MicrosoftとSteelcase、アジアパシフィックでパートナーシップを開始

MicrosoftとSteelcaseは、創造ワークを促し、従業員エンゲージメントを改善するために多種多様な「場」を提供することで働く「人」の「創造性」を最大限に引き出すという目的で連携している。

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仕事の未来は、革新的なアイデアや発想豊かな思想家、意識が高い労働力にかかっているといってもよい。特に日本や中国、インドなどの国々では 縮小する労働力ワークスタイル変革高スキル人材不足等を背景に、 、有能な人材確保とその定着は企業の至上命題になっている。一方で、テクノロジーが飛躍的に進展する中、企業はその人材戦略をより魅力あるものへと見直しつつある。ますます複雑化するビジネス環境でイノベーションに再びフォーカスしようという動きが 創造ワークに向けての変換を後押ししている。

Steelcase and Microsoft は、働く「人」が創造性を持って意欲的に仕事に向かう際に組織や個人が直面する様々な課題について共同で取り組むことで提携している。その継続的な連携活動の一環として着手されたのが 「クリエイティブ・スペース(Creative Spaces)」 「クリエイティブ・スペース(Creative Spaces)」

Steelcase and Microsoft Tokyo Launch
未来は創造性重視と謳った東京での「The Future is Creative」パネルディスカッションのメンバーは(左から右へ)IDEO Japanのマネジングダイレクター、Mike Peng氏、Microsoft JapanのCEO、Takuya Hirano氏、Steelcaseブランドコミュニケーション担当副社長のGale Moutrey氏

未来は創造性重視と謳った東京での「The Future is Creative」パネルディスカッションでは、IDEO JapanのマネジングディレクターであるMike Peng氏が、重要なのはより良いアイデアを生み出すことだけでなく、職場内でそれを育てられるかどうかということだと主張した。

「創造性を発揮できる労働力なしには、今日の複雑な問題を解決するための道を企業は見つけることはできません。長年に渡り分析的思考が組織を効率的に機能させるためのベストな方法だと刷り込まれてきました。しかし、今は解決する課題がより難しくなるにつれ、その唯一の道は創造プロセスを通してのみしか対応できないという考え方です。」とPeng氏は言う。

「創造性」とは、決してアーティストやクリエイティブな職種のみに求められるものではない。創造性を持って問題を解決する能力は、誰にでも備わった本質的な能力であり、問題は企業が従業員の中に秘められたその 「創造性」をいかに引き出すことができるかだ。

Steelcase and Microsoft Tokyo Launch
Steelcaseの前CEOであるJim Keane氏とMicrosoft JapanのCEO、Takuya Hirano氏は、日本における両社間の提携を正式に発表した。

「当社のミッションは組織と個の能力を最大限に発揮できるようお手伝いすることです。Microsoft CEOであるSatya Nadella氏と話をした際、両社のミッションが非常に類似しているという話をしたのです。そこで持ち上がったのが顧客である企業の皆様の生産性向上を両社が協働することで次のレベルへと引き上げられないかという話が出たのです。それが提携へのきっかけとなりました。」Steelcaseの前CEO、Jim Keane氏は語る。

近年の脳科学の発展によって、アイデアを生み出し、発展させるための創造プロセスをより深く理解できるようになった。厳格さと従順さが重んじられるプロセス重視の組織とは違って創造プロセスは反復を繰り返す循環型プロセスである。

「創造性は、グループでの作業と熟考など個での作業の両方を必要とします。それは作業に応じた多様な働き方はもちろん、収束と拡散という異なる思考モードを必要とします。」と言うのはSteelcaseブランドコミュニケーション担当副社長のGale Moutrey氏である。

「クリエイティブ・スペース」とは、創造ワークの5つの段階-集中、肩を並べてのコラボレーション、プロトタイプ制作/実験、具現化、休息といった全ての活動をサポートする相互に接続したテクノロジー融合型の「場」のコレクションを指す。

「人間が最も自然な方法で働くということに向けてどれだけの思考やアイデアがこのスペースに入っているかが分かるとそれは感動ですらあります。テクノロジーとオフィス家具が組み合わさることで生まれるパワーは驚くべきものです。」Microsoft JapanのCEOであるTakuya Hirano氏は言う。

Hirano氏はこうも語った。彼が開催する定例会議に出席する30%の人は会議中も他の作業をしているのがしばしば見られるという。しかし、スタンディングテーブルがあるスペースへと場所を変更し、Surface Hubとの距離を調整したことでHubの近くに人が立ちながら積極的に協働するにようになったのだという。

Steelcase and Microsoft Tokyo Launch
「クリエイティブ・スペース」は、環境を最大限に活用できるようにテクノロジーの最適化を図るよう設計されており、職場環境でのシームレスで生産性の高い仕事体験を提供するものである。

従業員エンゲージメントはいまや世界的な問題になっていることも調査等で分かっている。Steelcaseが世界20カ国で実施した「世界のエンゲージメントと職場環境」実態調査をまとめた Steelcaseグローバルレポート によると、労働意欲があるエンゲージメントの高い人はその3分の1である。そして、 日本 においてはその数はわずか1%で、世界平均のほぼ倍である61%の労働力の意欲が低く世界で最もエンゲージメントが低い国であることが判明した。

このレポートは、職場環境と従業員エンゲージメントとの相関関係を探った世界初の報告結果ということになった。そこで仕事に意欲的なエンゲージメントの高い人と職場環境の満足度が高い人との間に強い相関関係があることが判明した。具体的には、人々はどこでどう働くかのチョイスとコントロールを望んでいるということだ。「クリエイティブ・スペース」は、最善の仕事ができるような環境を個々に選択できるように個人ワークとグループワーク、固定と携帯の両デバイスを考慮した多種多彩な「場」を提供している。

現在、「クリエイティブ・スペース」 は、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン、そして、東京と世界の主要都市で展示されており、下記のフォトギャラリーではそれを構成する5タイプのスペースを紹介している。創造プロセスと環境環境の関係を探った詳細は360マガジンの 「クリエイティブ・シフト」 特集号でご覧いただけます。または360フォーカスをダウンロードください。