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オフィス・ルネッサンス: オフィスの再生と その重要性

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オフィス関連業界がいよいよオフィスが終結すると感じたのは、スマホやタブレット、 ユビキタスWi-Fi が普及しはじめて間もなくの頃だった。この新たなデジタルツール の登場やネット環境の進展によって、人々がどこでも働けるようになったら、果たして 今後、オフィスは必要とされるのだろうかと。

しかし、結局はどのような状況であれオフィスは必要とされた。なぜなら、働くという行為は本質的に社会的な活動であるからだ。どんなにテクノロジーが進化しても、仕事をこなすためにオフィスが必要となる理由は主には2つある。1つは同僚とつながることと持ち運び出来ないテクノロジーを利用するためである。但し、オフィスがなくなることはないだろうが、仕事環境の進化はますます進み、今までとは根本的に異なる環境の中で私たちは仕事をすることになるだろう。

「人々は画一的で標準的なオフィスに嫌気がさしているの です。」と語るのは Steelcase のグローバルデザイン担 当ヘッドである James Ludwig氏だ。「世の中はインスピ レーションと創造力が沸く職場環境やすべてをシンプル にするユーザー主体のテクノロジーを欲しています。私 たち、デザイナーは何年も前から、こうした変化に気づ いていました。しかし、今、ようやく、人々は急激な進 化を目の前に、こうした今までにない考え方やアイデア の重要性を実感し始めているのです。」

オフィスがなくなることはないだろうが、仕事環境の進化はますます進み、今までとは根本的に異なる環境の中で私たちは仕事をすることになるだろう。

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この状況を受け、360マガジン編集部ではオフィスがど う変化していて、企業はその変化にどう対応すべきかを 探るために、Steelcaseデザインスタジオチームに話を 聞いた。ヨーロッパ、アジア、北米に拠点を置くこのグ ローバルチームは、変化の兆しに気づき、職場環境の スペースデザインに対しての手法を抜本的に見直してい る。まさにLudwig 氏が言うところの「オフィスの乱」へ の動きである。そして、この方向性の中心にいるのは「人」 であり、人々の情緒的、身体的、認知的なウェルビーン グを最大限に考慮するということがベースにある。

グローバルな乱

人々のオフィスに対する見方を最初に変化させたのは、1990年代のアメリカン ポップカルチャーの存在である。この頃、アメリカのコマ割り漫画であるディル バート(Dilbert)の作者であるスコット・アダムス(Scott Adam)が職場の風刺 を始めている。その後、イギリスのテレビ番組「ザ・オフィス(The Office)」で 反響が起こり、アメリカ、フランス、ドイツ、カナダ、イスラエル、チリ、スウェー デン、中国でも同様の番組が制作された。まさにそれまで主流とされてきた会社 文化に対する不満の勃発である。「オフィス」は整然とした退屈で平凡極まりな いスペースで人生を台無しにするシンボルにもなった。

このオフィススペースを画期的に見直したのが2000年代初頭に台頭したITのスタートアップ企業である。当初、多くの企業はそれを一時的ブームであると評した。共有テーブルやDIY的アプローチは資金不足の起業家にとってはやむをえない策であったことは確かである。しかし、そのオフィスはカジュアルで創造性に富み、ゲーム台や滑り台、電車の車両の採用などオフィスに初めて「遊び」を取り入れ、多くの人々を魅了した。この背後にあるのは、仕事は必ずしも無味乾燥な労働ではなく、やり方によっては楽しくもなるものだという考え方だ。

この時代のIT関連のスタートアップ企業のオフィスの様相は、その後10年間に起こった大きな変化のうねりの前触れであったことは後から分かる。多くの人が画一的なオフィスで働くことへの不満や疲労感を蓄積し、ようやく、声を上げて変化を望むようになっていく。自律性、自己表現、そして、どこでどう働くかを選択する裁量権の要求である。そして、それとシンクロするように新たなテクノロジーが出現し、その道を後押しすることになる。テクノロジーの進展は画一的オフィスに対するワーカーのNOを強力にサポートし、ようやく人々はオフィスを出て、いつでもどこでも自由に働ける「場」を獲得できるようになる。

「世の中はインスピレーションや創造力が沸く職場環境やすべてをシンプルにするユーザー主体のテクノロジーを欲しています。」

James Ludwigグローバルデザイン担当副社長

この状況は当初、画期的なアイデアのように捉えられていた。オフィスを去って、快適なカフェで仕事が出来ることは、ユートピアのように思えたものである。しかし、実践してみると、そこには様々な問題が浮上した。カフェのクッションが効きすぎたソファは数時間も座っていられない。テーブルが狭すぎて資料が広げられないなどである。オフィス外で働くことは、一定の時間内であれば機能するが、常にとなるとそうはいかない。実際、米調査会社のGallup社の「アメリカの職場環境実態」のレポートによると、勤務時間の20%をリモートワークに充てると、従業員エンゲージメントが最も高くなることが分かった。しかし、この数値を超えると、エンゲージメントはむしろ下降状態をたどる。人間は本能的に仕事をより多くこなせる「場」、つまり、身体的、情緒的に人は快適な場所を本能的に欲するのかもしれない。こうしたニーズが満たされない状況が続くと、人はその状態よりさらに良いものを探そうとするのであろう。

文化的ムーブメント

こうして、「オフィス・ルネッサンス」は始まることになる。それは人間的開放を目指した17世紀のヨーロッパの「啓蒙時代」、現代でいえば、第三の産業革命である「メーカームーブメント」や「畑から食卓へ」という農業ムーブメントなどのような文化的運動と類似している。こういう現象においては、ほとんどの人はそうしたムーブメントの中に自分がいるとは気がつかないものだ。そして、その動きは徐々に広がりを見せ、突然、すべてが以前とは全く違った環境に身を置いていることに気づくのである。

職場環境におけるムーブメントを探っていたSteelcase のデザイナーや研 究員は、この変化を加速させている要因を以下のように特定している。

  1. どこで、どう仕事をするかが変化。 テクノロジーの劇的な進展によって、人々はいつでも、どこでも働くことが可能になった。もはや、与えられたデスクに縛りついて仕事をするという時代は過ぎ去り、明らかに規範の変化、パダライムシフトが起きている。
  2. クリエイティブな働き方へのシフト。激化する競争に打ち勝ち、企業を持続的に成長させる には、よりクリエイティブなイノベーション型組織の構築 を目指すべきだ。「今までの規範を壊すことが新たなア イデアを生み出すことにつながります。」とグローバルデ ザイン担当ディレクター Bruce Smith 氏は語る。現在の 職場環境の多くは創造性を重視したコラボレーションが できる環境とはほど遠い。
  3. 有能な人材獲得競争。21世紀型スキルを持ち合わせ、企業の競争優位に貢献する人材は需要が高い。しかも、才能ある人は社会的意義がある仕事に価値を置き、より良い雇用条件を求め、会社の歯車になることを拒む傾向もある。優秀な人材を獲得し、その後いかに彼らを逃さずに保持するかは企業経営に大きく影響をする。
  4. 従業員エンゲージメントの低下。Steelcase がグローバル調査会社 Ipsos社と実施した「世 界のエンゲージメントと職場環境実態」で、世界17か国 のワーカーの3分の1以上のエンゲージメントが低いこと が明らかになった。エンゲージメントが最も低いワーカー は職場環境への不満が最も多く、どこでどう働くかの裁 量権も持っていない。画一性に重きを置いたオフィスは、 そこで働く人の能力を低下させ、今日の企業組織に求 められる俊敏性や弾力性の実現も極めて困難な環境と いえる。
  5. テクノロジーが約束するもの。スマホに代表される消費者向けテクノロジーは、今まで の流れを大きく変え、オフィスの変革を加速させたゲー ムチェンジャーであった。テクノロジーのおかげで、人々 は自宅の家電を遠隔操作したり、仕事がどこでも可能 になったり、より健康的に座り、友人や家族といつでも つながることが現実のものになっている。このように様々 なモノがインターネットに接続され、相互につながる IoT(Internet of Things=モノのインターネット)が大きな潮 流となって社会を変えようとしている。家電、携帯、ヘッ ドホン、時計、ウェアラブル製品などほぼすべての電子 機器がネットにつながる時代は、生活はもちろん、仕事 での可能性を大きく切り開くことになるだろう。そして、 空間に統合されたテクノロジーで、働くことはより人間 的側面を帯びてもくるはずだ (see の人々のウェルビーイングを約束).

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反会社いう動き

こうした勢いによって、個人や企業は何か基本的なもの を抜本的に変えなければならないと感じ始めている。「こ の状況は生態系にも類似しています。生態系の中の生 物は現状打開によって進化してきました。オフィスにおい ては反会社いう動きもあります。会社という用語は、オフィ スが働く人のためというよりは企業組織のためにつくら れたものということを示唆し、既存構造への改革へと向 かわせています。これからのデザイン上の課題は人間 の持つニーズを考慮しながら、どうビジネスニーズに対 応していくかです。」と Ludwig 氏は語る。

人々は異なる姿勢をとることができ、ひとりになったり、同僚と集まったりできるリラックスで魅力的な空間を欲している。

精神的つながり

反会社という動きに対処するために、企業によってはオフィスにホーム用家具を採用し、デザイン性やよりリラックスした雰囲気、気分的快適さを強化しようという動きもある。米国インテリアデザイナー協会の最新レポートによると、「今日の企業、特にスタートアップ企業はますます短くなっているリース期間を通して使用できる耐久性を求めている」ことが分かっている。しかしながら、サステナビリティを重視すると、その実用面が犠牲になることもある。例えば、オフィス用と比べてより軽量なホーム用家具はオフィスで使用するにはその耐久性が足りない。また、製品寿命は短く、リサイクルなどを考慮していないことも多いため、結局はゴミとして廃棄されることになる。

スタートアップ企業からヒントを得た企業の多くは、より オープンな環境と社内の透明化を図ろうと努力している。 しかし、ここで見落とされているのが、人間の自律性や プライバシーといった本能的欲求で、これは情緒的、認 知的なウェルビーングの実現につながるものである。「完 全にオープンな仕事環境では、場としての感覚はあるか もしれませんが、個のプライバシーを確保することはで きません。」と Smith 氏は語る。

SteelcaseとIpsos社が実施した 「従業員エンゲージメントと職場環境実態」調査では、現在の職場環境で何を変える必要があるかの率直な声が多く聞かれた。最も多かった不満はプライバシーの欠如である。「雑音がひどくて気が散る」、「周りが騒がしくて電話の声が聞き取りづらい」、「他者の邪魔にならずに自分の仕事ができるプライバシーのあるスペースが欲しい」等々だ。結局は内向型でも外向型でも、人々が職場で求めているのは騒がしさから逃れ、ひとりになって集中できるスペースなのである。

「人々は決して職場環境に家のリビングを望んでいるわけではないのです。あくまでも人間味のある何かであって、それが新たな発想に火を点けるのです。」

Bruce Smithティレクター、グローバルデザイン

また、デザインチームはこうも指摘する。ワーカーが気分的な快適さを求めるあまり、身体的な快適さや機能性を重視していない「場」を選んでいると。その典型がカフェでの仕事で、確かに活気のある場ではあるが、「イスが硬い」、「テーブルが狭すぎる」、「電源コンセントがない」など、必ずしも最良の仕事環境とは言えない。「人々は決して職場環境に家のリビングを望んでいるわけではないのです。あくまでも人間味のある何かであって、それが新たな発想に火を点けるのです。」とSmith氏は結論づける。

あらゆる複雑な問題がそうであるように、すべての個人 や企業にとってふさわしいひとつの解決法などというも のは存在しない。企業に対して「目的のある場づくり」 を啓蒙しているグローバルデザイン担当の Cherie Johnson 氏はこう語る。「まずは人々がどのように、何 故そのスペースを利用しているかを把握することです。 そして、その目的を反映した明確でシンプルなスペース を構築することです。」

人々が好むインフォーマルなスペースに電源を設置する。超薄型電源配電装置のThread™ はカーペットの下に隠れ、動線の邪魔にならずにスペースの中にすっきりと統合できる。電源コンセントがない場所でも家具やデバイスへの電源を提供することが可能。

その実現方法とは?

「オフィス・ルネッサンス」は、仕事をする上でいかに人間の感覚や感情、感性というものが重要な役割を果たしているかを投げかけている。昔は、働くことは合理的かつ論理的なプロセスに基づいた活動として捉えられ、人々の感情は組織の決定事項に対して悪い影響を及ぼすだけであると軽視されていた。しかし、最新の調査では、身体的健康のみならず、人間の情緒や認知的側面への影響も大いにあることが明らかになった。これは企業の成長や繁栄を促すには、社員の感情が大きく関係することを実証している。職場での人々の行動に関する追求が進むに連れて、不動産コストの削減や生産性の向上といった従来型の職場環境評価基準は見直される必要に迫られている。このような脳科学研究から導かれたインサイトは、人間の能力を最大限に引き出し、自発的意欲を掻き立てるものが何かを明確にした。

人間のウェルビーングをデザインする

Steelcase の研究員とデザイナーたちは、人間の情緒的、身体的、認 知的ウェルビーングの間のベースに流れる共通点とは何かを探求して いる。「古い規範のオフィスは効率重視で、人間性を軽視したものです。 人間味がなく、無機質で、必ずしも企業が成し遂げたい企業目標を達 成するようなスペースではないということは明らかなのです。そして、ウェ ルビーングの側面からスペースを考えるという手法は、まさに人間主体 の包括的なアプローチなのです。」とJohonson氏は述べている。

社員の士気と貢献意欲を高めるために人間の感情面を考慮する

  • 人間同士の絆を高めるように共同体としての帰属意識を育てる。
  • 個の集中力と活性化のためにデザインされた「場」と、社交的な相互交流と協調を促す「場」を混在させる。
  • 心身に影響するコルチゾールというストレスホルモンを分泌する闘争・逃走反応に対処するために、1日を通して、身体的、精神的に小休止できる時間を持てるようにする。
  • 職場で仕事への意義や目的意識を見いだせる組織との関係を構築する。

ルビーングの側面からスペースを考えるという手法は、まさに人間主体 の包括的なアプローチなのです。

Cherie Johnsonバルデザイン担当の

脳を活性化し、思考力を高める

  • 個とチームが容易に集中でき、問題解決に向かい、新たな発想を生み出せるように、集中と小休止ができるようにサポートする。
  • 脳を刺激し、かつ創造力を掻き立てるように相互交流を促進する。
  • 脳を酷使しないように、情報をいかに簡単に精査し、捨てていくかの方法を提供する。
  • 実のあるコラボレーションのために、グループ思考から離れ、個として情報を精査、吸収し、確固とした意見を構築できる時間を持てるようにする。
  • 自己の内面を観察し、今に没頭するというマインドフルネスを実践しながら精神を鍛え、目の前の仕事に集中できるようにする。
  • 統合センサー、巨大なコンピューティングテクノロジーやデバイスの数々が仕事の効率化を高めていく。

活力を与える

  • 身体的、精神的な活力のために1日を通して頻繁に身体を動かすよう促す。
  • 快適で元気を維持できるように多様な姿勢がとれる仕掛けをつくる。
  • エルゴノミクスチェアやSteelcaseが提案するアクティブシッティングという座り方は、身体を動かし、姿勢を変えることで身体の凝りや痛みを予防することにつながる。特にデスクを動くことがない業務では意識的に立ち上がって、身体を動かしてみよう。

Steelcaseのデザインスタジオチームは、スペース設計にあたり、職場での精神的つながりや、健康、問題解決力をバランス良く保つために、下記の6つのデザイン戦略を提案している。

  1. より公正で民主的なスペース配分 – 自然界の生態系は異質な多様性があるからこそ、良好な環境を維持できている。それと同様に、職場のスペースも多彩なワークモードをサポートする多様なスペースを設置することである。それはイコール、組織の階層に関わらず、人々はどこで働くかの選択ができる環境ということである。
  2. 必要なプライバシーを追加する – 人間は他者とのつながりと孤独への欲求の両方を持ち合わせている。よって、個での集中ワークと身体的、精神的に活力を回復できるスペースづくりを心がける。
  3. パーソナル化を実現する – 企業と個々人に合った独自のスペースを創出すること。完璧さよりも自己表現や本物感を優先する。
  4. マルチな姿勢と身体を動かすことをサポート– 個々に適した姿勢、例えば、ゆったり座る、直立で座る、立つ、腰掛ける、歩くなどの多種多様な姿勢ができるような仕掛けをつくる。
  5. 成果を考慮する – 人々を魅了し、インスピレーションが湧くスペースとは、人々が最善をつくしながら仕事をすることに意義を見出せる環境である。テクノロジーを統合したスペースはコラボレーションを活性化し、人の動きを促し、集中しやすい。お気に入りの「場」を提供し、スペースがどう機能しているかを確実に会社にフィードバックできる社内システムを構築することである (人々のウェルビーングを約束する).
  6. 自然界からヒントを得る – これは単に植物をオフィスに配置するだけではない。素材の複雑な組み合わせ、カタチ、模様や質感などにおいて、一貫性よりも多彩性を持たせることが大切である。

「まずは人々がどのように、何故そのスペースを利用しているかを把握することです。そして、その目的を反映した明確でシンプルなスペースを構築することです。」

Cherie Johnsonディレクター、グローバルデザイン

ステータスよりも実質を優先する

「最も優れた職場とは、人々が多彩なスペースの中から、自分にあった働くスペー スを選択できる裁量権を持てる企業カルチャーを育てる環境です。現代のように 消費意識の高い社会にあっては、人々はステータスよりも実質を好みます。豊富 な選択肢があるカスタマイズ化は自己表現を可能にし、その主役はあくまでもユー ザーである人間ということです。」と Coalesseブランドのデザインディレクター、John Hamilton 氏は説明する。

「オフィス・ルネッサンス」とは単なるトレンドや表面的 言動ではないと Ludwig 氏は主張する。「人々はより精 神的なつながり、個性的な自己表現や本物感を欲して いるのです。それは、蚤の市で好みのイスを見つける 以上の意味を持ちます。人々は働く場所とのつながりを 感じたいのです。それは自分がいたいと思えるスペース と自分が強制的にいさせられていると感じるスペースの 違いです。」

企業カルチャーの変革は決して容易ではない。企業と働く人双方にストレスがかかる。しかし、企業カルチャーを変えて、組織として再生することで、社員は仕事に意義を見出しながら意欲的に働き、それが最終的には組織の成果につながる。

「人々は働く場所とのつながりを感じたいのです。それは自分がいたいと思えるスペースと自分が強制的にいさせられていると感じるスペースの違いです。」

James Ludwigグローバルデザイン担当副社長

17世紀のヨーロッパでは、人々は自分たちがルネッサ ンスの真っ只中にいて、それが中世の価値観を大きく変 えたことを果たして理解していただろうか? それまでの 世界観の束縛から解放されて、人間性の自由や美意識、 個性を重んじたヨーロッパ文化への大転換期であったと 認識できたのはもっと後になってからのことだ。この時 期と同様に、今日の職場での企業カルチャー変革への 動きが、社員の仕事や職場に対する見方をどのように 再定義するかは完全に予測はできない。 これを「オフィ スの乱」あるいは「オフィス・ルネッサンス」と称する のであれ、いずれにしても職場環境は大きな変化の途 上にあることは事実である。ようやく職場も人間性や感 性といった要素が重要視される時代に入ったことは間違 いない。

カラーや私的なモノを配置することによって、個性の表現が可能になる。

オフィススペースをどう変化させるか

今日、多くの企業で採用されている画一化されたオフィスのデザインは、人を奮い立たせるような魅力ある環境とはいえない。「オフィスの乱」の動きは改めて企業に働く空間を再考し、抜本的に異なる手法を採用することを認識させた。

下記のレイアウトプランは、働く人の情緒的、認知的、身体的ウェルビーングを考慮しながら、従来のレイアウトをいかに人を魅了し、士気が上がるスペースに移行できるかを提案している。

変更前

伝統的に、オフィスは横並びのデザインで、画一性と標準を重んじていた。多くのスペースが部署毎に区切られ、自席でひとりで仕事をすることを前提としていた。社内カフェテリアはあくまでも昼食のためのものであり、大会議室は情報重視のコラボレーションを念頭に設計されていた。

変更後

個人の自席を削減し、スペースを生態系のエコシステムのように相互に依存しあう場としてつくりあげることで、人々はどこでどうやって働くかのより多くの自由度を持つ。

「ソーシャルハブ」としてのカフェテリアは食事をする「場」から、人々を繋ぎ、集い、コラボレーションする「場」へと転換されている。

「ノマドキャンプ」はソーシャルハブの近くに意図的に配置され、ひとりで、他者と一緒に働くモバイルワーカーのニーズを考慮。周囲で働く人々が視界に入りながら、集中ワークが必要な場合にはプライベートなセッティングも用意されている。「居住地区」は管理職の席も含むオープンな執務環境で、学習や素早い問題解決ニーズにも対応している。

「リソースセンター」はコートや鞄などの私物を安全に収納し、仕事ツールも入手できるスペースを提供している。

「ミーティングコモンズ」はシステムとして機能し、生成型、情報型、創造型コラボレーションをサポートしている。

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