イノベーション

ビッグデータの活用が 「場」を改善する

SteelcaseのWorkplace Advisor(ワークプレイス・アドバイザー)とSteelcase Find(パーソナル・アシスタント)は、ユーザー調査の結果と長年の研究リサーチから導かれたインサイトをもとに開発された製品で、働く「場」の改善に大いに貢献することが期待されている。

Big Data. Big Places

“「企業の経営幹部たちはオフィスを歩きながら、空きスペースがあるのに気づいているはずです。 しかし、実際にはワーカーは仕事をこなすのに最適な場所をオフィスで見つけることはできないといいます。”

Jim KeaneCEO, Steelcase

多くの人は反論しないだろう。できるだけ少ないスペースにデスクを詰めこむだけ詰め込んだ過去のオフィスは、決して人間主体ではなかったことを。デスクが並んだ個性のないオフィスレイアウト、それは維持管理は容易だが、進化する今日のさまざまな働き方には対応していない。企業の成長にはイノベーションは不可欠で、そのために多くの企業は創造型ワークへのシフトを促そうとしている。創造プロセスのフローを真に理解し、俊敏なアジャイルなチーム組織を構築するには、異なるタイプのワークモードをサポートする多彩な「場」を配置し、ワーカーにどこでどう働くかの裁量権を与えることが鍵になる。

「企業の経営幹部たちはオフィスを歩きながら、空きスペースがあるのに気づいているはずです。 しかし、実際にはワーカーは仕事をこなすのに最適な場所をオフィスで見つけることはできないといいます。つまり、同僚と会う、困難な問題解決に向けて長時間作業をする、集中できるといったスペースです。それはまるで、混雑した駐車場に入って、空きがあるのはわかっているがそれがどこにあるのかわからないという状態に似ています。」と指摘するのはSteelcaseのCEOであるジム・キーン(Jim Keane)氏だ。

360マガジン. 「イノベーション」に関する考察
現在発売されているWorkplace Advisorは企業が職場環境の実態を完全に把握し、より最適な環境づくりができることを目的に導入されたものだ。

これはまさに、SteelcaseのデザイナーがWorkplace AdvisorとSteelcase FindなどSteelcaseのスペース測定ソリューション製品を開発する際に直面した課題だ。現在発売されているWorkplace Advisorは企業が職場環境の実態を完全に把握し、より最適な環境づくりができることを目的に導入されたものだ。そして、作業内容に適したスペースやメンバーを簡単に探せるように開発されたのがモバイルアプリであるSteelcase Findである。

「私たちはテクノロジー、ビッグデータ、職場環境に関するインサイトを活用して、企業の皆様が今日の仕事プロセスに適したより人間主体で、ワーカーの真のニーズや体験を念頭にした職場環境が創造できるようお手伝いしています。Workplace Advisorは、スペースをより包括的に管理するためのデータやインサイトを提供し、より効率的に人や情報がつながる環境づくりに貢献します。また、それはSteelcase Findと連動し、共に働く同僚同士をつなぎ、ミーティングスペースを探してくれるため、場所を探す時間を大幅に短縮、節約できます。」とKeane氏は語る。

360 Magazine. Inside Innovation
このアプリは職場の個人カレンダーともリンクし、仕事をするメンバーを素早く見つけてスペースを予約するため、今までのように空いている会議室やスペースを探し回る煩わしさから解放されることになる。しかも、ほんの数回スマホをタップするだけだ。

オフィス用活動量アプリ

健康維持のための活動量計アプリ、Fitbitのように、Workplace AdvisorはMicrosoft Azure IoTプラットフォーム上に構築され、戦略的に配置されたセンサーとゲートウェイを活用して正確でリアルタイムなスペースの利用状況を追跡し、空室や予約状況を特定できるのだ。 各スペースに設置された最新設計センサーによって、Workplace Advisorは非常に高い精度を誇り、独自のアルゴリズムがSteelcaseの働き方、ワーカー、職場環境に関する専門知識と呼応しながら、データから意味を抽出し、リアルタイムの直感型ユーザーインターフェイス上にそれを表示するのだ。

「私たちは、テクノロジーやビッグデータ、職場環境に関するインサイトを活用しながら、企業が人間主体の職場環境を創造できるよう支援します。」

Jim KeaneCEO Steelcase

Workplace Advisorから導かれたインサイトには驚くべき情報が含まれていることがある。ユーザーインタラクションデザイナーのJenny Carroll氏によれば、ほとんどの企業が、スペースが実際にどのように使用されているかを把握していないという。また、典型的な職場環境では46%のスペースが未使用状態だと指摘する。「仕事のスピードが増す中で、部屋の使い方を固定することはもはや不可能です。人々は電話をかけるために会議室を使用し、オープンなラウンジスペースでコラボレーションし、通話しながらスペースを動きまわっている。もし、執務環境に関するリアルタイムなデータがあれば、ユーザーの行動や働き方、そして、スペースのより効果的な利用方法を把握できるのです。Workplace Advisorは、まさにオフィスのために生まれたFitbitアプリのようなものなのです。」

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Workplace Advisorには、職場環境を継続的に管理するための継続的なリアルタイムデータと、通常1〜3ヶ月の一定期間に渡ってスペース測定調査を提供する機能がある。

あなたのための職場環境コンシェルジュ

今年後半に導入になるユーザーツール、Steelcase Findは、Workplace Advisorの情報を活用して職場環境コンシェルジュのように機能する携帯アプリだ。ユーザーは必要なスペースタイプ、ミーティングの参加人数、必要なツールやテクノロジー、アメニティなどを指定することで、このアプリが仕事をこなすための最適な場所を探し出してくれる。

このアプリとWorkplace Advisorの両方は、ソフトウェア製品やサービスに対する継続的なアップデートモデルを介して提供され、Steelcase Findは、Microsoft OutlookとSteelcaseのウェブベースのルーム予約システムであるRoomWizardと融合しながら進化を続けることになる。このアプリは職場の個人カレンダーともリンクし、仕事をするメンバーを素早く見つけてスペースを予約するため、今までのように空いている会議室やスペースを探し回る煩わしさから解放されることになる。しかも、ほんの数回スマホをタップするだけだ。

Steelcase Findは、ユーザーがスペースを評価し、どう働いているかのフィードバックを戻す機能も持つため、企業は従業員が真に必要としているものをより深く把握できるようになる。そして、重要なことは、ユーザーはスペース、テクノロジー、プライバシー、外部からの邪魔などの要素の全てを評価できるため、学習は加速度的に進むことになる。時間の経過とともに、企業は従業員が何を最も必要としているか、その理由は何かを理解し、それが職場環境改善へとつながることになる。

Workplace Advisorには、職場環境を継続的に管理するための継続的なリアルタイムデータと、通常1〜3ヶ月の一定期間に渡ってスペース測定調査を提供する機能がある。データから導かれたインサイトを従業員アンケートからのフィードバックとともにスペースの使用方法の中に組み入れることで職場環境を包括的に分析することができ、これは設備投資をする前と後での状況が一目で分かる貴重なツールになる。

360マガジン. 「イノベーション」に関する考察
「不動産は採算がとれることが前提で、利用されていないスペースがあるとしたら、その理由を突き止めなければなりません。Workplace Advisorは事実に基づいたリアルタイムのデータを提供しているため、スペースがどう機能しているかをきちんと把握できるため、推測に頼る必要はもうありません。」

データ主導型デザイン

Workplace Advisorに関しては、保険・金融会社からデザイン設計事務所や弁護士事務所まで、20の異なる業種の企業でベータテストが実施されている。デザイン設計事務所であるDLR Groupのロサンゼルス支社は、Workplace Advisorを1年以上にも渡って利用した。DLRのワークプレイスセクターリーダーであるAlison Marik Zeno氏は、150人規模の会社であっても、根拠に基づく設計が必要だと主張している。

「不動産は採算がとれることが前提で、利用されていないスペースがあるとしたら、その理由を突き止めなければなりません。Workplace Advisorは事実に基づいたリアルタイムのデータを提供しているため、スペースがどう機能しているかをきちんと把握できるため、推測に頼る必要はもうありません。」

例えば、DLRには4つの大きな会議室があり、全てが同じサイズで、同じテクノロジーやホワイトボードが備わっている。2つは旧態依然とした会議室で、他の2つはラウンジチェアや立って仕事ができるテーブルなど様々な姿勢が可能なスペースだ。「実際の事例によると、複数の姿勢が可能な会議室の利用率は64%に対して、旧態依然とした会議室は30%で、2倍もの差で利用され、人気が高いことをWorkplace Advisorは実証しています。」

ベータサイトから得たデータで、業種や個人別でどうスペースが利用されているかの初期段階でのインサイトが分かる。例えば、金融業界は、デザイン会社や広告代理店(40〜50%)に比べてより多くのスペース(65%)を使用している。これは単に業種の特質なのからなのか、それともよりクリエイティブなチームは従来とは異なるスペースを必要としているのか。また、業種に関係のないもう一つのインサイトとしては、高さ調節可能なデスクを追加することでスペースの利用率は増えるということだ。

「要は組織の俊敏性、弾力性や柔軟性を高めることです。最適な職場環境は、人々のマインドを変え、従業員エンゲージメントを改善し、創造性を育てます。」

Jim Keane CEO, Steelcase

「プライバシー」、「セキュリティ」、そして、「スマート&コネクト」

Workplace AdvisorとSteelcase Findを利用している顧客は、企業独自のデータを保持、管理することになる。「Microsoft Azureプラットフォームは、非常に高いセキュリティとプライバシーを保護する機能を備えています。データは顧客に属し、当社はデータのプライバシーとデータ主権の確保に積極的に取り組んでいます。」とMicrosoftのAzure IoTディレクター、Sam Georgeは語る。 Microsoft Azureプラットフォームは、最先端のスケーラビリティとクラウド上での顧客データの保護を提供している。

「Steelcase Findのパーソナルロケーショントラッキングツールの機能にはオプトインという選択肢があり、ユーザーは好みに応じてオン/オフを切り替えることができる。携帯端末で地元のレストランを探す場合、アプリ上で自分の現在地を知らせるようなものです。これは必須ではないが、近くのレストランを見つけやすくするのです。」とCarroll氏は語る。

働く人々にとっての新たな価値の創出

活用されていないスペースを改善し、従来の効率重視のオフィスから、よりスマートにつながる職場環境へとシフトさせるには決して多額な費用がかかるわけではない。「スペースの使用方法を変えたり、プライバシー保護のためにガラス壁にフィルムを貼ったり、行動を誘導するように家具のレイアウトを変えたりなど、こうした小さな変化がそこで働く人々にとっては重要な変化をもたらします。」とCarroll氏は主張する。

「要は組織の俊敏性、弾力性や柔軟性を高めることです。最適な職場環境は、人々のマインドを変え、従業員エンゲージメントを改善し、創造性を育てます。ビッグデータや最新テクノロジー、長年に渡って得られた働き方や職場環境に関するインサイトが、次の価値創造につながるのです。」とKeane氏は語る。

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