。

ドイツのダルムシュタットに本社を置くMerck KGaAが、新しくオープンする自社イノベーションセンターを活用し、イノベーションを育て推進する、そのやり方とは。

1668年、Friedrich Jacob Merck氏はドイツのダルムシュタットに自身の名を冠した会社を創業した。その会社Merck KGaA Darmstadt(以下Merck)は今日、ヘルスケア、ライフサイエンス、およびパフォーマンスマテリアルズの3領域で世界有数のサイエンステクノロジー企業に成長した今もイノベーションを育成する姿勢を貫いており、その証ともいえる同社の新イノベーションセンターも完成間近だ。本センターは、約350年前にMerckが創業したダルムシュタットにある現本社の内部に建設中だ。多くの企業がよりスピーディーな革新で企業としてさらなる高みを目指すとき、Merckはアイデアを広く集めイノベーションを推進する方法を模索している。Merckイノベーションセンターの責任者Michael Gamber氏(以下Michael)が、自身のプロジェクトチームがイノベーションに取り組む様子を360に語った。

360: Michaelさんがイノベーションセンター創設プロジェクトに従事されてどれくらい経ちますか?

Michael: 2015年の創設以来、我が社のモジュール式イノベーションセンターの共創エリアは、従業員やビジターに常に開放されています。新イノベーションセンターのコンセプトをラピッドプロトタイピングするため、現センタービルを建設しました。2018年春には新センタービルに移設します。新たにオープンするイノベーションセンターは6階建てで、現センターの5倍のスペースを有します。

360: Merckはなぜ組織全体に革新的な取り組みを組み入れることはせず、イノベーションセンタ ーを創設することにしたのですか。

Michael: イノベーションセンターでは、社員が分野やチーム、部署の垣根を超えて協働し、斬新で破壊的なアイデアを生み出せる環境づくりに取り組んでいます。社外とのコラボレーションとは別に、Merckに組み込まれた高い革新性も大いに活かしたいと私たちは考えています。そういう考えから、私たちはさまざまな分野のメンバーが集うチームにとりわけ注目していますが、それはさまざまなトピックと専門性が結合すると貴重な新製品やサービスの創出につながるという強い確信があるからです。本センター創設の目的は、アイデアを育て、事業化の可能性を探り、我が社の既存事業領域を超えた実行可能なビジネスにすることです。

360: イノベーションセンターはどのように運営されているのでしょうか。

Michael: プロジェクトによっては、世界中に広がるMerck社員がこのイノベーションセンターに移り、完全に自分のイノベーションだけに集中し取り組むこともあるでしょう。現段階ではコーチング、メンタリングプログラム、そして資金援助などの面でアドバイザーという立場からプロジェクトの支援を行っています。

このセンターは従来の研究開発を補完するもので、さまざまな分野の技術と能力が集結する場です。私たちは「イノベーション分野」と呼ばれるものから戦略的に新しいアイデアを調達します。Merckの事業分野とそれに納まらない分野の間でイノベーションプロジェクトとして選ばれたアイデアは、私たちが探し求めるプロジェクトのためのガイダンスです。アイディエーション段階をクリアすると、これらのアイデアの育成と推進を目的とした “Think Tanks(シンクタンク)”や“Innospire(イノスパイア)”などの異なるプログラムが用意されています。本プロセスにはいくつかの開発段階があり、次の段階への移行の可否、当該プロジェクトへの資金投入の是非とその方法を決定しながらプロジェクトを進めていきます。最終的に、このイノベーションプロジェクト支援はMerckの既存事業以外の製品やサービスを生み出し、さらには我が社の未来を成功に導いてくれることでしょう。

MERCKイノベーションセンター

ドイツのダルムシュタットにあるMerck KGaAの現イノベーションセンターは、従業員とゲストに15,000平方フィート(1,400平方メートル)以上のスペースを提供している。

MERCKイノベーションセンター

開発途中である新イノベーションセンターの個性的な建築様式は、Merckの企業文化−多様性への寛容さ、透明性、そして革新的な精神を象徴している。

MERCKイノベーションセンター

Merckは未来型イノベーションセンターを活用した新形態のコラボレーションの実現を目指す。プロジェクトチームのための多機能エリアはコミュニケーションを促し、創造性を高めてくれる。

MERCKイノベーションセンター

Innovation Think Tank(イノベーション・シンクタンク)では、専門チームが将来のトレンドや技術を3ヶ月間ごとに分析する。

360: 分散型チームと比較して、物理的にイノベーションセンターという同じ「場」に身を置くことはイノベーションにとってどれほど重要だと思いますか?

Michael: 「『箱』の外で考える」スペースが創られただけでなく、そこで働くことも奨励される状況であるからこそ、物理的にイノベーションセンターという同じ「場」に身を置くことはとても重要です。柔軟で機能的ながらインスピレーションが湧く部屋で、従業員と外部のパートナーが一体となり学際的なプロジェクトに取り組むことで、アイデアが先駆的なイノベーションへと変貌を遂げるのです。グループプロジェクトに従事するチームはモジュール式イノベーションセンター内の個別セクションの利用が可能です。

これに基づいたユニークな精神はセンター内の至るところで見られます。ですから私たちは、アクセラレータプログラムの外部スタートアップ企業にもイノベーションセンターに移り、プロジェクトに取り組むよう勧めています。同じ屋根の下にいれば、アイデアを交換したり互いにサポートしたりすることができます。さまざまな文化や知識ベースが問題への別の角度から視点を当てることで問題解決への展望が広がります。さらに、スタートアップ企業は専門家と直接連絡を取り合い、目標を達成してイノベーションは更に上の段階に移行しますが、プログラム終了後も専門家との連携は継続します。

360: イノベーションセンターはMerckの 企業文化にどのような影響を与えましたか?

Michael: 私たちは、素晴らしいアイデアがいかに重要で、生活に変化を与える力を備えていることを知っています。イノベーションの促進するために、イノベーションセンターはダルムシュタットのMerck本社中央部に配置されました。本センターは、仕事上の上下関係なく集まった好奇心に溢れた従業員たちが新しいことに挑戦したり、直面している問題にクレバーな解決策を見出すのに理想的な環境です。イノベーションセンターは、物理的な作業空間であるだけでなく、多様性への寛容さというMerckの企業文化の象徴でもあります。また、従業員、試験的なスタートアップ企業、ビジョナリー(先見性を備えた個人)、世界中の企業によるアイデア交換の場でもあるのです。

グローバルな研究開発活動と同じく、イノベーションセンターもまた私たちが未来を築く方法を表しています。さまざまな分野の人材、技術、スキルを一極集中することで、革新的なアイデアやプロジェクトが誕生し、アジャイルな組織構造と無駄のないプロセスを組み合わせることでプロジェクト遂行が加速します。そして新たな製品やサービスの方向性を示し、Merckの全ビジネスにエキサイティングな機会を切り開きます。イノベーションセンター。それは様々なイニシアチブ、イベント、機会創出を通じたイノベーションへの包括的なアプローチ基盤となっています。

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