相互に作用し、循環する システムを創造する

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今日、企業にとっての課題はワークプレイスでのプライバシーのニーズの高まりを理解することです。特にネット接続や対面でのつながりに重きを置きすぎて、今日のワーカーは溢れる情報の渦の中で仕事をこなすことを強いられています。広い範囲でのコラボレーションが重要視されると同時に、1人になる避難場所の必要性も増してきているのは当然です。

プライバシーとコラボレーションの適切なバランスをとることは基本的に個人が働く場を選択し、コントロールする権限を与えることです。

コラボレーションとプライバシーの適切なバランスを提供するためにはたったひとつのソリューションが存在しているわけではありません。ワーカーは身体的、認知的、情緒的なニーズをサポートする、相互に連結するゾーンやセッティングが組合わさった「場のパレット」の中から、働く「場」を選択することで、他者から刺激やエネルギーをもらったり、プライバシーのある静寂空間の中で自分を取り戻すこともできるようになります。

The Privacy Crisis, 360 Magazine, Steelcase

最後に、ワークプレイスではチームメンバーが直接リアルにあったり、ビデオ会議システムなどのコミュニケーションツールを通して、遠隔でも簡単に対面することができる「存在のパレット」も考慮する必要があります。これによって、コラボレーションとプライバシーへの欲求への境界線がつながり、うまくバランスを図ることができるようになります。

研究から導きだされた発見が示唆していること。それは仕事を充実させるには1人でも他者と共同でも、人が最大限に能力を発揮できる環境の中で仕事をすることが出来るようにすることです。世界の動向としては、プライバシーはもはや個室に代表されるような肩書きや報酬のシンボルとして提供されるべきではないということです。その代わりに、ワークプレイス中に全員がプライバシーを必要な時に使用できる多くの「場」を提供することです。企業はそのことから生まれる、労働意欲の向上、より強固なコラボレーション、高い生産性、ウェルビーングの改善など、それによってもたらされるさまざまな効果をきちんと認識するべきです。それが最終的には企業の成功へとつながるイノベーションを引き起こすことにもなるのですから。

人間は本来、社会的動物で輪から排除されることを好みません。ですからグループ作業の場では人間の脳は簡単に意見を変えて、他の人に同意するように動く傾向があります。長時間コラボレーションをすることのリスクはまさにここにあります。1人でいる時間を与えることは「個」としての自分の考えを固め、それをグループに持ち帰ることができるようになり、そのプロセスが非常に重要になってきています。

Melanie Redman

寄稿者

Donna Flynn, 14-0001773
Donna Flynn
人類学者でもあるDonna Flynn氏はSteelcase WorkSpace Futuresの19名の研究チームを率いて、特に「スペース」、「人」、「テクノロジー」が交差する環境での人の働き方を研究し、革新的な発見へとつなげている人物。仕事が継続的に進化するトレンドに大きく影響される中、人間はそのスピードについていけない状態です。テクノロジーやモバイル化が急速に人々の働き方に影響を与える中、人間の本質的欲求に着目して問題を対処することの重要性を説いています。