業界をリードする。
人間工学のコンサルティング会社が社員のウェルビーングを向上させるために「場」のパレットを採用
デトロイトから遠くないミシガン州アナーバーにあるオフィスパークの目立たないビルの中で、北米最大の人間工学プロフェッショナル集団が、従業員やビジネスニーズを満たすための新たな方法として、オフィスを再デザインしている。
その会社はHumantech社で、ここ2-3年で仕事の劇的な変化を経験していた。まずはあらゆる企業が直面しているグローバル経済、ワーカーのモバイル化、テクノロジーの急速な進展、ワークスタイルやワーカーの期待などのマクロ的変化だ。
会社の経営の仕方や働き方にも大きな変化があった。プロジェクトベースやチームベースで動くことが増え、コンサルタントは海外出張も多く、コンサルティングチームの半分ぐらいは常にオフィスにいない状態で、従業員の5分の1は他の都市で働くかクライアントのオフィスで時間を過ごすことが多くなっていた。高いモバイル化と従業員の分散化でテレコンファレンスやウェブ会議が日常的に行われていた。
会社の経営の仕方も社員の働き方も様変わりしました。それに伴って今度変えるのは物理的な空間であるオフィスです。
James GoodPresident, Humantech
そのような状況の中で唯一変化していなかったのがワーク環境だった。もちろん、人間工学を専門としている会社だけあって、その空間は人間工学を考慮して設計はされていたものの、社員全員に自席や個室があるレイアウトは極めて時代遅れで、空席も多く、わずかなコラボレーションスペースで貴重なスペースが適切に活用されていないという印象だった。
会社の事業内容も全面的な経営コンサルティング会社から、経営コンサルティング&ソフトウェア会社へと変化していた。
多くのフォーチュン500の企業を顧客として抱えるHumantech社の首脳陣は、この変化に対応する必要がある企業は自分たちだけではないと感じていた。社長であるJames Good氏は「当社は長い間、職場における人間工学の専門家として業界をリードしてきましたが、さらに前線に立ち、変革を率先しなければならないと感じていました。企業はモバイル化とコラボレーションをサポートし、従業員の健康とニーズを満たすワーク環境を創造していかなければなりません。優れたワーク環境とは進化するテクノロジーに適切に対応し、有能な人材を引きつけるスペースです。当社の経営の仕方も社員の働き方も様変わりする中で、今度変えるのは物理的な空間であるオフィスだと考えたのです。」と語る。
「場」がこれからの働き方をサポートしたものでなければ、変えるつもりはない。
Good社長と5名の管理職からなるチームが編成され、従業員からさまざまなアイデアを引き出しながらワークプレイス戦略は立案されていった。ワーカーのモバイル化を支援し、社員がコラボレーションし易い環境を整備することに加え、従業員を人間工学、ウェルビーングの両面からサポートする空間の必要性を経営陣は強く感じていた。そのスペースの中には集中ワークや熟考、休息、エネルギーの充電などを促すプライベートスペースも含まれている。
その原則は何を優先するかであった。Good社長は「場がこれからの働き方をサポートしたものでなければ、変えるつもりはない。」と将来の変化に適応する能力と順応性の大切さを強調した。「スペースの変革はこれでいいということはなく、これからも進化つづけます。」
例えば、ワークスペースの80パーセントは所有されない共有スペースで誰もがいつでも利用でき、デスクやテーブルのサーフェスはすべて高さ調節付きで座位、立位の両方の姿勢をサポートしている。
「会社をどう変えたかの象徴的メタファーとして、この姿勢の選択肢が挙げられます。人間工学に基づいた座り方とは、かつては集中タスク作業や机上面の固定デスクトップの位置に向かってきちんと座るというものでした。しかし、今日、人々はもはやそのような固定した働き方ををしていないのです。彼らはタブレットやスマホを駆使し、チェアに座っていても姿勢を動かしながら仕事をこなしているのです。だからこそ、SteelcaseのGestureチェアは今の時代にうまくフィットしたのです。」と社長は指摘する。
どこでもコラボレーション
そこには多彩なコラボレーションスペースも設置されている。自席での簡単なコラボレーションを可能する仕掛けに加え、様々なサイズのインフォーマルなミーティングスペースがスペースに柔軟性を加えている。例えば、豊富なサイズとレイアウトの顧客用プレゼンテーションや会議用としてのスペース、収納キャビネットを背中あわせに組み合わせたコラボレーションスポット、カジュアルなコラボレーションを促すカフェとワークスペースを融合したWorkCaféやラウンジスペースなどがある。

また、media:scapeのコラボレーション用セッティングが一番のお気に入りだと話すのはビジネス開発担当ディレクター兼プランニングチームのメンバー、Kent Hatcher氏である。「プロジェクターもF5ファンクションキー ももはや必要ありません。プラグインして画面にあるものを表示するだけ。迅速かつ操作も簡単。つながって情報を共有するための今までにない方法を提案しています。」
もうひとつのお気に入りは人間工学と可動性を考慮したコラボレーションチェア、Buoyスツールである。「それはまるでバランスボールに腰掛けているかのようです。機能とデザインが一体化しているところが素晴らしいです。傾斜が5°だと安定性があり、12°で傾いた感じがし始めます。しかし、それ以上の傾斜になることはありません。体格に合わせて高さ調整も可能な優れものです。重さもおよそ6kgで簡単に持ち運びができます。」
また、同社はモバイルで仕事をし、コラボレーションが多いワーカーのために、ひとりになって集中できるスペースとして、5タイプの閉じられた静かな空間を設置した。「一部には場を変えることで気分が変わり、知的活力を得る人もいます。その人間が内向的、外交的に限らず、忙しく動き回る今日のワーカーにとって、プライバシーは欠かせない要素です。」とGood社長は語った。
ウェルビーングを育む
人間工学的ワークプレイスを的確に評価するために、Humantech社はErgopoint®ソフトを使用することで、経営陣が認識していない従業員が不快に思うことや病気という問題がまったくないことを確認することができた。人間工学とは職場でウェルビーングを育くむためのひとつの手法に過ぎない。そこは自然光に溢れ、誰もが屋外の自然の景観を眺めることができる。そして、従業員はどこでも、どんな姿勢やスタイルでも仕事ができるようにあらゆる工夫がされている。このスペースにはサステナビリティがあらゆる面に反映され、全米科学財団 (NSF) からサステナビリティ認定を授与された。LEEDと同様に、NSF基準にはポイントシステムを使用した4段階の証明があり、Humantech社は最高レベルのプラチナを獲得している。
<img class=”size-large” src=”https://images.steelcase.com/image/upload/c_limit,dpr_auto,q_70,h_1024,w_1024/v1433531123/www.steelcase.com/15-0008314.jpg” alt=”同社はモバイルで仕事をし、コラボレーションが多いワーカーのために、ひとりになって集中でき、活力を回復できるスペースとして、5タイプの閉じられた静かな空間を設置した。
企業文化を促進する
人、ワークプロセス、ウェルビーングをサポートする職場は仕事の生産性と効率を向上させるだけでなく、企業文化も育む。例えば、WorkCaféは仕事、食事、ミーティングのための最も理想的な「場」、人間関係構築の「場」として貢献している。コンサルティング担当のディレクターでプランニングチームのメンバーであるWinnie lp氏は2週間の出張後に同僚とつながることを切望したと言う。「私はWorkCaféに行って、そこで丸1日仕事をしました。なぜなら、そこにいれば、必ず同僚に出会えると思ったからです。それにあのカフェの活気がいつも私に元気を与えてくれるのです。」
「誰もがWorkCaféをこのように使用しています。出張から戻って1日目は自席にも戻らずそこで過ごし、3日目か4日目でようやくいつもの仕事リズムを取り戻したのです。」
その空間はクライアントにも高く評価されている。「かつてクライアントとここに来た時は、私たちは会議室ですでに8時間も一緒に仕事をし、疲れきっていました。今はラウンジのあるスペースで、密な議論ができます。テーブル越しだけで仕事をするよりも、より良い人間関係を構築できます。当社のクライアントは一般にフォーチュン500の企業で、アメリカの経済を牽引する大企業です。彼らはこの環境の中に入ると、いつも強い衝撃を受けると言います。」とlp氏は語る。

人間関係を構築する
Humantech社の事業は強い人間関係の上に構築されている。新たなワーク環境はSteelcaseのアドバイスでさらにそれが促進されるようにデザインされた。「当社は科学的根拠をもとにしたリサーチベースの会社であることから、Steelcaseが単なる家具会社ではなく、リサーチ会社でもあるところに最も惹かれました。」
ビジネス、市場、業界の変化、人材、テクノロジーなど、すべてのモバイル化がかつてないほど進んでいる。この流動的な経済にあって、同社はワーク環境を柔軟性のある資産として位置づけ、事業を遂行し、社員を引きつけ、意欲を掻き立て、企業文化を活性化し、ブランドを磨く「場」として活用している。