アクティブラーニング

「学習スペース」シンポジウムでの3つの重要な学び

アメリカでの教育シンポジウム「Transitions North America」で紹介された教育現場での調査や事例は「スペース」が「学習」にどう影響を及ぼすかを示唆した。

グランドバレー州立大学教授、Robert Talbert氏の寄稿

以下の記事はRobert Talbert氏によって寄稿されたものである。同氏はグランドバレー州立大学(GVSU)の数学教授であり、招聘学者としてSteelcaseで1年間の特別研究就業期間を過ごしている。

Steelcase の教育事業であるSteelcase Educationは、メルボルン大学のInnovative Learning 及びTeacher Change(ILETC)のプロジェクトスポンサーでもあり、2017年9月14日、米ミシガン州グランドラピッズのラーニングイノベーションセンターにて教育関連シンポジウム、 Transitions North America を主催した。DLRグループが後援した1日限りのこのイベントでは、卒業生やキャリアの浅い研究者たちによる 学習スペース に関する調査研究結果や専門家による実態が報告された。徹底した学術的研究と説得力のあるストーリーが展示され、スペースがどう学習に影響を及ぼすかが紹介された。

ワンデーシンポジウムの翌日に開催された「シンクタンク」と呼ばれる専門家たちによるパネルディスカッションでは多くの優れたアイデアや疑問が提示された。以下に示すのはそこからの最も重要と思われる3つの学びである。

アクティブラーニング環境は、生徒のその後の人生に違いをもたらす。

シンポジウムでの講演では、アクティブラーニングスペースが生徒のその後の人生を変えたという感動的な実話も紹介された。サウスカロライナ州の サルーダトレイル中学校の教師であるDr. Julie Marshallは、Steelcaseがデザインした同校のアクティブラーニング教室が貧困層の多い生徒たちに「ホーム」と呼べる場所へとどうなったかの感動的とも思える基調講演を行った。同校の生徒にとって「教室は家族が囲むダイニングテーブル」のようなもので、これからの進路を選ぶ際の希望と自由を持てる空間をもたらしたと語った。

Transitions Symposium
「Transitions North America」シンポジウムにおいて、サウスカロライナ州のサルーダトレイル中学校の教師であるJulie Marshall氏は、アクティブラーニングとアクティブラーニング環境が生徒たちに与えた影響についての基調講演を行った。

同様に Robert Dillon は、2014年のファーガソン騒乱の際にミズーリ州の彼の前職の学園都市でのSteelcaseがデザインした教室での体験を語った。その教室は、生徒たちにとって自由を重視し「学校から監獄へ」という現況を打ち壊すものだった。他の事例においても、生徒の尊厳と能力を最大限に引き出すようにデザインされた学習スペースである教室は、生徒の進路やその後の人生をより良い方向に導く学びの体験を提供するものだった。

アクティブラーニングとアクティブラーニングスペースに関する質問への答えの多くを既に感覚では分かっている。

他の講演でもこうした前向きな変化をもたらす学習スペースのデザイン要素は私たちの身近にもある。Robert Dillon氏は講演の中で「バイオミミックリー(生物模倣)」という概念や学習スペースの設計に自然要素を組み入れることについても説明した。敏捷性、フロー、ノイズというような自然要素も取り入れ、「呼吸できる空間」にすることで自然や人間の本能に寄り添った 教室スペースを創造 できるという。ウィスコンシン大学のJulie Kallio氏もこのポイントを強調しており、柔軟性や可視化(自然光含む)、多様性、動きといったデザイン原則を取り入れることで継続した学習体験を可能にする魅力的な空間が創造できると語った。

調査研究は学習スペースが与える影響を科学的に証明している。

説得力がある学習の最前線からのストーリーがある一方、厳密な学術的研究は環境の進化と人々の行動の変化の間にはある種の関係があることを改めて再認識させた。講演の多くは、学習の際のスペース利用におけるデータ収集に向けてのユニークな方法を紹介していた。例えば、ヴァンダービルト大学のBen Shapiro氏は、テネシー州ナッシュビルのFameミュージックホールのスペース利用を研究するのに展示品に取り付けられたセンサーでデータ収集を行っていた。Shapiro氏は、センサーを使用することで展示品から展示品へと動くお客様の動きと生の声を追跡し、各地点での会話を双方向マッピングで表現しスペース利用実態につなげた。そのデータは、来訪者にとって美術館のどの空間が最も魅力的かを把握するのに役立っている。同様の研究はハーバード大学デザイン大学院のJane Zhang氏も行なっている。デザインを学ぶ学生にインタビューを行い、ハーバード大学のキャンパスの2つの建物でどんな活動を行なっているか記録するというものだ。インタビューによる口頭の回答を建物のレイアウトプランにマッピングすることで建物の様々なエリアがどう利用されているかというスペース利用実態を把握できたのだと言う。

学習スペースは確実に学習をする上で差をもたらすものだ。このシンポジウムで発表された調査研究や事例はそれがどれ程大きな違いかを証明するものであった。


Robert Talbert, EducationRobert Talbert氏はグランドバレー州立大学の数学科の教授。在職しながらSteelcaseの招聘学者として同社にて1年間の特別研究に従事している。同社では指導と学習についての研究、デザインへの取り組みに関してSteelcase Educationへのアドバイザー的役割を担う。また、アクティブラーニングに関してはSteelcase Educationのスタッフ、大学機関やK12の教師陣に対してのサポートと専門的開発を行う。

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