コラボレーション + プライバシー

バランスを模索する: プライバシーを再考しながら コラボレーションを促進する

国際的なエネルギー企業、アブダビ国営エネルギー会社(TAQA)のフラッグシップ本部の創設にあたっての戦略意図は一言で言えば、アラビア語での「Majlis-マジュリス」、つまり「皆が集う場」という意味でした。

TAQAがアブダビに新しい本部ビルを建設すると決定した際に、経営陣は意欲が湧く刺激的な環境の中で人々が集まり、挨拶をかわし、交流し、情報を共有できる「場」を設けることが不可欠だということを感じていました。同時に個人ニーズを満たすためのパーソナルなスペースも軽視すべきではないと考えていました。何故なら、多くの社員が従来の個人スペースがなくなるのではないかと心配していたからです。

2005年に創設されて以来、TAQAは世界11か国へと事業を拡大し、最も急成長を遂げているエネルギー企業のひとつで、その成長速度は世界でも賞讃されています。

しかしながら、アブダビ社員の急増によって、いくつかのロケーションに分散することを余儀なくされ、そのことで業務に支障をきたしていました。このような状況の中で、ひとつの場所に社員をまとめることが集団としての頭脳を生かすための唯一の策であることを首脳陣は認識し始めていました。

「私たちは若い会社ですが、世界中で320億ドルの資産を保有している企業でした。アブダビにいるチームはまだ個中心で仕事をしており、その壁をいかに取り除くかが課題でした。」とTAQAのエグゼクティブヴァイスプレジデントであるNadeem氏は述べています。

「私たちは自分たちのビジネスの多様性を反映し、人同士がもっと容易につながるスペースを望んでいました。イノベーションや新しいテクノロジーはもちろん、欠かせない要素ですが事業をする上で最も重要なことは人間の質であり、その人間同士のつながりの強さだと考えていたのです。」

2012年にはアブダビのアル マリアム アイランドにある高層オフィスビルの23階から25階までを占有し、いよいよ変革のためのプロジェクトに着手しました。変化のための第一歩はまず社員の考え方を理解することから始まりました。社員を徹底的に調査することで明らかになったことはプライバシーの問題はスペースを設計する上で重要な要素であることでした。多くの社員が現在のスペースに不満を抱え、その一番の問題が極秘書類やデリケートな顧客情報を扱う際のプライバシーの欠如でした。

「アラブ社会の多くの企業がそうであるように、私たちの社員は個室の多い、コラボレーションスペースが少ないオフィスに慣れていました。」とビジネス開発のマネジャーであるKhaled Hag氏は語っています。

最初はプロジェクトが妥協の連続で当初の首脳陣の達成目標が見えなくなりつつありました。

「そこには多くの抵抗があったからです。特に管理職は個室を持つことが地位の象徴であると信じていましたから。しかし、話し合いを重ねるうちに、彼らも個室を使用するのは機密事項を扱うときだけでも構わないと思うようになったのです。」とプロジェクトを戦略的にリードするディレクター、Ali Khouri氏は述べています。

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さらに、プライバシーの問題は管理職だけの問題ではありませんでした。プロジェクトチームが社員の声に耳を傾けると、全社員が個人のプライバシースペースとコラボレーションの両方をバランスよく求めていることが判明しました。

TAQAは5,543平方スクエアメーターの新スペースのデザインにあたって、建築設計をPringle Brandon Perkins & Willに、そしてEC Harrisに施工を依頼しました。調査ベースのプランを立案するにあたって、プランナーはSteelcaseのドイツ、ローゼンハイムのオフィスと米ミシガン州グランドラピッツのSteelcase本社を訪問しました。

「Steelcaseのプレゼンは家具ではなく、スペースソリューションの提案であり、想定外のプレゼン内容に驚きました。」

「私たちは自分たちのビジネスの多様性を反映し、人々がもっと容易につながるスペースを望んでいました。」

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例えば、TAQAの社員は共有スペースで極秘書類をプリントアウトするようなことを心配していました。それに対して、Steelcaseは共有環境の中でもそのような書類を保護できるスマートな印刷機能を提示してくれました。

そして、オフィスでの他の活動を中断しないで、極秘な電話会議や顧客とのミーティングが十分に可能であることを社員にきちんと認識させることが重要でした。

TAQAの250人強もの社員が新スペースへの移動を始めた時には社員の間の不安も一掃されました。

「慣れるのに時間がかかった社員もいましたが、基本的に移転はかなり速いスピードで完了しました。プライバシーの欠如を懸念していた人々も新スペースに移るやいなや、その不安も消え、むしろ、その新しいホームに興奮さえしていました。社員は働いてみて初めて新スペースの意図を理解したのです。」とKhouri氏は述べています。

コラボレーション用にレイアウトされたスペースはすぐにその威力を発揮しました。その代表がmedia:scapeセッティングで、「どの場所よりも人気が高く、人が集い、コラボレーションできる最も効果的なスペースとして機能しています。」とKhouri氏は言います。移転以来、管理職は個室を完全に諦め、コラボレーションスペースの中で仕事をするようになりました。

新スペースはオープンに解放されたデスクとプライバシーを持つ共有スペースを融合したスペースでした。カラフルな家具はカジュアルで創造力を掻き立てる雰囲気を創出し、ガラスの間仕切りに描かれたグラフィックは溢れるようなエネルギーの波長を表現しています。床から天井まで広くとられた窓からはペルシャ湾とアブダビの古い街並を一望できます。

25階には役員会議室、講堂、様々なタイプのミーティングルームが配置された「Majlis-マジュリス」と呼ばれる「皆が集まる場」が創られ、顧客との会議もここで行われます。

TAQAはその企業としての卓越性、安全とサステナビリティ、強固なチーム力、勇敢さと創造性、信頼に基づく人間関係を理念とし、企業として前進、成長しつづけています。この新スペースはこれらの価値を反映し、社員の能力を最大限に引き出す土壌を創りだすことに成功しました。

「働き方は多様化しています。より多くの選択肢を社員に与えることが企業としての使命だと考えています。プライバシーの欠如に不安を抱いていた社員も新しい環境に慣れ、もう誰も昔に戻りたいという社員はいません。」とHag氏は語っています。

企業文化が変化するときに極めて重要になることは企業のトップがそのプロジェクトを強く支持することです。トップが支持することでプロジェクトチームはどんな難局にも立ち向かっていくことができます。

「おそらく、変化が起こした最も喜ばしい点は社員の反応です。意欲を生み出す刺激的な環境はそこで働く人々の能力を引き出し、生き返らせるのです。」とHag氏は強調しています。

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